第八章 次のページへ
新しい札の前で、オリュカはすぐに飛び出さなかった。
新しい案内所には、新しい見出しが遠くにある。シメロはまっすぐ見渡せる幅を揃え、タブリは入口の端へ青いタブを一枚置いた。ヨリクネはすでにある脇の折り目を見つけたが、尾を一折り畳んでから、一本だけ先を出す。スウネの灯は、白い棚の境目にそっと留まった。遠くの棚がめくられる気配と、タブが紙を押す小さな音だけがした。
前のページの印や文字はここにはない。タブリもそれを知っている。だから甲羅の中から前の印を探したりしなかった。ただ、オリュカがしおりを伸ばせる場所の隣に、戻るための幅を残した。
シメロは線を引こうとして、空中で手を止めた。入口へ届いた新しい札には、まだ言葉が見えない。線の先へ急がなくても、見出しは消えずにそこにあった。
「入口は、ここだ」
シメロはしばらく札を見つめた。やがて手を開く。
「……待つ」

ヨリクネの尾がむずむずと動く。どんな問いだろう、どの脇道が面白いだろう。口を開きかけたところで、タブリが自分のタブの位置を確かめる小さな音がした。ヨリクネも尾を畳み、札に目を戻す。
オリュカはタブリの横へ降りた。最初に会ったときも、余白の入口で翼を広げすぎて、帰りの小さな角を踏んだ。今は翼の下に、このページの新しい角がちゃんと見える。
「最初は、見えなかったね」とタブリ。
「翼が、上にあったから」
オリュカが翼を半分だけ上げると、甲羅のタブの青が見えた。タブリはそれを見上げ、いつものようにまっすぐ揃える。二人とも、もう先に足を出さなかった。
「準備はできたね」とオリュカ。
「うん。まだ、どこへ行くかは決めてない」とスウネ。
「決めるのは、ぼくたちじゃない」とシメロが言った。
オリュカは笑った。「そうだね」
しばらくして、紙の向こう側から開く力が伝わり、札がわずかに傾いた。五人はその動きを見届ける。オリュカは傾いた向きに合わせて、黄色いしおりを伸ばす。見出しへの道が明るくなり、隣の帰りのタブは隠れない。脇の折り目も、白い棚も、同じ一枚の紙に残る。シメロは線の端に指を置いたまま、オリュカが翼を下ろすのを待った。

入口を示したあと、オリュカは翼を半分だけ開き、横へ退いた。
「次のページは、きみが選んでいい」
小さく紙がめくれた。見出しの先には、まだ読まれていないページがある。五人はその文字を先回りして知らない。紙の擦れる音が遠ざかっても、青いタブは帰り側を向き、橙の尾は一つの角だけを指し、スウネの灯の向こうには線のない白が残った。オリュカは入口から身を引いたまま、それらが全部見える幅を確かめる。

また問いが生まれるなら、ここから始められる。寄り道をしても戻れるし、分からないところは白いまま置ける。オリュカはその静かな紙面に、次の小さな音を待った。
目次(全8章)
このお話は、Ukrainaviの案内役オリュカと仲間たちが登場する創作の物語です。実在するウクライナの場所や出来事を描いたものではありません。挿絵は、生成画像をもとにした創作イラストです。