EUに入る有機の穀物の3割近くはウクライナ産。有機の法律と認証
2025年、EUが輸入した有機の穀物の27.7%はウクライナ産で、国別の1位でした。ウクライナには2018年の法律と国の「有機」ロゴがありますが、輸出の多くはEUや米国の基準で認証されてきました。2026年に採択された新しい法律は、2029年7月に古い法律と入れ替わります。
オリュカのひとこと
有機のロゴの下に並ぶ番号は、何を表しているのでしょう。三つの項目が最初の節に並んでいます。
2025年にEUが輸入した有機(オーガニック)の穀物は約31万トンで、そのうち27.7%にあたる約8万6,000トンがウクライナから来ました。国別で1位です。欧州委員会が2026年6月にまとめた報告によれば、有機の農産物・食品全体でも、ウクライナはEUへの輸入量で5番目の国でした。
ウクライナには、有機の生産と表示を定める法律と、国の「有機」のロゴがあります。一方で、輸出される有機の産品の多くは、EUなど輸出先の基準にもとづく認証で動いてきました。法律、ロゴ、認証と登録の仕組み、輸出の数字を、法令の条文と所管省・欧州委員会の公表資料から見ていきます。数字は2026年9月時点で公表されているものです。
2018年の法律と、国の「有機」ロゴ
根拠になってきたのは、2018年7月10日の法律第2496-VIII号「有機の生産、流通、表示の基本原則と要件について」です。最終規定は、公布の翌日に効力を生じ、その1年後から運用されると定めています。公布は2018年8月1日の議会の新聞『ホロス・ウクライィヌィ』で、計算すると運用の開始は2019年8月2日になります。
法律第34条によれば、「有機」と表示できるのは、法令の要件どおりに生産され、農業由来の原料の95%以上(水と食塩を除いた重さ)が有機の原料である製品です。その生産は認証機関の証明書で裏づけられていなければなりません。
有機の製品には、国の「有機製品のロゴ」を付けなければなりません。所管の農業政策・食料省によれば、ロゴは2019年2月22日の同省令第67号で定められました。ロゴの下には、次の三つを並べた番号を入れます(第34条第4項)。
- 生産国を示す略号
- 「organic」という文字
- 認証をした機関の登録番号
有機への切り替えの途中にある「移行期間」の産品や、有機でない産品にロゴを付けたり、「有機」「ビオ」「エコ」などの語を使ったりすることは禁じられています(第34条第5項・第11項)。同省は、ロゴの付いた有機の製品が店に並び始めたのは2023年9月からだと説明しています。
ウクライナの基準の認証機関は2つ、登録された事業者は293
法律の仕組みでは、ウクライナの基準で有機を認証するのは、国の登録簿に載った認証機関です。認証機関は国立認定機関の認定を受けてから登録簿に入ります。同省によれば、最初の認定は2023年5月、2つ目は2024年で、2024年末の時点で登録簿に載った認証機関は2つでした。
ウクライナの基準で認証を受けた生産者・加工業者などの「事業者」の国の登録簿は、2023年8月に始まりました。同省が公開している登録簿(2025年9月12日時点)には、293の事業者が載っています。作物の栽培のほか、畜産・養蜂、飼料、食品の加工などが並びます。
輸出向けは、EUや米国の基準で認証されてきた
ウクライナの有機の生産の大部分は、国内の基準ではなく、輸出先の基準で認証されています。同省が外国の認証機関に聞き取った調べでは、2023年12月31日時点で、EUの基準と同等の基準や米国の全国有機プログラム(NOP)で認証された農地は、移行期間の農地を含めて47万1,176ヘクタールで、ウクライナの農地全体の1.1%でした。
| 認証の基準 | 農地(移行期間を含む) | うち有機の地位を得た農地 | 事業者の数 |
|---|---|---|---|
| EUと同等の基準・米国NOP(外国の認証機関) | 471,176ヘクタール | 390,923ヘクタール | 481(うち農業生産者383) |
| ウクライナの法律の基準 | 77,463ヘクタール | 71,728ヘクタール | 152(うち農業生産者134) |
オリュカのひとこと
27.7%は、どの品目の、何年の割合なのでしょう。欧州委員会の報告から作った表で確かめましょう。
EUへの有機の輸出:穀物が半分
欧州委員会は、EUの電子システム(TRACES)の記録から、有機の産品の輸入量を集計しています。その報告(2026年6月)によれば、2025年のEUの有機の農産物・食品の輸入は297万6,129トンで、前年より12.8%増え、統計を取り始めた2018年以降で最も多くなりました。
ウクライナからは17万4,701トンで、前年の20万3,897トンから14.3%減りました。国別の順位は、エクアドル、中国、ペルー、ドミニカ共和国に次ぐ5位で、全体の5.9%です。2024年の量は、エクアドル、中国に次ぐ3番目の多さでした。
| 品目の分類 | 2024年(トン) | 2025年(トン) | EUの輸入に占める割合(2025年) |
|---|---|---|---|
| 穀物 | 83,728 | 85,859 | 27.7%(国別1位) |
| 油糧作物・たんぱく作物 | 78,069 | 48,828 | 9.3%(国別3位) |
| 果物・ナッツ | 22,517 | 20,250 | 1.9% |
| 植物油(油糧・パーム) | 5,842 | 6,963 | — |
| 果物・ナッツ・野菜の調製品 | 2,887 | 4,702 | — |
| ウクライナからの合計 | 203,897 | 174,701 | 5.9%(国別5位) |
ウクライナからの有機の輸入は、2025年には穀物がほぼ半分(49.1%)を占めました。同省は、2023年の有機の輸出の上位の品目を、トウモロコシ、大豆、ひまわりの油かすとしています。
2026年の新しい法律と、2029年の切り替え
ウクライナの最高会議は2026年6月30日、有機の生産を定める新しい法律第4921-IX号「有機の生産、流通、表示の国家規制について」を採択しました。農業政策・食料省は7月20日、大統領が署名したと発表し、EUの法令の要件に合わせるもので、EU加盟交渉の第11章「農業と農村開発」に関わる約束の一つだと説明しています。
議会の法令データベースによれば、法律は2026年7月21日に公布され、一部の規定は翌22日に効力を生じました。法律全体は公布から3年後の2029年7月21日に効力を生じ、その日に2018年の法律は効力を失います。それまでに出された証明書は有効期限まで使えます。
同省は新しい法律の中身として、国の監督のもとで認証機関が点検を担う仕組み、小さな生産者がまとまって受けられる「グループ認証」、有機の家畜の登録簿などを挙げています。
日本とのあいだでは
農林水産省が示す、日本と有機の「同等性」を認め合った国・地域(2026年4月1日現在)は、米国、EU、カナダ、台湾、英国、スイスで、ウクライナは入っていません。日本への食品の輸入の手続きはウクライナの食品を日本に輸入する手続きと窓口で扱っています。
出典と記事の記録
出典・参考資料
- Закон України «Про основні принципи та вимоги до органічного виробництва, обігу та маркування органічної продукції» № 2496-VIII2018年7月10日。第34条の表示・ロゴ・番号、最終規定の効力と運用の開始、2029年7月21日の失効予定
発行:ウクライナ最高会議 確認日:2026-09-24 - 同法の文書カード公布:Голос України 2018年8月1日
発行:ウクライナ最高会議 確認日:2026-09-24 - Закон України «Про державне регулювання органічного виробництва, обігу та маркування органічної продукції» № 4921-IX2026年6月30日採択。最終規定の効力の発生と旧法の失効、証明書の扱い
発行:ウクライナ最高会議 確認日:2026-09-24 - 同法の文書カード公布:Голос України 2026年7月21日、一部の効力2026年7月22日、全体の効力2029年7月21日
発行:ウクライナ最高会議 確認日:2026-09-24 - Органічне виробництво в Україні2024年11月15日掲載。2023年末の農地・事業者の数、輸出、認証機関の認定、事業者の登録簿の開始、ロゴ付き製品の登場
発行:ウクライナ農業政策・食料省 確認日:2026-09-24 - Маркування органічної продукції2024年2月9日掲載。ロゴを定めた2019年2月22日の省令第67号
発行:ウクライナ農業政策・食料省 確認日:2026-09-24 - Державний реєстр операторів, що здійснюють виробництво продукції відповідно до вимог законодавства у сфері органічного виробництва2025年9月12日時点、293事業者
発行:ウクライナ農業政策・食料省 確認日:2026-09-24 - Україна оновлює правила органічного ринку за стандартами ЄС2026年7月20日。法律第4921-IX号の署名と主な中身、交渉第11章
発行:ウクライナ農業政策・食料省 確認日:2026-09-24 - The EU imports of organic agri-food products: Key developments in 2025分析報告第16号、2026年6月。表6・9・10・22
発行:欧州委員会 農業・農村開発総局 確認日:2026-09-24 - 有機食品の同等性について日本と有機同等性を相互承認した国・地域、2026年4月1日現在
発行:農林水産省 確認日:2026-09-24
記載内容に誤りを見つけた場合は、訂正のご連絡からお知らせください。確認のうえ、訂正した内容と経緯を記事に記載します。





