東京は作文と面接、神奈川は3教科。外国から来た生徒の高校入試
日本の公立高校には、日本語指導が必要な生徒のための入試を設けている都道府県があります。東京都は作文と面接を日本語か英語で行い、神奈川県は英語・国語・数学をルビつきの問題で行います。ウクライナで9年の課程を終えていれば、高校の入学資格にあたります(2026年9月時点)。
日本の公立高校に入るには、ふつう入学者選抜(入試)を受けます。日本語を学び始めたばかりの生徒にとって、日本の中学生と同じ5教科の試験は大きな壁です。そのため、日本語指導が必要な生徒のための入試や受験上の配慮を設けている都道府県があります。ただし名前も、受けられる条件も、試験の中身も、都道府県ごとに違います。
以下は、文部科学省の資料と、東京都・神奈川県・大阪府の教育委員会が公開している2027(令和9)年度入試の情報を、2026年9月に確認したものです。お子さんがどの入試を受けられるかは、住んでいる都道府県の教育委員会と志願先の高校が判断します。早めに、在籍している中学校の先生か教育委員会に相談してください。
ウクライナで9年の課程を終えていれば、入学資格にあたる
高校に入る資格は、日本の中学校を卒業した人のほか、「外国において、学校教育における九年の課程を修了した者」にも認められています(学校教育法施行規則第95条第1号)。ウクライナの学校は、4年の初等教育と5年の基礎中等教育で9年です(ウクライナ教育法第12条第3項)。ウクライナで9年生を終えていれば、この条件にあたります。
このほか、中学校卒業程度認定試験に合格した人(同条第4号)や、高校が中学校卒業と同等以上の学力があると認めた人(同条第5号)にも資格があります。日本に来てから日本の中学校に編入し、そこを卒業する見込みで受験する生徒も多くいます。小学校・中学校への入り方は日本の学校に入る前に、家族がまとめておける学習歴と書類で扱っています。
国は、特別な枠と受験上の配慮を求めている
文部科学省の「外国人の子供の就学促進及び就学状況の把握等に関する指針」(2020年7月1日)は、公立高校の入試で、外国人生徒を対象とした特別定員枠の設定や、試験教科の軽減、問題文の漢字へのルビ振りといった配慮を進めるよう教育委員会に求めています。
ウクライナから避難した子どもについては、文部科学事務次官の通知(2022年4月18日)が、高校などへの編入などを希望する場合は「可能な限り弾力的に取扱い、速やかに受け入れていただく」よう求め、編入学試験でも「適切かつ柔軟な対応」を求めています。
実際にどこまで行われているかは、文部科学省の「高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査」(2025年春の入試が対象、2025年12月公表、2026年2月17日更新)で分かります。外国人生徒の特別定員枠を「設定している」と答えたのは47都道府県のうち20でした。枠を設けていない都道府県でも、ルビや試験時間の延長などの配慮をしている例があります。
三つの都府県の例
| 東京都 | 神奈川県 | 大阪府 | |
|---|---|---|---|
| 入試の名前 | 在京外国人生徒等対象の入試 | 在県外国人等特別募集 | 日本語指導が必要な帰国生徒・外国人生徒入学者選抜 |
| 主な条件 | 日本語指導が必要で、外国で9年の課程を修了(見込み)など。日本の中学校を卒業する人は原則として入国後3年以内 | 入国後の在留期間が通算6年以内(2027年2月1日現在) | 原則として外国籍などで、小学校4年生以上の学年に初めて編入学した人。府教育委員会の承認書が必要 |
| 試験 | 作文と面接(日本語か英語を選べる) | 英語・国語・数学の学力検査(ルビつき)と面接 | 数学と英語の学力検査、作文(日本語以外も可) |
| 実施校 | 12校(2027年4月入学) | 募集案内に学校ごとの検査と配点 | 8校(2027年度) |
東京都:在京外国人生徒等対象の入試
東京都の2027年度の実施要綱によれば、この入試に志願できるのは、日本語指導が必要な人で、2012年4月1日以前に生まれ、高校などに在籍していない人のうち、次のいずれかにあたる人です。
- 国籍を問わず、2027年3月31日までに外国で学校教育の9年の課程を修了する見込みか、修了した人
- 国籍を問わず、2027年3月31日までに日本の中学校を卒業する見込みか、卒業した人で、入国後の在日期間が入学日現在で原則3年以内の人(入国日が2024年1月1日以降なら3年以内とみなす)
- 外国籍で、日本国内の外国人学校で日本の9年の義務教育に相当する課程を修了する見込みか、修了した人
- 国籍を問わず、日本人学校の中学部にあたる課程を修了する見込みか、修了した人
このほか住所の条件があり、全日制を受ける場合は都内で保護者と同居していることなどが求められます。出願の前には、応募資格の確認を受けます。出願書類には、外国で9年の課程を終えたことが分かる卒業証明書などが含まれます。
2027年4月入学の実施校は、竹台、田柄、南葛飾、府中西、飛鳥、六郷工科、杉並総合、国際、一橋、浅草、荻窪、砂川の12校です。国際高校以外は2027年1月20日・21日に出願し、1月26日に検査、2月2日に合格発表です。国際高校は日程が別で、検査は2月15日です。
検査は作文と面接で、それぞれ日本語か英語を選べます。日本語の問題にはひらがなのルビが振られます。校長が必要と判断すれば学力検査を行うこともあります。この入試は一般入試より前の日程なので一般入試にも出願できますが、この入試で合格した場合、その後の入試は受けられません(都教育委員会のQ&A)。都は10〜11月ごろに説明・相談会を、12月ごろに事前の応募資格確認を行うと案内しており、事前確認では英語や中国語などの通訳が用意されます。
9月に入学する募集もあります。2027年4月1日から8月31日までに外国で9年の課程を修了する見込みか、修了した人などが対象で、出願は2027年7月1日・2日、検査は7月8日、実施校は竹台、田柄、南葛飾、府中西、飛鳥、国際の6校です。ウクライナの学年は夏に終わるため、9年生を終えてから来日する場合に合う可能性があります。
神奈川県:在県外国人等特別募集
神奈川県の2027年度の募集案内によれば、志願資格の一つは「入国後の在留期間が通算で6年以内(令和9年2月1日現在)」です。小学校1年生にあたる年齢以降に日本に在留した日数をすべて数え、2,190日(365日×6年)以内であることを意味します。
検査は、英語・国語・数学の3教科の学力検査と面接です。問題は一般の入試と同じですが、この募集の問題にはルビが付きます。学校ごとの配点と面接の観点は募集案内に載っています。
県外や海外に住んでいる人、県内に住んでいても中学校に在籍していない人は、決められた期間に「志願資格承認申請」をする必要があります。県は、通訳が必要な人向けの申請受付・相談会を2026年11月28日に横浜市西公会堂で開くと案内しています。予定している通訳の言語は中国語、タガログ語、スペイン語、ポルトガル語、英語、韓国語・朝鮮語、ネパール語などで、ウクライナ語は挙がっていません。特別募集以外の一般の入試でも、日本語を母語としない人は受検方法について申請できる、と県は説明しています。
大阪府:日本語指導が必要な帰国生徒・外国人生徒入学者選抜
大阪府の選抜に出願できるのは、原則として、中国などから帰国した人か外国籍の人で、小学校4年生以上の学年に初めて編入学した人などです。府教育委員会の審査を経て、出願資格の承認書を受け取ってから出願します。2027年度の実施校は、東淀川、福井、門真なみはや、八尾北、成美、長吉、布施北、大阪わかばの8校です(2026年6月15日公表)。
試験の中身は、2026年9月の時点で2027年度の実施要項がまだ公表されていないため、最後に行われた2026年度の実施要項で説明します。学力検査は数学と英語で、ほかに作文があります。作文は日本語以外の言語でも書け、使う言語は前もって申請します。学力検査の問題には漢字にルビが付き、作文の題の要になる語には外国語が併記されます。外国語の辞書を2冊まで持ち込め、学力検査の時間は同じ問題を使う選抜の約1.3倍です。
大阪府は、この選抜とは別に、一般の入試で受けられる配慮(試験時間の延長、辞書の持ち込み、ルビ、キーワードの外国語併記)も案内しています。こちらは原則として、外国籍などで小学校1年生以上の学年に初めて編入学した人が対象で、中学校を通じて手続きします。
準備のために、秋までにしておきたいこと
- 住んでいる都道府県の教育委員会のページで、外国から来た生徒向けの入試があるか、その名前と条件を確かめる
- 入国の日付が分かるもの(旅券の証印など)を手元に置く。神奈川県の条件や、東京都で日本の中学校を卒業して受ける場合の条件は、入国後の年数で決まる
- ウクライナで何年生まで終えたかが分かる書類をそろえる。9年の課程の修了は、高校の入学資格に関わる
- 説明・相談会や事前の資格確認の日程を控える。どちらも出願よりかなり前に行われる
- 通訳が必要かを伝え、ウクライナ語の通訳を頼めるか聞く
公立高校の授業料にあてる高等学校等就学支援金など、お金の支援も知っておくと安心です。文部科学省の2022年の通知は、前年に両親が外国に住んでいて課税所得が確認できない場合でも、就学支援金は通常の額を支給する仕組みが使えることに留意するよう求めています。受けられるかどうかは、学校や都道府県で確かめてください。
私立高校の入試は、学校ごとに決まります。ここに書いたのは公立高校の例で、2026年9月に確認したものです。入試の制度は毎年見直されるので、必ずその年度の募集要項で確かめてください。
出典・参考資料
- 学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)第95条(高等学校入学に関し中学校卒業と同等以上の学力があると認められる者)
発行:e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日:2026-09-23 - Закон України «Про освіту» від 05.09.2017 № 2145-VIII(第12条第3項:初等4年、基礎中等5年、プロフィール中等3年。2026年7月31日版)
発行:Верховна Рада України(ウクライナ最高会議)法令データベース 確認日:2026-09-23 - 外国人の子供の就学促進及び就学状況の把握等に関する指針(令和2年7月1日。公立高校入試での特別定員枠、試験教科の軽減、ルビ振り)
発行:文部科学省 確認日:2026-09-23 - ウクライナからの避難民の児童生徒等の教育機会の確保について(通知)(令和4年4月18日。高等学校等への弾力的な受入れ、編入学試験での柔軟な対応、就学支援金)
発行:文部科学省 確認日:2026-09-23 - 令和7年度 高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査(公立高等学校)(令和7年12月、令和8年2月17日更新版。外国人生徒の特別定員枠の設定状況)
発行:文部科学省 確認日:2026-09-23 - 令和9年度 海外帰国生徒等入学者選抜実施要綱 Ⅲ 在京外国人生徒等対象(実施校、日程、応募資格、出願書類、検査内容、9月入学生徒の選抜)
発行:東京都教育委員会 確認日:2026-09-23 - 令和9年度東京都立高等学校入学者選抜実施要綱・同細目について(選抜日程の一覧)
発行:東京都教育委員会 確認日:2026-09-23 - 在京外国人生徒等対象の入試について(説明・相談会と事前応募資格確認の時期、通訳、併願についてのQ&A。2026年8月10日更新)
発行:東京都教育委員会 確認日:2026-09-23 - 令和9年度神奈川県公立高等学校入学者選抜 募集案内2(基本事項Q&A、在県外国人等特別募集の選考方法、志願資格承認申請受付・相談会。令和8年7月発行)
発行:神奈川県教育委員会 確認日:2026-09-23 - 令和9年度神奈川県公立高等学校の入学者選抜募集案内
発行:神奈川県教育委員会 確認日:2026-09-23 - 令和9年度公立高等学校入学者選抜(公表資料の一覧。2026年9月16日更新)
発行:大阪府教育委員会 確認日:2026-09-23 - 令和9年度大阪府公立高等学校入学者選抜実施校(日本語指導が必要な帰国生徒・外国人生徒入学者選抜実施校)
発行:大阪府教育委員会 確認日:2026-09-23 - 令和8年度大阪府公立高等学校入学者選抜実施要項 第5 日本語指導が必要な帰国生徒・外国人生徒入学者選抜(志願資格、承認書、学力検査と作文、ルビ、辞書、検査時間)
発行:大阪府教育委員会 確認日:2026-09-23 - 日本語指導が必要な帰国生徒等に対する配慮事項(一般の入試での時間延長、辞書、ルビ、キーワードの外国語併記)
発行:大阪府教育委員会 確認日:2026-09-23
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