収穫の98%は企業でなく世帯から。ウクライナのくるみと輸出
ウクライナは2024年、殻をむいたくるみを2万3,318トン輸出し、行き先はフランスやルーマニアなどヨーロッパが中心でした。国家統計局の数字では、収穫の98%以上が農業企業ではなく住民の世帯のものです。殻つきとむき身の違い、「世界○位」の比べ方、日本との関係を、2026年9月時点の統計で見ます。
オリュカのひとこと
くるみは、どこでどれだけ採れているのでしょう。最初の見出しで確かめられます。
ウクライナは、くるみを外国へ売る国の一つです。国連の貿易統計データベース(UN Comtrade)に載るウクライナの報告によれば、2024年に殻をむいたくるみを2万3,318トン、8,268万ドル分輸出しました。行き先はフランス、ルーマニア、ギリシャなどヨーロッパの国が中心です。
そのくるみは、どこで採れているのか。国家統計局の数字では、収穫の98%以上が農業企業ではなく「住民の世帯」のものです。生産、輸出の二つの品目、行き先、「世界○位」という言い方の条件、日本との関係を、2026年9月時点で見られる統計で順に見ます。
収穫の98%は、企業ではなく世帯から
国家統計局の「多年生作物の生産」の表は、くるみ(горіх волоський)の収穫を、農業企業(個人の農場を含む)と「住民の世帯」(господарства населення)に分けて示しています。数字は殻つきの重さです。
| 年 | 収穫の合計 | 農業企業 | 住民の世帯 | 世帯の割合 |
|---|---|---|---|---|
| 2020年 | 11万3,320トン | 900トン | 11万2,420トン | 99.2% |
| 2021年 | 11万5,420トン | 1,310トン | 11万4,110トン | 98.9% |
| 2022年 | 10万7,660トン | 1,460トン | 10万6,200トン | 98.6% |
表の注によれば、世帯の収穫量には「庭やぶどう畑の外に1本ずつ生えている木や茂み」からの収穫も含まれます。くるみの収穫のほとんどは、企業の果樹園ではなく、住民の世帯が持つ木から来ていることになります。
植えられている面積でも差があります。2022年に、くるみの木を植えた面積は企業が4,600ヘクタールで、そのうち実をつける年齢に達していたのは1,800ヘクタールでした。世帯は1万2,500ヘクタールで、そのうち1万1,600ヘクタールが実をつける年齢でした(いずれも国家統計局)。
国連食糧農業機関(FAO)の統計(FAOSTAT)は、ウクライナの2023年の収穫を10万6,120トン(公式の数字)、2024年を10万6,900トン(FAOの推計)としています。国家統計局の公開の表は2022年までです。
オリュカ
くるみの輸出は、統計でどう分けて数えているのかな。
シメロ
輸出の数字を読むなら、まずこの見出しの下の表から読もう。
スウネ
殻つきとむき身の重さをそのまま比べられないことも、この見出しの下にあるね。
殻つきと、むき身。統計では二つの品目
貿易の統計では、くるみは二つの番号に分かれます。国際的な品目の分類(HSコード)で、0802.31が殻つき、0802.32が殻を除いたむき身です。むき身は殻の分だけ軽いので、殻つきの収穫量と重さをそのまま比べることはできません。
| 年 | 殻つき(0802.31) | むき身(0802.32) |
|---|---|---|
| 2019年 | 2万7,269トン・2,235万ドル | 4万775トン・1億1,606万ドル |
| 2020年 | 1万357トン・905万ドル | 2万8,606トン・8,837万ドル |
| 2021年 | 7,681トン・958万ドル | 2万7,886トン・1億668万ドル |
| 2022年 | 5,261トン・483万ドル | 2万64トン・7,531万ドル |
| 2023年 | 8,585トン・768万ドル | 2万2,031トン・6,913万ドル |
| 2024年 | 6,674トン・864万ドル | 2万3,318トン・8,268万ドル |
輸出の中心はむき身です。2024年のむき身の輸出額は、殻つきのおよそ10倍でした。2019年と比べると、むき身の重さは4万775トンから2万3,318トンに減り、殻つきはさらに大きく減っています。
どこへ売っているか
同じデータベースで2024年のむき身の行き先を金額で見ると、フランス(16.9%)、ルーマニア(13.5%)、ギリシャ(9.8%)、ポーランド(7.4%)、アゼルバイジャン(6.3%)、オランダ(4.9%)の順でした。2021年も、フランス(16.8%)、ギリシャ(10.9%)、オランダ(9.0%)が上位で、ヨーロッパの国が中心という形は変わっていません。
殻つきは行き先が違い、2024年はイラク(21.0%)、アゼルバイジャン(17.5%)、アルバニア(14.6%)、トルコ(12.9%)、ブルガリア(11.3%)でした。EUとの関税の取り決めの移り変わりはEUとウクライナの関税の記事、ウクライナの輸出品の全体は輸出品の記事にあります。
オリュカ
「世界で何位」という言い方は、何を比べているのかな。
スウネ
比べ方ごとの順位が、この見出しの下の表に並んでいるよ。表の限りも、表のすぐ後にあるね。
ヨリクネ
輸出品の全体は、すぐ前の段落のリンク先の記事へ寄り道できるよ。
「世界○位の輸出国」は、何で比べるかで変わる
ウクライナは「世界有数のくるみの輸出国」と紹介されることがあります。ただ、順位は、殻つきかむき身か、重さか金額かで変わります。UN Comtrade に2024年の輸出を報告した国の中で並べると、次のとおりです。
| 比べ方(2024年) | ウクライナの順位 | 世界全体に占める割合 | 上位の国 |
|---|---|---|---|
| むき身・重さ | 5位 | 5.3% | 米国、中国、メキシコ、チリ |
| むき身・金額 | 6位 | 3.5% | 米国、メキシコ、中国、チリ、ドイツ |
| 殻つき・重さ | 8位 | 1.4% | 中国、米国、チリ、トルコ、メキシコ |
| 殻つき・金額 | 8位 | 0.8% | 中国、米国、チリ、メキシコ、フランス |
この表には限りがあります。2024年の数字をまだ報告していない国は入っていません。また、輸出の順位は、その国でくるみが採れたかどうかを区別しません。上位のドイツやオランダのように、ほかの国から買ったものを輸出している可能性のある国も同じ列に並びます。「○位」という言い方を見たときは、どの年の、どちらの品目の、重さと金額のどちらの順位かを確かめる必要があります。
オリュカのひとこと
日本にも届いているのでしょうか。この見出しで確かめられます。
日本へは届いているか
日本は、むき身のくるみのほとんどを米国から買っています。UN Comtrade に載る日本の報告では、2024年のむき身の輸入1万8,494トンのうち金額で97.7%が米国産で、2025年も92.9%が米国産、残りは中国、チリ、フランスなどでした。どちらの年も、ウクライナからの輸入は記録されていません。ウクライナ側の2024年の報告でも、むき身・殻つきとも日本は輸出先に入っていません。日本がウクライナから買っている品目の全体は、日本の輸入の記事にあります。
出典と記事の記録
出典・参考資料
- Виробництво культур багаторічних у 2020/2021/2022 роціくるみの収穫、企業と住民の世帯の別、注の「庭の外の木」・占領地域の除外・報告率82%
発行:ウクライナ国家統計局 確認日:2026-09-27 - Production: Crops and livestock productsWalnuts, in shell / Ukraine。2020〜2024年の収穫量と公式・推計の別
発行:FAOSTAT(国連食糧農業機関。一括ダウンロード版、2025年12月31日更新) 確認日:2026-09-27 - UN ComtradeHS 080231・080232、ウクライナの輸出、2015〜2024年、相手国別
発行:国連統計部 確認日:2026-09-27 - UN ComtradeHS 080231・080232、2021年・2023年・2024年の各国の輸出、相手は世界全体
発行:国連統計部 確認日:2026-09-27 - UN ComtradeHS 080232、日本の輸入、2024年・2025年、相手国別
発行:国連統計部 確認日:2026-09-27
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