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ウクライナの住所は通りから州へ、郵便番号は5桁

ウクライナの郵便規則が挙げる宛名の要素は、名前、通りと建物の番号、市・地区・州、郵便番号、国。郵便番号は5桁です。日本から送るときの行の並べ方、ラテン文字の綴りが一通りでないこと、国の指定を受けたウクルポシュタと民間のノヴァ・ポシュタの違いを、規則と万国郵便連合の見本で説明します。

キーウ市国家行政府の公式サイトの末尾には、庁舎の住所が「вул. Хрещатик, 36, м. Київ, 01001」と書かれています。通りの名前、建物の番号、市の名前、そして5桁の数字。日本の住所が都道府県から書き始めるのに対し、ウクライナの住所は小さい単位から大きい単位へ進みます。宛名の書き方は、ウクライナの閣僚会議が定めた郵便サービスの規則に書かれています。この記事は、その規則と日本郵便の案内を2026年9月23日に確認した内容です。

規則が定める宛名の要素

ウクライナの「郵便サービス提供規則」(閣僚会議決定2009年3月5日第270号。2023年10月10日の決定第1071号で全文改訂、最後の改正は2024年10月8日の決定第1147号)は、第32項で、郵便物に付ける情報を次のように挙げています。

  • 受取人と差出人の名前。個人なら姓、名、父称(ある場合)
  • 通り(大通り、並木道、横町なども含む)の名前、建物の番号、部屋・事務所の番号
  • 居住地(市・町・村)の名前、地区(район)、州(область)
  • 郵便番号
  • 宛先の国

書留などの郵便物と郵便為替には、差出人と受取人の電話番号も挙げられています(はがき、価格表記のない手紙、視覚障害者用の郵便物は除く)。ただし同じ項は、どの情報を必須とするかは郵便事業者が決める、とも書いています。

第34項は、手紙とはがきでは受取人の名前と住所を右下に、差出人の名前と住所を左上(または封筒の裏の上部)に書くとしています。第35項は、住所は正確で完全なものとし、名前を略さず、住所に関係のない記号を書かないこと、国内の郵便物では住所を国家語(ウクライナ語)で書くことを定めています。

冒頭の市の住所には「вул.」(вулиця、通り)、「м.」(місто、市)という略語が使われていました。実際の住所表記には略語が使われていることがありますが、国内の郵便について規則そのものは略さないことを求めています。

ウクライナ語の住所の単語

住所に出てくる単語をラテン文字で書くときは、閣僚会議決定2010年第55号の転写表を当てはめます。転写表の決まりと、地名の綴りの背景は「キエフ」が「キーウ」になった日と、地名の綴りの決まり方で扱っています。

ウクライナ語意味転写表を当てはめたラテン文字
вулиця通りvulytsia
проспект大通りprospekt
провулок横町provulok
будинок建物budynok
квартира部屋(集合住宅)kvartyra
містоmisto
селоselo
район地区raion
областьoblast
単語は郵便サービス提供規則第32項の用語から。ラテン文字は閣僚会議決定2010年第55号の転写表(2026年9月23日時点で有効)の規則を編集部が当てはめたもの。

転写表では、й は語頭以外で i、ь(軟音記号)は書き表しません。район が raion、область が oblast になるのはこのためです。冒頭の住所の固有名詞をこの表で書き換えると、Khreshchatyk(Хрещатик)、Kyiv(Київ)です。

日本から送るときの宛名

日本郵便は国際郵便のあて名について、確実な配達のため、原則としてローマ文字とアラビア数字で書くよう求めています。同社のグリーティングカードの案内は、海外の住所を、氏名、建物名・部屋番号、住所番号と街路名、都市名・地方名・州名、郵便番号、国名の順に書き、国名は必ず大文字で書くよう呼びかけています。あて先は英語、フランス語または送り先の言語で書く、とも書いています。

ウクライナ側の見本もあります。万国郵便連合(UPU)が加盟国ごとにまとめている宛名の案内のウクライナの版(2023年7月)は、郵便番号を「居住地名または州名の下に5桁」とし、住所は封筒の右下に左揃えで書くとしています。そこに載っている見本の一つが次のものです。

見本の記載意味
1Melnik Ivan Petrovitch受取人(姓・名・父称)
2Vul. Lisova, 2, kv.3通りの名前、建物の番号、部屋の番号
3s. Ivanovka, Semenivsky r-n,居住地(村)、地区
4TCHERNIGIVSKA OBL.
515432郵便番号
6UKRAINE
万国郵便連合「Ukraine」(Postal addressing systems、2023年7月)の見本をそのまま引用。見本の人名・地名は例示で、実在の宛先ではない。2026年9月23日確認。

この見本のラテン文字は、上の転写表を当てはめた形とは一致しません。たとえば州の名前は、転写表を当てはめると Chernihivska になります。宛名のラテン文字の綴りは一通りに決まっていない、と考えたほうが安全です。

いちばん確実なのは、受取人本人に、ウクライナ語の住所とラテン文字の住所の両方を書いてもらうことです。本人がふだん使っているラテン文字の綴りが、転写表をそのまま当てはめた形と違うこともあります。

ウクライナから国際郵便を出す側については、同じ規則の第37項が、受取人の住所をラテン文字とアラビア数字で書き、宛先の国名をウクライナ語の大文字でもう一度書く、と定めています。

日本からウクライナ宛てにいま郵便物を引き受けているか、どの種類が送れるかは、日本郵便の「国・地域別の差出可否」(https://www.post.japanpost.jp/service/send/oversea/information/overview.html)で送る前に確かめてください。

郵便番号は数字5桁

ウクライナの郵便法(2022年11月3日の法律第2722-IX号「郵便通信について」)は、郵便番号(поштовий індекс)を「郵便の施設を数字で表した、郵便の住所の符号。郵便局のない村を含む」と定義しています。万国郵便連合の案内のとおり、ウクライナの郵便番号は数字5桁です。

郵便事業者ウクルポシュタ(Укрпошта)は、郵便番号と郵便局を調べるページ(index.ukrposhta.ua)を設けています。

ウクルポシュタとノヴァ・ポシュタ

ウクライナで郵便物や荷物を運ぶ事業者は一つではありません。

ウクルポシュタは、株式会社「Укрпошта」です。インフラ省の2013年6月14日の命令第405号は、この会社を、万国郵便連合(UPU)の取り決めに基づく郵便業務と義務を担う「指定事業者」に定めています(2026年9月23日時点で有効)。郵便法第17条は、指定事業者だけに、国内の50グラムまでの手紙とはがきの送達、切手の発行、郵便ポストの設置などの権利を認めています。

ノヴァ・ポシュタ(Нова пошта)は民間の配送会社です。同社の説明によれば、2001年に創業し、ウクライナ国内に2万4千台の宅配ロッカー(поштомат)を持っています。同社の案内では、国外から届いた30キロまでの書類や荷物は、支店、住所、宅配ロッカーのいずれかで受け取れ、支店で受け取るときは身分証明書と送り状の番号を示します。

受け取り方の違いは、宛名にも表れます。郵便の規則の第33項は、郵便物を自宅ではなく郵便局留め(до запитання)や「支店あて(до відділення)」にするとき、名前のあとに「до запитання」などの表示、居住地・地区・州の名前、受け取る郵便施設の名前、郵便番号、国を書くとしています。ノヴァ・ポシュタは自社の送り状(експрес-накладна)で荷物を扱い、受取人は到着の通知を受けてから、支店・住所・宅配ロッカーのどこで受け取るかによって手順が変わる、と同社は案内しています。どちらの事業者の、どの窓口で受け取るのがよいかは、受取人に聞くのがいちばん早い方法です。

通りの名前は変わる

ウクライナでは、2023年3月21日の法律第3005-IX号「ロシアの帝国主義政策の宣伝の非難と禁止、および地名の脱植民地化について」などに基づいて、居住地や通りの名前が改められてきました(経緯は上に挙げた地名の記事で扱っています)。郵便法第13条は、居住地や通りの名前が変わったとき、住所が新しく割り当てられたときに、地方の行政機関と自治体が指定事業者に知らせるよう定めています。

古い名刺や数年前のメールに書かれた住所は、いまは別の名前になっているかもしれません。送る前に、受取人に現在の住所を確かめてください。

出典・参考資料

  1. Постанова КМУ від 05.03.2009 № 270「Про затвердження Правил надання послуг поштового зв'язку」(2023年10月10日の決定第1071号による全文改訂版、最終改正2024年10月8日第1147号。第32項〜第35項・第37項:宛名の要素、局留め・支店あて、書く位置、略さないこと、国際郵便のラテン文字)
    発行:Верховна Рада України(ウクライナ最高会議)法令データベース 確認日:2026-09-23
  2. Закон України «Про поштовий зв’язок» від 03.11.2022 № 2722-IX(第1条の郵便番号の定義、第13条の地名変更の通知、第17条の指定事業者の独占的権利)
    発行:Верховна Рада України(ウクライナ最高会議)法令データベース 確認日:2026-09-23
  3. Наказ Міністерства інфраструктури України від 14.06.2013 № 405「Про визначення акціонерного товариства «Укрпошта» оператором поштового зв'язку, який виконує зобов’язання, що випливають із актів Всесвітнього поштового союзу」(有効)
    発行:Верховна Рада України(ウクライナ最高会議)法令データベース 確認日:2026-09-23
  4. Постанова КМУ від 27.01.2010 № 55「Про впорядкування транслітерації українського алфавіту латиницею」(転写表)
    発行:Верховна Рада України(ウクライナ最高会議)法令データベース 確認日:2026-09-23
  5. Закон України «Про засудження та заборону пропаганди російської імперської політики в Україні і деколонізацію топонімії» від 21.03.2023 № 3005-IX
    発行:Верховна Рада України(ウクライナ最高会議)法令データベース 確認日:2026-09-23
  6. Ukraine(Postal addressing systems。郵便番号5桁、住所の位置と揃え方、宛名の見本。2023年7月版)
    発行:Universal Postal Union(万国郵便連合) 確認日:2026-09-23
  7. あて名の記入方法(ローマ文字とアラビア数字、行の順)
    発行:日本郵便 確認日:2026-09-23
  8. あて名の書き方(海外グリーティングカード。海外の住所の順、国名は大文字、書く言語)
    発行:日本郵便 確認日:2026-09-23
  9. Нова пошта сьогодні(2001年の創業、国内2万4千台の宅配ロッカー)
    発行:Нова пошта 確認日:2026-09-23
  10. Посилки та документи(国外から届く荷物の受け取り。30kgまでの受け取り方法、身分証明書と送り状番号)
    発行:Нова пошта 確認日:2026-09-23
  11. Офіційний портал Києва(ページ末尾のキーウ市国家行政府の住所表記。確認したページの一例)
    発行:Київська міська державна адміністрація(キーウ市国家行政府) 確認日:2026-09-23

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