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人と暮らし/解説

ウクライナの成績は12点満点、1〜2年生には点数をつけない

ウクライナの学校の成績は1点から12点までで、12点がいちばん上です。12点は「初歩・中程度・十分・高い」の4段階に3点ずつ分かれます。2000年に2〜5点の4段階から切り替わり、2026年には1〜2年生は言葉だけで評価するなどの新しい評価の制度が決まりました。

画像:Ukrainavi

オリュカのひとこと

12点満点の7点は、良い成績なのでしょうか。四つの段階との対応を、最初の表で確かめられます。

ウクライナの子どもの成績表には、1から12までの数字が並びます。12がいちばん良い点で、「10点満点」でも「5段階」でもありません。ただし、小学校の低学年の成績表には数字がありません。言葉で書かれた評価だけです。

この仕組みを決めているのは、完全普通中等教育法(2020年1月16日、第463-IX号)と、教育科学省の省令です。同法第17条第8項は、成績の付け方(評価の制度と一般的な基準)を国の教育行政の機関が定めるとしています。以下は、ウクライナ最高会議の法令データベース(zakon.rada.gov.ua)に2026年9月24日時点で載っている条文と省令によるものです。学校の段階(4年・5年・3年)や大学入試の仕組みはウクライナの12年制の学校の記事にまとめています。

12点は、3点ずつ四つの段階に分かれる

12点の尺度は、四つの段階と組み合わせて使われます。教育科学省が2026年5月4日に定めた「生徒の学習成果の評価の制度と一般的な基準」(省令第722号)は、言葉による評価、段階による評価、点数による評価の対応を次のように示しています。

段階(ウクライナ語)点数言葉による評価(省令の文言)
初歩(початковий, П)1〜3点学習の成果に届くために、大きな支えが必要
中程度(середній, С)4〜6点学習の成果に届くために、場面に応じた支えが必要
十分(достатній, Д)7〜9点学習の成果に届くうえで、実質的な成果がある
高い(високий, В)10〜12点学習の成果に届くうえで、大きな成果がある
教育科学省令第722号(2026年5月4日、法務省登録2026年6月24日 第922/46316号)の「評価の制度と一般的な基準」第VI節第4項から作成。言葉の欄は原文の訳(2026年9月24日閲覧)。

四つの段階の名前は、これより前の2011年の基準(教育科学・青年・スポーツ省令第329号、2011年4月13日)でも同じです。2011年の基準は、それぞれの段階を次のように説明しています。初歩は「答えが断片的で、学ぶ対象についての初歩的な理解にとどまる」。中程度は「基本的な教材を再現し、手本どおりに課題をこなす」。十分は「概念の本質的な特徴や関係を知り、決まった場面では自分で知識を使える」。高いは「知識が深く、確かで、体系的で、創造的な課題に使える」。上の段階は、下の段階の要求を含んだうえで新しい要求を加える、とも書かれています。

オリュカのひとこと

以前の4段階の「5」は、12点の尺度ではいくつにあたるのでしょう。移行期の読み替えの表が答えです。

2000年に、2〜5点から12点へ

12点の尺度は、2000年に始まりました。教育科学省とウクライナ教育学アカデミー(Академія педагогічних наук України)が2000年9月4日に出した共同の命令(第428/48号)は、2000/2001学年度の前期のうちに、普通中等教育に12点の尺度を導入するとしています。

それまで使われていたのは、2から5までの4段階の点でした。命令は、移行の期間に限って、教師が古い尺度と新しい尺度のどちらを使うかを選べるとしました。ただし前期の成績は12点で付けることとし、古い尺度で採点した教師のために、次のような読み替えの目安を付けています。

4段階の点2345
移行期の書き方2−・2・2+3−・3・3+4−・4・4+5−・5・5+
12点の尺度1・2・34・5・67・8・910・11・12
教育科学省・教育学アカデミー 共同命令第428/48号(2000年9月4日)の読み替えの目安から作成(2026年9月24日閲覧)。移行期(2000/2001学年度の前期)だけのもの。

命令は、新しい尺度のねらいを、評価の質と客観性を高めること、知識をためこむ教え方から人の成長に向けた学びへ変えることと説明しています。

低学年は、点数ではなく言葉で

2011年の基準では、1年生の成績は言葉で書き、2年生からは12点で付けることになっていました(2年生も学校の教員会議が決めれば言葉で書けました)。

「新ウクライナ学校」(НУШ)の改革のもとで、小学校では点数を付けない評価が広がりました。教育科学省が2021年7月13日に出した、1〜4年生の評価についての指導の手引き(命令第813号)は、教科ごとにまとめた点数のかわりに、一つひとつの学習の成果について言葉で評価することを勧めています。1〜2年生は言葉だけ、3〜4年生は言葉か段階(П・С・Д・В の文字)のどちらかを、学校の教員会議が選ぶ形です。この手引きは「勧め」であり、学校は独自の評価の仕組みを作ることもできる、と書いています。

2026年に決まった新しい評価の制度

2026年、教育科学省は評価の仕組みを改めて定めました。先に挙げた省令第722号です。この省令は、学年を追って順に使われ始めます。

学年度新しい制度が使われる学年
2026/2027学年度から1〜9年
2027/2028学年度から1〜10年
2028/2029学年度から1〜12年
教育科学省令第722号 第2項から作成(2026年9月24日閲覧)。2011年の基準(省令第329号)は、2028年7月1日に効力を失う(同 第3項・第6項)。

新しい制度では、評価の尺度を四つ定めています。「合格/不合格」の二択の尺度、言葉による尺度、4段階の尺度、そして12点の尺度です。どれを使うかは学年で決まっています。

  • 1〜2年生:日々の学びを見守る評価(формувальне)も、単元の評価も、学期末・学年末の評価も、すべて言葉だけ
  • 3〜4年生:見守る評価は言葉。単元ごとの評価は言葉か4段階。学期末・学年末の評価は4段階
  • 5〜12年生:見守る評価は言葉・4段階・12点のどれでもよいが、その結果は学期末・学年末の成績に算入しない。単元ごとの評価と学期末・学年末の評価は12点

「合格/不合格」の尺度は、学校の教員会議が決めた一部の教科などに使えるほか、国外にいる生徒や、戦闘が行われている(行われた)地域、ロシアに一時的に占領されている地域に住んでいる(住んでいた)生徒の学習成果にも使える、と省令は定めています。

5〜9年生については、教育科学省が2026年8月14日に評価の手引き(命令第1427号)を出し、2026年9月1日から使うとしました。2024年の手引き(命令第1093号)はこれで効力を失っています。

学校が独自の尺度を使うこともできる

完全普通中等教育法第17条第4項は、学校が独自の評価の尺度を使うことを認めています。その場合、法令の定める尺度に読み替える決まりを学校が作らなければなりません。学年末の評価と、学校の段階を終えるときの国の最終評価(ДПА)は、法令の定める尺度で付けます。結果は「達成の証明書」(свідоцтво досягнень)に書かれ、生徒が次の学年に進むたびに毎年渡されます。

同じ条の第2項は、評価の種類として、日々の学びを見守る評価、途中の評価、まとめの評価(単元・学期・学年)、国の最終評価、外部の独立評価を挙げています。学年度は、法律の規定では9月1日の「知識の日」に始まり、175日以上の授業日を置き、翌年の7月1日までに終わります(同法第10条第3項)。

日本の成績と並べて見るとき

ウクライナの成績を日本の学校の成績に置き換える公式の換算表は、この記事の資料の中にはありません。数字だけを見るときは、次の点に気をつけてください。

  • 12が最高で、1が最低。10点満点や5段階の成績とは数字の意味が違う
  • 7〜9点は「十分」の段階。10〜12点が「高い」の段階
  • 1〜4年生の成績表には点数がないことがある。書かれているのは言葉か、П・С・Д・В の文字
  • 学校が独自の尺度を使っている場合がある。その学校の読み替えの決まりを見る

日本の学校に通いながらウクライナの学校にも籍を置く場合、日本の学校の成績をウクライナの学校がどう読み替えるかは、ウクライナの6科目だけを学ぶ仕組みの記事で2025年の内閣決定をもとに紹介しています。日本の学校に入るときに学習歴をどうまとめるかは日本の学校に入る前の準備の記事にあります。

出典と記事の記録出典 7件 · AIの利用 · 運営体制

出典・参考資料

  1. Закон України «Про повну загальну середню освіту» № 463-IX第10条第3項 学年度、第17条 評価の種類・独自の尺度・評価の制度を定める機関
    発行:Верховна Рада України 確認日:2026-09-24
  2. Наказ МОН № 722 від 04.05.2026 «Про затвердження системи та загальних критеріїв оцінювання результатів навчання учнів»段階的な施行、4つの尺度と対応、学年ごとの使い方、国外・占領地域の生徒の二択の尺度、2011年基準の失効日
    発行:Міністерство освіти і науки України 確認日:2026-09-24
  3. Наказ МОНмолодьспорту № 329 від 13.04.2011 «Про затвердження Критеріїв оцінювання навчальних досягнень учнів (вихованців) у системі загальної середньої освіти»4段階の説明、1年生は言葉、2年生以降は12点
    発行:Міністерство освіти і науки, молоді та спорту України 確認日:2026-09-24
  4. Наказ МОН, АПН № 428/48 від 04.09.2000 «Про запровадження 12-бальної шкали оцінювання навчальних досягнень учнів у системі загальної середньої освіти»導入の時期、移行期の扱い、4段階から12点への読み替え
    発行:Міністерство освіти і науки України, Академія педагогічних наук України 確認日:2026-09-24
  5. Наказ МОН № 813 від 13.07.20211〜4年生の評価の手引き:言葉による評価と段階による評価、学年ごとの使い方
    発行:Міністерство освіти і науки України 確認日:2026-09-24
  6. Наказ МОН № 1093 від 02.08.2024 «Про затвердження рекомендацій щодо оцінювання результатів навчання»5〜9年生の評価の手引き。2026年の命令で失効
    発行:Міністерство освіти і науки України 確認日:2026-09-24
  7. Наказ МОН № 1427 від 14.08.2026 «Про затвердження Рекомендацій щодо оцінювання результатів навчання учнів 5-9 класів…»2026年9月1日から使う、第1093号の失効
    発行:Міністерство освіти і науки України(Освіта.UA が掲載した命令の本文と署名入りPDF) 確認日:2026-09-24

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