本文へ移動

ウクライナの人・文化・社会・未来を、日本と世界につなぐ

Ukrainavi Ukrainavi

ビジネス・復興/データ・資料

小麦の収穫量も面積も3割減。数字で見るウクライナの三大作物

国連食糧農業機関(FAO)の統計によれば、ウクライナの小麦の生産量は2021年の3,218万トンから2024年には2,244万トンになり、収穫面積もほぼ同じ割合で減りました。トウモロコシとひまわりの種も含めた三つの作物について、2021〜2024年の生産量・面積・単収を並べ、2022年から統計の範囲が変わったことを説明します。

オリュカのひとこと

2022年から数えている範囲が変わりました。前後の数字は、そのまま比べてよいのでしょうか。

ウクライナの畑で最も多く穫れる作物は、トウモロコシ、小麦、ひまわりの種です。国連食糧農業機関(FAO)の統計データベース FAOSTAT によれば、2021年の生産量はトウモロコシが4,211万トン、小麦が3,218万トン、ひまわりの種が1,639万トンでした。2024年には、それぞれ2,686万トン、2,244万トン、1,096万トンになっています。

三つとも、2021年から2024年のあいだに3割以上減りました。ただ、減り方の中身は作物によって違います。数字の出どころと、2022年に統計の範囲が変わったことから順に見ていきます。

数字の出どころ

ウクライナの農作物の生産量を公式に集計しているのは、国家統計局(Держстат)です。FAOSTAT は各国の公式統計を集めたデータベースで、この記事で使ったウクライナの2019〜2024年の値には、いずれも「公式の数値(Official figure)」を示す記号が付いています。2021年と2022年のひまわりの種の生産量は、国家統計局が公表している年次の表(1,639万2千トン、1,132万9千トン)と、FAOSTAT の値が千トン単位で一致します。

2026年9月時点で FAOSTAT に載っているのは2024年までです。2025年の収穫の確定値は、この記事では扱っていません。

2021年から2024年の生産量

作物2021年2022年2023年2024年
小麦3,2182,0732,1632,244
トウモロコシ4,2112,6193,1032,686
ひまわりの種1,6391,1331,2761,096
単位は万トン(千の位を四捨五入)。出典:FAO「FAOSTAT 作物・畜産物の生産」(2026年9月24日に取得した一括データ)。ひまわりの種は油を搾る前の種子の重さ。国家統計局の注記によれば、2021年の値はクリミア自治共和国、セヴァストポリ市、ドネツィク州・ルハンシク州の占領地域の一部を、2022年の値はそれに加えて2022年以降の占領地域と戦闘地域の一部を含まない。

2021年は、国家統計局の年次の表で穀物・豆類の合計が8,601万トンに達した年です。翌2022年、その合計は5,386万トンになりました。2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナへの全面侵攻のあと、最初の収穫の年です。

2021年と比べた2022年の減少は、小麦が35.6%、トウモロコシが37.8%、ひまわりの種が30.9%でした(この記事の計算)。2023年は三つとも持ち直しましたが、2024年には小麦を除いて再び減っています。

2022年から、数えている範囲が違う

この表を読むときに欠かせない注意があります。国家統計局の年次の表には、年ごとに注記が付いています。2021年の値は「一時的に占領されたクリミア自治共和国、セヴァストポリ市、ドネツィク州とルハンシク州の一時的に占領された地域の一部」を含みません。2022年の値は、それに加えて「ロシア連邦に一時的に占領された地域と、戦闘が行われている(行われた)地域の一部」を含まない、と書かれています。

つまり2022年の減少には、畑が荒らされたり耕せなくなったりした分と、統計の対象から外れた分の両方が入っています。表の数字から、その二つを分けることはできません。

同じ表の2022年の値には、もう一つ注記があります。企業が実際に提出した報告(提出率82%)と推計をもとにまとめた値で、今後修正されることがある、というものです。

収穫面積と、1ヘクタールあたりの収量

作物2021年2022年2023年2024年
小麦710 / 4.53528 / 3.92466 / 4.64488 / 4.60
トウモロコシ548 / 7.68412 / 6.35398 / 7.81407 / 6.60
ひまわりの種667 / 2.46524 / 2.16520 / 2.45503 / 2.18
左が収穫面積(万ヘクタール、千の位を四捨五入)、右が1ヘクタールあたりの収量(トン)。収量は FAOSTAT の生産量を収穫面積で割ったこの記事の計算。出典と範囲は上の表と同じ。

小麦は、2021年から2024年に生産量が30.3%減り、収穫面積も31.2%減りました。1ヘクタールあたりの収量は2021年の4.53トンに対し、2024年は4.60トンで、ほとんど変わっていません。小麦の減少は、数字の上では、穫れる量が落ちたというより、穫り入れた畑が減ったことで説明できます。

トウモロコシとひまわりの種は事情が違います。2023年の1ヘクタールあたりの収量は2021年並みに戻りましたが、2024年は両方とも下がっています(トウモロコシ6.60トン、ひまわりの種2.18トン)。面積の減少に加えて、収量の低下が生産量を押し下げた年です。2024年の収量が下がった理由は、この統計からは分かりません。

オリュカのひとこと

穫れた量と、国外へ送り出した量は別の数字です。何が違うのか確かめましょう。

生産量と輸出量は別の数字

生産量は、その年に畑で穫れた量です。国外に売られた量ではありません。ウクライナの穀物の輸出は7月から翌年6月までの「販売年度」で数えられ、発表する主体も違います。港と輸出の経路については、オデーサの港が攻撃で止まった夏、ウクライナの穀物はどこから出ていくかで扱っています。

ウクライナの産業全体の中で農業がどれほどの比重を占めるかは戦時下のウクライナの産業、黒土と気候についてはウクライナの川は三つの海へ向かうの記事にあります。

三つの作物の数字を追うときは、どの年から統計の範囲が変わったか、生産量なのか輸出量なのか、そして確定値か速報かを、数字と一緒に確かめておくと読み違えにくくなります。

出典・参考資料

  1. Production: Crops and livestock products(一括データ Production_Crops_Livestock_E_Europe。Ukraine の Wheat、Maize (corn)、Sunflower seed の生産量・収穫面積 2019〜2024年と記号「A=公式の数値」)
    発行:Food and Agriculture Organization of the United Nations(FAO) 確認日:2026-09-24
  2. FAOSTAT Crops and livestock products(データベースの掲載ページ)
    発行:Food and Agriculture Organization of the United Nations(FAO) 確認日:2026-09-24
  3. Рослинництво (1991-2022)(穀物・豆類とひまわりの種の生産量、2021年・2022年の注記3・4・5)
    発行:Державна служба статистики України 確認日:2026-09-24
  4. Площі, валові збори та урожайність сільськогосподарських культур(年次データセットの掲載ページ)
    発行:Державна служба статистики України 確認日:2026-09-24

記載内容に誤りを見つけた場合は、訂正のご連絡からお知らせください。確認のうえ、訂正した内容と経緯を記事に記載します。