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社会を知る/解説

家庭の電気は1キロワット時4.32フリヴニャ。ウクライナの料金と停電の予定表

ウクライナの家庭向けの電気の値段は、市場ではなく内閣の決定で決まり、2024年6月から1キロワット時あたり4.32フリヴニャです。その差を国営の発電会社がどう負担しているか、2021年からの値段の推移、1時間ごとの停電の予定表と緊急停電の違い、家庭が予定を知る先をまとめました。

画像:Ukrainavi

オリュカのひとこと

家庭の電気の値段は、市場ではなく誰が決めているのでしょう。仕組みと費用の負担を最初の節で確かめられます。

ウクライナの家庭が払う電気の値段は、2026年9月時点で1キロワット時あたり4.32フリヴニャ(付加価値税込み)です。市場で決まる値段ではなく、内閣が決定で定めた「固定価格」で、2024年6月1日から変わっていません。その内閣の決定は、2026年9月時点で10月31日まで効力を持つとされています。

一方で、発電所や送電網への攻撃が続く冬には、地域ごとに時間を区切って電気を止める「予定表」が使われてきました。家庭の電気の値段の決まり方と移り変わり、停電の予定表の種類と出し手を、法令と所管機関の発表(2026年9月に確認)から順に見ていきます。攻撃による被害の規模は発電所が狙われ続ける国で、電気を小さく分けてつくるで扱っています。

値段を決めているのは、内閣の決定

家庭向けの値段の根拠は、内閣の決定「電力市場の参加者に公共の利益のための特別な義務を課す規程」(2019年6月5日、第483号)です。電力市場法第62条にもとづき、内閣が市場の参加者に「特別な義務」を課す仕組みで、この決定が守ろうとしている公共の利益は「家庭が電気を手の届く値段で使えるようにすること」だと書かれています。

仕組みはこうです。家庭と契約するユニバーサル・サービス事業者(地域ごとの小売事業者)は、決定が定めた固定価格で家庭に電気を売ります。市場の値段との差は、国営の原子力発電会社エネルゴアトムと水力発電会社ウクルヒドロエネルゴが、保証買取者(Гарантований покупець)を通じて埋めます。この二社が、義務を負う発電事業者として決定の付録に名前を挙げられています。

規制機関(エネルギー・公益事業国家規制委員会)の2025年の年次報告によれば、この仕組みにかかった費用は2025年に1,800億フリヴニャ(付加価値税込み)で、前の年より18%増えました。そのうち90.51%をエネルゴアトムが、9.49%をウクルヒドロエネルゴが負担しています。規制委員会の委員長は2023年5月、当時の家庭向けの値段は電気の費用の25%しかまかなっていない、と業界誌のインタビューで述べています(規制委員会のサイトの紹介による)。

オリュカのひとこと

1.44フリヴニャと1.68フリヴニャは、何によって分かれていたのでしょう。表の下の説明で確かめましょう。

値段の移り変わり

内閣は、この決定の付録を書き換えて値段を変えてきました。個人の家庭に適用される値段は次のとおりです。

適用の期間1キロワット時あたり(付加価値税込み)根拠の決定
2021年1月〜9月1.68フリヴニャ(使った量にかかわらず)2020年12月28日 第1325号ほか
2021年10月〜2023年5月月250キロワット時まで1.44フリヴニャ、超えると全量に1.68フリヴニャ2021年8月11日 第859号(その後の決定で期間を延長)
2023年6月〜2024年5月2.64フリヴニャ2023年5月30日 第544号(その後の決定で期間を延長)
2024年6月〜(2026年9月時点で10月31日まで)4.32フリヴニャ2024年5月31日 第632号(その後の決定で期間を延長)
ウクライナ内閣の決定第483号とその改正(ウクライナ最高会議の法令データベースで2026年9月24日に確認)をもとに作成。2021年10月〜2023年5月の欄は個人の家庭の値段で、集合住宅の共用部分などを含む「集団の家庭」には、使った量にかかわらず1.68フリヴニャが適用された。

2021年10月からの値段は、月に使う量が250キロワット時までなら1.44フリヴニャ、それを超えると使った全量に1.68フリヴニャという二段階でした。2023年6月からは量による区別がなくなり、2.64フリヴニャの一本になりました。

電気で暖房する家の冬の値段

2026年9月時点の決定では、電気の暖房設備を所定の手続きで備えた住宅に住む家庭は、10月1日から4月30日まで、月2,000キロワット時までなら1キロワット時あたり2.64フリヴニャです(2,000キロワット時を超えると全量に4.32フリヴニャ)。ガスが引かれておらず、集中暖房も動いていない集合住宅に住む家庭も、同じ期間に同じ値段になります。この場合は、自治体などがそうした住宅であることを確かめる書類を作ります。

時間帯で変わる値段

時間帯ごとに使った量を測れる電力量計がある家庭は、時間帯別の値段を選べます。決定の付録によれば、二つの時間帯に分ける場合は夜23時から朝7時までが固定価格の0.5倍、ほかの時間は1倍です。三つに分ける場合は、朝8時〜11時と夜20時〜22時が1.5倍、夜23時〜朝7時が0.4倍、それ以外が1倍です。

請求書に書かれること

規制委員会の小売市場の規則は、小売事業者に、請求書と利用者のオンラインの個人ページで、適用した値段と、その内訳(電気そのものの値段、送電料金、配電料金、小売事業者のサービス料金、税など)、電力量計の前回と今回の値、使った量を示すよう求めています。電気の流れと、どの会社が何を受け持つかは、発電・送電・配電・小売の仕組みとして電力市場法が定めています。

停電の予定表には種類がある

停電の予定表の種類は、規制委員会の「送電系統規程」(2018年3月14日、第309号)が略語で定めています。家庭にかかわりが深いのは、次のようなものです。

略語名前中身
ГПВ1時間ごとの停電の予定表(графіки погодинного відключення)地域の利用者をいくつかのグループ(「順番」)に分け、時間を区切って順に電気を止める
ГАВ緊急停電の予定表(графіки аварійного відключення)系統に急な不足や過負荷が起きたとき、予定表によらずに止める
СГАВ特別な緊急停電の予定表緊急停電のうち特別に定められたもの
ГОП・ГОЕ電力・電力量の使用制限の予定表主に企業などの大口の利用者に、使える電力や量の上限を課す
送電系統規程(規制委員会の決定第309号、2026年9月時点の条文)の略語の定義と第V章第14節、エネルギー省の発表をもとに作成。「中身」の欄は、規程とエネルギー省の発表の記述をまとめたもの。

同じ規程によれば、これらの予定表は、系統が非常事態になったときの措置です。非常事態の条件の一つに、「1日のうちで需要の最も多い時間帯に、つり合わせるには1時間ごとの停電の予定表の順番を四つ以上使う必要があるほど、電力が足りないこと」が挙げられています。予定表の作り方と使い方は、エネルギー政策を担う省が定める指示書に従います。実際に電気を止めるのは、送電事業者(ウクルエネルゴ)の指令を受けた送電事業者や配電事業者の運転員です。

エネルギー省は、系統の状況を毎朝発表しています。たとえば2026年1月15日の朝の発表は、「ウクライナの大部分の地域で、すべての種類の利用者に1時間ごとの停電の予定表が適用され、産業には電力の制限の予定表が適用されている」とし、寒さで消費が増えたいくつかの州では設備の過負荷で緊急停電を使わざるを得なかったと書いています。同じ発表は、キーウとキーウ州では送電網の制約のため、それまでの1時間ごとの予定表を一時的に使えず、状況が落ち着いたら予定表に戻るとも伝えています。

2026年9月23日の朝の発表は、戦闘と攻撃でドネツィク州(外務省の表記ではドネツク州)、ザポリッジャ州、キーウ州、スームィ州、ハルキウ州の一部で電気が止まっている一方、その日は制限を使う見込みはないとしていました。そのうえで、電気の供給の変化は「各地の配電事業者の公式の情報源で」知るよう呼びかけています。

家庭はどこで予定を知るか

エネルギー省が勧めるとおり、自分の住所がどの「順番」に入っていて、いつ止まるかは、その地域の配電事業者が出す情報で確かめることになります。予定表は国全体で一つではなく、配電事業者ごと、地域ごとに出されます。

これとは別に、設備の工事などで電気を止める「計画的な停電」には、規制委員会の小売市場の規則が告知の決まりを置いています。

  • 計画的な停電は、止まる集落と通り、理由、開始の日時と見込みの長さを、少なくとも5日前に配電事業者のサイトに載せ、自治体に知らせる
  • 利用者には、個人ページなどの電子的な手段で、少なくとも3日前に知らせる
  • 100を超える利用者が1時間を超えて止まる事故停電は、発生から6時間以内に、地域と復旧の見込みをサイトに載せる
  • サイトに載せた停電の情報は、3年間保存する

日本からウクライナの家族の地域の状況を知りたいときも、手がかりはこの二つです。国全体の状況はエネルギー省の毎朝の発表、個々の地域の予定はその地域の配電事業者の発表です。

10月31日のあと

家庭向けの固定価格を定めた付録は、2025年4月、2025年10月、2026年4月と、半年ごとに期限が延ばされてきました。2026年4月29日の決定(第530号)で期限は2026年10月31日になり、値段は4.32フリヴニャのままです。11月からの値段と期限は、2026年9月時点では決まっていません。

出典と記事の記録出典 17件 · AIの利用 · 運営体制

出典・参考資料

  1. Постанова КМУ від 05.06.2019 № 483 «Про затвердження Положення про покладення спеціальних обов’язків на учасників ринку електричної енергії…»公共の利益、義務を負う事業者、付録1の発電事業者、付録3の固定価格〈2024年6月1日〜2026年10月31日、4.32・2.64・2,000kWh〉、時間帯別の係数、期限
    発行:ウクライナ内閣(法令データベース) 確認日:2026-09-24
  2. Постанова КМУ від 28.12.2020 № 13252021年1月1日〜3月31日の固定価格168コピーカ
    発行:ウクライナ内閣(法令データベース) 確認日:2026-09-24
  3. Постанова КМУ від 24.03.2021 № 238、від 28.04.2021 № 4392021年4〜6月も168コピーカ
    発行:ウクライナ内閣(法令データベース) 確認日:2026-09-24
  4. Постанова КМУ від 11.08.2021 № 8592021年10月1日からの1.44・1.68フリヴニャ、250kWh
    発行:ウクライナ内閣(法令データベース) 確認日:2026-09-24
  5. Постанова КМУ від 16.04.2022 № 453、від 28.10.2022 № 12061.44・1.68の期間の延長
    発行:ウクライナ内閣(法令データベース) 確認日:2026-09-24
  6. Постанова КМУ від 30.05.2023 № 5442023年6月1日からの2.64フリヴニャ
    発行:ウクライナ内閣(法令データベース) 確認日:2026-09-24
  7. Постанова КМУ від 27.12.2023 № 1375、від 26.04.2024 № 4552.64の期間を2024年5月31日まで延長
    発行:ウクライナ内閣(法令データベース) 確認日:2026-09-24
  8. Постанова КМУ від 31.05.2024 № 6322024年6月1日からの4.32フリヴニャ、電気暖房の2.64
    発行:ウクライナ内閣(法令データベース) 確認日:2026-09-24
  9. Постанова КМУ від 29.04.2025 № 480、від 22.10.2025 № 1331、від 29.04.2026 № 530期限の延長、2026年10月31日まで
    発行:ウクライナ内閣(法令データベース) 確認日:2026-09-24
  10. Закон України «Про ринок електричної енергії» № 2019-VIII第62条の特別な義務、第63条のユニバーサル・サービス事業者
    発行:ウクライナ最高会議(法令データベース) 確認日:2026-09-24
  11. Кодекс системи передачіпостанова НКРЕКП від 14.03.2018 № 309。ГАВ・ГОЕ・ГОП・ГПВ・СГАВ の定義、第V章第14節の非常事態、指令による手動の遮断
    発行:エネルギー・公益事業国家規制委員会(法令データベース) 確認日:2026-09-24
  12. Правила роздрібного ринку електричної енергіїпостанова НКРЕКП від 14.03.2018 № 312。第9.4.3〜9.4.5項の停電の告知、第9.6.1項の請求書
    発行:エネルギー・公益事業国家規制委員会(法令データベース) 確認日:2026-09-24
  13. Брошура до Річного звіту НКРЕКП за 2025 рік家庭向けの特別な義務の費用1,800億フリヴニャ・18%増・90.51%・9.49%、4.32・2.64
    発行:エネルギー・公益事業国家規制委員会 確認日:2026-09-24
  14. Інтерв’ю Костянтина Ущаповського для видання «Енерго Бізнес»: «Тариф на електроенергію для населення покриває лише 25% її вартості»2023年5月4日掲載
    発行:エネルギー・公益事業国家規制委員会 確認日:2026-09-24
  15. «Гарантований покупець» оприлюднює звіт щодо виконання спеціальних обов’язків…2026年8月25日。発電事業者から受け取った代金をユニバーサル・サービス事業者へ回す仕組み
    発行:保証買取者(АТ «Гарантований покупець») 確認日:2026-09-24
  16. Оперативна ситуація в енергосистемі України станом на ранок 15 січня2026年1月15日。1時間ごとの予定表、産業の制限、緊急停電、キーウの一時的な不適用
    発行:ウクライナ・エネルギー省 確認日:2026-09-24
  17. Оперативна ситуація в енергосистемі України станом на ранок 23 вересня2026年9月23日。停電の州、制限の見込みなし、配電事業者の公式の情報源
    発行:ウクライナ・エネルギー省 確認日:2026-09-24

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