ウクライナは、壮大な歴史的建造物と豊かな自然が調和する魅力的な観光地で、多くの旅行者を惹きつけています。
キーウの荘厳な大聖堂、オデーサの美しい黒海沿いのビーチ、リヴィウの中世の趣が残る街並みなど、都市ごとに異なる魅力が溢れています。
しかし、ウクライナ観光は安全面や文化的な違いへの注意が必要です。本記事では、ウクライナの人気観光地や地元料理、宿泊施設、観光時の注意点を紹介します。
ウクライナの観光地の特徴
ウクライナは歴史と文化が豊かで、自然の美しさも兼ね備えた国です。
そのため、都市観光だけではなく、アウトドアやリゾート地での体験など、さまざまな観光地を楽しめます。ウクライナの観光地の特徴を解説します。
歴史的建造物
ウクライナの観光地は、数多くの歴史的建造物が特徴です。
ウクライナの都市には中世の建造物や大聖堂が多く、特に首都のキーウや西部のリヴィウが観光の中心となっています。
ウクライナの歴史的建造物は、ウクライナ正教やカトリックなど、ウクライナの宗教文化を象徴するものが多いのが特徴です。
ウクライナの歴史や宗教の奥深さに触れられるため、文化的な関心を持つ観光客にとって魅力的な要素となっています。
自然の豊かさ
2つ目の特徴は、自然の豊かさです。ウクライナの自然観光は、カルパティア山脈や広大な森林地帯など、アウトドア活動を楽しめます。
ハイキングやスキー、キャンプなど、季節ごとに異なる自然のアクティビティが楽しめる点が特徴です。
また、南部の黒海沿岸にはリゾート地が点在していて、オデーサはその代表的な都市です。オデーサの温暖な気候と美しいビーチは、リラックスした時間を過ごすのに最適な場所です。
多様な文化体験
3つ目の特徴は、多様な文化体験です。ウクライナは東欧に位置しているため、さまざまな文化や影響を受けています。
例えば、ウクライナ西部は、かつてポーランド、オーストリア、ハンガリー帝国の一部だったため、ヨーロッパ的な雰囲気を感じさせる街並みが特徴です。
一方、東部や南部はロシア文化の影響が強く、建築様式や食文化にも違いが見られます。このウクライナの多様性は、観光客にとって複数の国の文化を体験できる貴重な場所です。
キーウで有名な観光地
キーウはウクライナの首都で、歴史的建造物や美しい街並みが観光客に人気です。キーウで特に有名な5つの観光地を解説します。
ソフィア大聖堂
出典:世界遺産マニア
ソフィア大聖堂は、キーウのランドマークともいえる最古の教会です。1037年に建設されたこの大聖堂は、11世紀から現代に至るまでの歴史を体現しています。
特に有名なのは、その壮麗な黄金のドームと、内部に描かれた美しいフレスコ画やモザイクです。内部は静寂に包まれ、フレスコ画のディテールに感動したとの声が多くあります。
鐘楼に登るとキーウの美しい街並みを一望できるのも魅力です。ウクライナの歴史的背景を学びながら芸術を楽しめる点が、多くの観光客に愛されています。
ペチェールシク大修道院
ペチェールシク大修道院もキーウを代表する歴史的建造物で、地下に広がる「洞窟修道院」が特徴です。
修道院内には多くの聖人の遺体が安置されていて、巡礼者にとって神聖な場所であるだけではなく、観光客にもその神秘的な雰囲気が人気です。
修道院内の洞窟を訪れる際に感じた静かな空気と神聖さに感動し、歴史的な重みを肌で感じられる場所だといわれています。
ロシア正教のルールによって、女性は頭にスカーフを巻かなければ地下墓地を見学できません。ペチェールシク大修道院を観光する際は、忘れずにスカーフを持参しましょう。
聖ミハイル黄金ドーム修道院
出典:4travel.jp
聖ミハイル黄金ドーム修道院は、キーウのもうひとつの象徴的な修道院です。青い壁と金色のドームが際立つこの修道院は11世紀に建てられ、1930年代に当時のソビエト連邦によって破壊されました。
現在の聖ミハイル黄金ドーム修道院は2000年に再建されたもので、キーウの宗教的な中心地として観光客にも広く知られています。
特に、青い外壁と金色のドームが青空に映える様子は、写真撮影のスポットとしても人気です。聖ミハイル黄金ドーム修道院は、歴史と現代が交錯する場所として興味深い体験を得られる場所です。
アンドレイ教会
アンドレイ教会はキーウを象徴する美しいバロック建築で、ウクライナの歴史的な重要地のひとつです。
当時のロシアの女帝・エリザヴェータがキエフを訪れたことを記念して1747年から建設が開始されたこの教会は、ロシア・バロック様式で設計され、青と白のコントラストが特徴的な外観を持っています。
特に、夕暮れ時のアンドレイ教会からの光景は圧巻で、多くの観光客に感動を与えています。
アンドレイ教会を訪れる際は、静かに礼拝の雰囲気を尊重することが大切です。ソフィア大聖堂との距離が近いので、順番に観光するのがおすすめです。
チェルノブイリ博物館
出典:NAVICUP
チェルノブイリ博物館は、1986年に発生したチェルノブイリ原発事故の歴史を学べる貴重な施設です。事故の発生からその影響、復興に至る現在までの詳細が展示されています。
館内には事故当時の資料や写真、映像が豊富に揃っていて、事故によって生活を変えられた人々の物語も語られています。
チェルノブイリ博物館は、原子力や環境問題に関心がある観光客にとって、事故の現実とその後の復興への取り組みを学べる貴重な場所です。
世界中から訪れる観光客が多く、原子力への知識を深める場として評価が高い観光地です。チェルノブイリ原発事故の詳細は、以下の記事で解説しています。
参照:ウクライナのチェルノブイリ(チョルノービリ)原発事故の原因と現在
オデーサで有名な観光地
オデーサは、黒海に面したウクライナ屈指のリゾート地で、美しい港町として知られています。オデーサで有名な観光地を3つ紹介します。
ポチョムキン階段(プリモルスキー階段)
ポチョムキン階段は、オデーサを象徴するランドマークで、黒海に向かって緩やかに広がるデザインと全長142メートルの長さが特徴です。
この階段は、視覚的なトリックによって上から見ると段数が少なく、下から見ると段数が多く見えるユニークな視覚効果を持っています。
ソ連時代に映画『戦艦ポチョムキン』の舞台として有名になり、多くの観光客がその歴史と景観を楽しんできました。
近年は情勢不安から立ち入り禁止になっていますが、再び観光できる日を多くの観光客が心待ちにしています。
オデーサ国立オペラ・バレエ劇場
出典:NAVICUP
オデーサ国立オペラ・バレエ劇場は、1887年に建てられた劇場のひとつです。ウィーンの有名建築家が設計したその豪華なデザインは、現代でも多くの観光客を魅了し続けています。
劇場の内部にはシャンデリアや装飾が施された大広間があり、政界や数多くの著名人を招いてきました。
オデーサ国立オペラ・バレエ劇場では定期的に改修を続け、現在でもクラシック音楽やバレエの公演が定期的に行われています。
オペラやバレエはもちろん、演奏される音楽はウクライナやロシアの古典的な作品が多く、オデーサの文化と芸術に深く触れられる場所です。
観光客も気軽にチケットを購入して観賞できるので、芸術が好きな人におすすめの観光地です。
デリバソフスカヤ通り
出典:Trip advisor
オデーサの中心に位置するデリバソフスカヤ通りは、賑やかなショッピング街で観光客や地元の人々が行き交う主要エリアです。
デリバソフスカヤ通りは車の乗り入れが禁止されていて、歩行者専用の広場として開放的な雰囲気が広がっています。
カフェやレストラン、土産物店が並び、散策しながらオデーサの歴史的な建物や雰囲気を味わえます。
歴史的な建物を眺めたり地元料理を提供するレストランに立ち寄ったり、目的なく観光するのがおすすめの場所です。
デリバソフスカヤ通りは、歴史と現代が交差するオデーサのエッセンスを感じられる観光地です。
リヴィウで有名な観光地
リヴィウはウクライナ西部の文化的な中心地で、その歴史的な魅力と建築美から「ヨーロッパの埋もれた宝石」とも称されています。
中世ヨーロッパの雰囲気を色濃く残すリヴィウの旧市街は、特に観光客に人気です。その中でも、リヴィウで有名な観光地を紹介します。
リヴィウ旧市街
出典:Trip advisor
リヴィウ旧市街は、ユネスコ世界遺産に登録されていて、中世ヨーロッパの建築様式をそのまま残した希少な観光地です。
街の中心には石畳の道が広がり、その周辺には歴史的な教会や市民の家々が立ち並んでいます。
特に、リヴィウの「ルネサンス建築の宝庫」として知られる旧市街の広場は、旅行者にとって必見の場所です。
リヴィウの多様な文化と長い歴史に触れながら、まるで数世紀前にタイムスリップしたような感覚を楽しめるでしょう。
ヨーロッパの雰囲気を味わいたい人は、トラムに乗ってゆっくり旧市街の街並みを観光してください。
リヴィウ市庁舎
リヴィウ市庁舎は、旧市街の中心に位置する重要な歴史的建造物で、高い塔が象徴的なランドマークです。
塔に登るとリヴィウの街全体を360度見渡せるパノラマビューが広がり、特に夕暮れ時の景色が美しいと観光客から評判です。
リヴィウ市庁舎は1357年頃に木造で建築されましたが、15〜16世紀に石造化され、19世紀に現在の時計塔に建て替えられました。
観光客にとってこの塔は撮影スポットとしても人気があり、石畳の街並みや周囲の歴史的建物を背景にした写真撮影が楽しめます。
ウクライナのその他の有名観光地
ウクライナには、キーウやオデーサ、リヴィウ以外にも人気の観光地が数多くあります。その中でも、特に注目すべき観光地を紹介します。
カルパティア山脈(ウクライナ西部)
カルパティア山脈は、ウクライナの西部に広がる自然豊かな地域で、アウトドア活動を楽しむ観光客に人気です。
チェコ共和国からルーマニアまで広がる山岳地帯は、ハイキングやキャンプ、スキーなどのアクティビティを満喫できるため、1年を通じて観光客で賑わっています。
夏にはカルパティア山脈のトレッキングが人気で、自然の静けさや野生動物の観察を楽しめます。
冬にはスキーリゾートがオープンし、スノースポーツ愛好者にとって理想的な観光地です。
カルパティア山脈の雄大な景色や豊かな自然は、都市部から離れてリフレッシュしたい人に最適な場所で、ウクライナの自然の魅力を存分に堪能できます。
愛のトンネル(クレヴァニ近郊)
出典:SHOZZA TRIP
愛のトンネルは、ウクライナ北西部のクレヴァニ近郊にある幻想的な観光地です。
木々が線路を覆うアーチ状のトンネルは、まるで絵画のような美しさで、春から夏にかけて緑豊かな景色が広がります。
この場所は、「恋人たちの聖地」として知られ、ロマンチックな雰囲気から多くのカップルや写真愛好家に人気があります。
列車が通るトンネルと自然が融合した風景が魅力的です。
観光客は、トンネルを歩きながら木々に囲まれた景観を楽しめるため、写真撮影スポットとして訪れる人が後を絶ちません。
訪れる時間帯や季節によって異なる表情を見せる愛のトンネルは、ウクライナを訪れる際にぜひ足を運びたい観光地です。
ウクライナの観光地で楽しめる料理
ウクライナ旅行の楽しみの一つは、地元の伝統料理を味わうことです。ここでは、観光客に人気のウクライナ料理を3つ紹介します。
ボルシチ
ウクライナの代表的な料理であるボルシチは、鮮やかな赤色が特徴です。酸味のある風味で、白いサワークリームを添えて食べるのが定番です。
寒い季節に食べると体が温まることから、地元の気候に合った料理として親しまれてきました。
ボルシチは観光客にも人気で、ウクライナのほとんどのレストランで提供されているため、気軽に楽しめます。
ボルシチのレシピは地域や家庭によって異なり、肉が入ったものから野菜中心のヘルシーなバリエーションまで多様です。ウクライナ旅行中に異なる地域でボルシチを食べ比べるのも、ひとつの楽しみ方です。
ヴァレーニキ
「ウクライナの餃子」とも呼ばれるヴァレーニキはウクライナの家庭料理として広く親しまれていて、中に詰められる具材は地域によって異なります。
じゃがいもやチーズ、キャベツや肉など、さまざまな具材が詰められ、甘いバージョンもあります。
茹でた後にバターやサワークリームをかけて食べるのが一般的で、シンプルながらも満足感のある一品です。
ヴァレーニキは、各家庭で手作りされることが多く、特に祝祭日や家族の集まりで提供されることが多い料理です。
ゴルブツィ(ロールキャベツ)
ゴルブツィは、キャベツの葉でお米と肉を巻いたロールキャベツで、ウクライナの伝統料理のひとつです。
トマトソースやクリームソースで煮込むのが一般的で、柔らかいキャベツとジューシーな中身が絶妙なバランスを生み出します。
ゴルブツィは、特に冬の家庭料理として人気があり、栄養価も高いことから寒い気候に適した満足感のある料理です。
観光客にとっては、ウクライナの家庭的な味を堪能できる料理のひとつで、レストランやカフェで気軽に注文できます。
ウクライナの観光地で人気のホテル
ウクライナには、観光客に高評価を得ている豪華なホテルがいくつもあります。ここでは、ウクライナ各地で人気のホテルを3つ紹介します。
※宿泊料金は2024年10月時点の料金です。
フェアモント グランド ホテル(キーウ)
キーウの中心部に位置する「フェアモント グランド ホテル」は、スイートが258室あるホテルで、歴史的な観光地へのアクセスが良好です。
ソフィア大聖堂やペチェールシク大修道院といった主要観光スポットから徒歩圏内にあり、豪華な内装とサービスの良さが評判です。
客室からはドニエプル川の美しい眺めを楽しめるので、優雅な滞在を過ごせます。
ホテル内にはレストランやフィットネス施設も完備され、観光やビジネスで訪れる人々におすすめです。特に、ロビーの豪華さやスタッフの細やかな対応が高く評価されています。
料金は、1泊1人280ユーロ(45,360円※1ユーロ=162円換算)〜です。
ホテル ブリストル(オデーサ)
オデーサの「ホテル ブリストル」は、黒海沿いの港町にある歴史的な5つ星ホテルです。
クラシカルなヨーロッパ調のインテリアとモダンな設備を融合させたデザインが特徴で、優雅な雰囲気を提供しています。
オデッサ西洋東洋美術館や救世主顕栄大聖堂が近くにあるので、観光にもおすすめです。宿泊する観光客は、美しい黒海の景色を楽しみながらリゾート感覚の滞在を満喫できます。
料金は、1泊1人146ユーロ(23,652円※1ユーロ=162円換算)〜です。
レオポリス ホテル(リヴィウ)
リヴィウの「レオポリス ホテル」は、ユネスコ世界遺産に登録されている旧市街から徒歩圏内にあり、歴史的建築と現代的な快適さを兼ね備えた高級ホテルです。
リヴィウ国際空港から車でおよそ30分とアクセスが良好なので、初めてのウクライナ旅行の拠点に最適です。
館内は洗練された内装で、上品な客室やスパ施設、レストランを備えていて、リラックスした滞在が楽しめます。
観光客には、歴史的な街を探索する拠点として人気で、快適な滞在ができると評価されています。
料金は、1泊1人133ユーロ(21,546円※1ユーロ=162円換算)〜です。
ウクライナの観光地は歴史と自然が楽しめる
ウクライナは歴史的な建造物と豊かな自然が共存する国で、キーウ、オデーサ、リヴィウなどの都市がそれぞれ異なる魅力を持っています。
ウクライナの文化的多様性や美しい風景を堪能するだけではなく、地元の料理や豪華な宿泊施設も旅の楽しみの一部です。
安全や文化的なマナーに注意を払い、事前に現地の最新情報を確認してから観光しましょう。