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ビジネス・復興/解説

ルガーノの七原則からタリンへ。ウクライナ復興会議の年表

ウクライナ復興会議は、2022年のルガーノから毎年開かれ、2026年6月のグダンスクで復興会議として5回目になりました。前身は2017年に始まった改革会議です。開催地と共催国、ルガーノ原則の七つの項目、回ごとの主題、足し算できない発表額の読み方を、各回の成果文書で見ます。

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オリュカのひとこと

復興の会議は、どんな会議から始まったのでしょう。最初の見出しで確かめられます。

2026年6月25日と26日、ポーランドの港町グダンスクで「ウクライナ復興会議」(Ukraine Recovery Conference、URC)が開かれました。ポーランドとウクライナの両政府が共催し、閉会式では次の開催国エストニアに役目が引き継がれました。エストニア外務省によれば、次回は2027年1月28日と29日にタリンで開かれます。

この会議は、ロシアによるウクライナへの全面侵攻が始まった2022年から毎年開かれています。ただ、その前身は2017年に始まった別の名前の会議でした。開催地と日付、最初の会議で決まった七つの原則、回ごとの主題、そして発表される金額の読み方を、各回の成果文書から見ていきます。

改革の会議から、復興の会議へ

昔の呼び名「ウクライナ改革会議」、今の呼び名「ウクライナ復興会議」

会議の略称URCは、もとは「ウクライナ改革会議」(Ukraine Reform Conference)の略でした。2017年のロンドンから、コペンハーゲン(2018年)、トロント(2019年)、ヴィリニュス(2021年)と、ウクライナが改革の進み具合を示し、次の課題を話し合う場として持ち回りで開かれていました。

2022年のルガーノの会議は、5回目の改革会議として準備が進んでいました。会議の公式サイトによれば、2022年2月24日の全面侵攻を受けて、スイスとウクライナは開催を続けたうえで主題を復興に切り替え、名前を「ウクライナ復興会議」に改めました。略称のURCはそのまま残っています。日本の外務省は、ルガーノの会議を「ウクライナの復興に関する国際会議」、2023年以降を「ウクライナ復興会議」と訳しています。

オリュカのひとこと

会議は、どの町で開かれてきたのでしょう。この年表で確かめられます。

年表:開催地と共催国

年開催地・日付共催(ウクライナと)主な成果文書・発表典拠
2017年ロンドン(7月)英国改革会議URC公式サイト
2018年コペンハーゲン(6月)デンマーク改革会議URC公式サイト
2019年トロント(7月)カナダ改革会議URC公式サイト
2021年ヴィリニュス(7月7〜8日)リトアニア改革会議URC公式サイト
2022年ルガーノ(7月4〜5日)スイスルガーノ宣言と「ルガーノ原則」宣言の本文
2023年ロンドン(6月21〜22日)英国共同議長声明英国政府、URC公式サイト
2024年ベルリン(6月11〜12日)ドイツ共同議長声明ドイツ政府、URC公式サイト
2025年ローマ(7月10〜11日)イタリア共同議長声明イタリア・ウクライナ両政府の声明
2026年グダンスク(6月25〜26日)ポーランド約200の合意・契約などの署名(ポーランド政府の発表)ポーランド政府
2027年(予定)タリン(1月28〜29日)エストニア―エストニア外務省
URC公式サイトの過去の会議の一覧、各回の成果文書、ポーランド基金・地域政策省(2026年6月30日)とエストニア外務省(2026年7月7日)の発表による。2020年の会議は一覧に載っていない。
  1. オリュカ

    この会議は、何回目と数えればいいのかな。

  2. スウネ

    改革会議を含めるかどうかで数え方が変わることが、この見出しの下にあるよ。

  3. タブリ

    前の名前の会議がどう続いてきたかは、記事のはじめの見出しに戻れば読めるよ。

何回目と数えるか

回の数え方は、改革会議を含めるかどうかで変わります。会議の公式サイトは、ルガーノの会議を改革会議から数えて「5回目」と書いていました。一方、2025年のローマの会議は「4回目のウクライナ復興会議」とされ、エストニア外務省はグダンスクの会議を「5回目」、タリンの会議を「6回目」の復興会議と数えています。復興会議として数えるなら、ルガーノが1回目で、2027年のタリンが6回目です。

ルガーノで決まった七つの原則

2022年のルガーノ宣言は、41か国と、欧州評議会、欧州復興開発銀行、欧州委員会、欧州投資銀行、経済協力開発機構(OECD)の代表が参加してまとめた文書です。日本も参加国に名を連ねています。宣言は自らを「政治的な、法的拘束力のない文書」とし、付属の「ルガーノ原則」を、復興の進め方の指針として支持しました。

  • パートナーシップ:復興はウクライナが主導し、国際的なパートナーと協力して進める
  • 改革の重視:復興は、欧州への道に沿ったウクライナの改革を速め、深めるものにする
  • 透明性、説明責任、法の支配:復興はウクライナの人々に対して透明で説明のつくものにし、汚職をなくす
  • 民主的な参加:避難した人や国外から戻る人を含む住民、地方自治、分権にもとづく社会全体の取り組みにする
  • 多様な主体の関与:民間、市民社会、大学・研究機関、地方政府の協力を促す
  • ジェンダー平等と包摂:誰も取り残さず、格差を減らす
  • 持続可能性:持続可能な開発のための2030アジェンダとパリ協定に沿って、グリーンな移行を含めて再建する

宣言は最後に、次の会議を英国が開くとの申し出を歓迎しています。2023年から2025年までの成果文書は、共催の両政府が出す「共同議長声明」の形をとっています。

回ごとの主題

ロンドン(2023年):英国とウクライナの共同議長声明は、59か国の閣僚や企業の代表が集まったとし、民間が主導する復興を柱に据えました。戦争のリスクを引き受ける保険の枠組み(London Conference War Risk Insurance Framework)が立ち上がり、42か国の約500社が復興に協力する「ウクライナ・ビジネス・コンパクト」に署名したと書いています。

ベルリン(2024年):標語は「防衛で団結し、復興で団結する。ともにより強く」です。声明は、3,400人を超える参加者が「企業」「人」「地方・地域」「EU」の四つの柱で話し合ったとし、ウクライナがEUの加盟候補国になって初めてEU加盟国で開かれた会議だと位置づけています。中小企業を支える国際的な枠組み「中小企業レジリエンス同盟」もここで立ち上がりました。

ローマ(2025年):イタリアとウクライナの声明は、約7,000人が参加した最大の回だったとし、ベルリンの四つの柱を引き継ぎました。ゼレンスキー大統領が「ウクライナ復興連合」の結成を呼びかけたこと、欧州投資銀行を通じた欧州委員会とイタリア・フランス・ドイツ・ポーランドによる株式ファンドができたことを挙げ、文化遺産、科学・研究の協力にも節を割いています。

グダンスク(2026年):ポーランド基金・地域政策省の発表によれば、7,500人を超える参加者、67の公式代表団、38の国際機関などが集まりました。会議の公式サイトは、地方・地域、EU、安全保障などを会議の柱として挙げています。2026年9月時点で、グダンスクの会議の共同議長声明は確かめられていません。

発表される金額の読み方

  1. オリュカ

    会議のたびに発表される金額は、足していけばいいのかな。

  2. スウネ

    何を数えた金額かが回ごとに違うことが、この見出しの下の表に並んでいるよ。

  3. シメロ

    金額を読むときは、まず表のすぐ後の段落から読もう。

金額は足し算できない

各回の終わりには大きな金額が発表されます。ただ、何を数えた金額なのかが回ごとに違います。

回発表された金額何の金額か(文書の書き方)発表した主体
ロンドン(2023年)600億ドルパートナーが追加で出すことに合意した額。EUが示した最大500億ユーロの複数年の枠組みは別に書かれている英国・ウクライナの共同議長声明
ベルリン(2024年)160億ユーロ超110を超える合意の署名と、会議中の発表を合わせた額。一部はEUの「ウクライナ・ファシリティ」の新たな約束でまかなわれるドイツ・ウクライナの共同議長声明
ローマ(2025年)98億ユーロ新たな資金の約束。これとは別に、合意・覚書の総額が50億ユーロイタリア・ウクライナの共同議長声明
グダンスク(2026年)約100億ユーロ署名された約200の合意・契約・宣言のうち、180弱の契約の総額ポーランド基金・地域政策省
各回の共同議長声明とポーランド政府の発表(2026年6月30日)による。通貨は文書のまま。

この表の金額を足しても、ウクライナに届いたお金の合計にはなりません。約束、融資、保証、企業どうしの契約、覚書が混ざっていて、通貨も違います。ロンドンで示されたEUの枠組みの一部が、ベルリンの金額にも入っているように、同じ資金が複数の回に数えられることもあります。約束された額と実際に支払われた額の違いは「復興が進んだ」と発表されたときの記事で、復興に必要な額の見積もりは復興費用の見積もりの記事で扱っています。

日本の参加

外務省によれば、日本からはルガーノに鈴木貴子外務副大臣、ロンドンに林芳正外務大臣、ベルリンに深澤陽一外務大臣政務官、ローマに藤井比早之外務副大臣、グダンスクに国光あやの外務副大臣が出席しました。ロンドンの共同議長声明は、世界銀行グループの多数国間投資保証機関(MIGA)の信託基金への日本の拠出(2,300万ドル)に触れています。この基金と政治リスク保険は政治リスク保険の記事にあります。2024年2月に東京で開かれた「日・ウクライナ経済復興推進会議」は、この一連の会議とは別の会議で、その後を追った記事があります。

次はタリンで

エストニア外務省によれば、エストニアとウクライナの外相は2025年10月、2027年の会議をエストニアで開く覚書に署名しました。グダンスクの閉会式で役目を引き継いだツァフクナ外相は、2026年7月7日、会議を2027年1月28日と29日にタリンで開くと述べています。これまでの回は6月か7月に開かれてきたので、開催の時期が変わることになります。

出典と記事の記録出典 19件 · AIの利用 · 運営体制

出典・参考資料

  1. Outcome Document of the Ukraine Recovery Conference URC2022 ‘Lugano Declaration’2022年7月4〜5日。参加国、法的拘束力のない文書であること、ルガーノ原則7項目、次回の英国
    発行:Governments of Switzerland and Ukraine(URC公式サイトの掲載ファイル) 確認日:2026-09-27
  2. Ukraine Recovery Conference 2022改革会議から名前を改めた経緯、過去4回の開催国
    発行:Ukraine Recovery Conference(urc-international.com) 確認日:2026-09-27
  3. Ukraine Recovery Conferenceトップページ。2026年の日付と共催、過去の会議の一覧、会議の柱
    発行:Ukraine Recovery Conference(urc-international.com) 確認日:2026-09-27
  4. URC 2023ロンドン、2023年6月21〜22日
    発行:Ukraine Recovery Conference(urc-international.com) 確認日:2026-09-28
  5. Ukraine Recovery Conference (URC2024)ベルリン、2024年6月11〜12日
    発行:Ukraine Recovery Conference(urc-international.com) 確認日:2026-09-28
  6. Ukraine Reform Conference 2021ヴィリニュス、2021年7月7〜8日
    発行:Ukraine Recovery Conference(urc-international.com) 確認日:2026-09-27
  7. URC2025ローマ、2025年7月10〜11日、4回目の復興会議
    発行:Ukraine Recovery Conference(urc-international.com) 確認日:2026-09-27
  8. Co-chairs’ statement by the governments of Ukraine and the United Kingdom, co-hosts, Ukraine Recovery Conference 2023, London59か国、600億ドル、EUの最大500億ユーロ、保険の枠組み、ビジネス・コンパクト、日本のMIGAへの2,300万ドル
    発行:UK Foreign, Commonwealth & Development Office 確認日:2026-09-27
  9. Co-Chairs’ Statement by the Governments of Ukraine and the Federal Republic of Germany, Ukraine Recovery Conference 2024標語、3,400人超、四つの柱、110超の合意と160億ユーロ超、中小企業レジリエンス同盟、次回イタリア
    発行:Bundesministerium für wirtschaftliche Zusammenarbeit und Entwicklung 確認日:2026-09-27
  10. Co-Chairs’ Statement by the Governments of Ukraine and the Italian Republic, Ukraine Recovery Conference 2025約7,000人、98億ユーロと50億ユーロ、復興連合、欧州の旗艦ファンド
    発行:Governments of Italy and Ukraine(URC公式サイトの掲載ファイル) 確認日:2026-09-27
  11. Ukraine Recovery Conference 2026 w Gdańsku2026年6月30日。参加者、代表団、合意・契約の数と金額
    発行:Ministerstwo Funduszy i Polityki Regionalnej 確認日:2026-09-27
  12. Foreign Minister Tsahkna: the next Ukraine Recovery Conference will take place in Tallinn in 20272026年6月26日
    発行:Välisministeerium(エストニア外務省) 確認日:2026-09-27
  13. Foreign minister Tsahkna to President Zelenskyy: preparations for the Ukraine Recovery Conference in Tallinn are already under way2026年7月7日。2027年1月28〜29日
    発行:Välisministeerium(エストニア外務省) 確認日:2026-09-27
  14. Ukraine2025年10月の覚書
    発行:Välisministeerium(エストニア外務省) 確認日:2026-09-27
  15. 鈴木外務副大臣の「ウクライナの復興に関する国際会議」出席2022年7月
    発行:外務省 確認日:2026-09-27
  16. 林外務大臣の「ウクライナ復興会議」への出席等2023年6月21日
    発行:外務省 確認日:2026-09-27
  17. 深澤外務大臣政務官のドイツ連邦共和国訪問2024年6月
    発行:外務省 確認日:2026-09-27
  18. 藤井外務副大臣のイタリア共和国訪問2025年7月
    発行:外務省 確認日:2026-09-27
  19. 国光あやの外務副大臣のウクライナ、ポーランド共和国及びクロアチア共和国訪問(結果)2026年6月
    発行:外務省 確認日:2026-09-27

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