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人と暮らし/解説

塩と砂糖に上限、全学年に無償の1食。ウクライナの学校給食

ウクライナの学校給食は、2021年の内閣決定で基準が改められ、加える砂糖は料理100グラムあたり5グラムまで、炭酸飲料やコーヒーは出さないなどと定められました。無償の1食は2024年に小学生全員へ、2026年9月からは公立学校の全学年へ広げられています(2026年9月時点)。

画像:Ukrainavi

オリュカのひとこと

無償の1食は、はじめはどんな子どもが対象だったのでしょう。対象が広がった順番を、決定の表でたどれます。

ウクライナの公立学校では、2026年9月から、1年生から11年生(12年制に移った学年では12年生)までの全員に、1日1食の温かい食事が無償で出される仕組みになりました。学校給食の中身そのものも、2021年に国の基準が大きく書き換えられています。どちらも、2020年に始まった学校給食の改革の一部です。

以下は、内閣の決定(ウクライナ最高会議の法令データベースで2026年9月24日に閲覧した版)と、教育科学省などが運営する学校給食の公式サイト「Знаїмо」(znaimo.gov.ua)の発表によるものです。栄養や健康についての判断は扱わず、決定に書かれている決まりを紹介します。

2020年に始まった改革

「Знаїмо」の説明によれば、学校給食の改革は2020年に始まり、大統領夫人オレナ・ゼレンシカの提唱で進められてきました。担うのは教育科学省、保健省、経済省などの省庁と、食品安全の監督機関などで、国連児童基金(ユニセフ)やスイスの協力事業などが支援しています。

内閣は2020年8月5日に改革の実行計画(命令第1008-р号)を決め、2023年10月27日には「2027年までの学校給食改革戦略」(命令第990-р号)を承認しました。戦略は、改革前の姿として、2020/21学年度に学校で決まって食事をとっていた生徒が35.5%にとどまり、30%は一度もとっていなかったという調査結果を挙げています。

オリュカのひとこと

料理に加える砂糖は、100グラムあたり何グラムまでなのでしょう。決定の文面から並べた決まりを見てみましょう。

2021年の新しい基準で決まったこと

学校給食の中身を決めているのは、内閣決定「教育機関と子どもの保養施設における栄養の基準と給食の手順」(2021年3月24日、第305号)です。2004年の基準(第1591号)を置き換えたもので、主な部分は2021年9月1日から使われています。決定の文面から、主な決まりを挙げます。

砂糖と塩

  • 料理をつくるときに加える砂糖は、できあがった料理100グラム(100ミリリットル)あたり5グラムまで
  • 学校の売店や自動販売機で売る食品と、料理に使う食品は、糖類が100グラムあたり10グラムまで。果物などにもともと含まれる糖は数えない
  • 甘味料、合成着色料、香料(バニリンなどを除く)、うま味などの調味料を加えたものは出さない
  • 塩はヨウ素を加えた塩だけを使い、量を抑える

学校で使ってはいけないもの

決定の手順の第47項は、学校で注文したり使ったり売ったりしてはいけないものを並べています。

  • 加工された肉や魚の製品、アヒルなどの水鳥の肉と卵、川魚
  • ナトリウムが100グラムあたり0.12グラムを超えるもの(スナックを含む)と、糖類が100グラムあたり10グラムを超えるもの
  • コーヒーとコーヒー飲料、炭酸飲料(甘い炭酸飲料とエナジードリンクを含む)
  • きのこ、殺菌していない牛乳と乳製品、家庭でつくった食品
  • 工場でつくった缶詰(砂糖や甘味料を加えていない殺菌済みのジュースは除く)

同じ項は、揚げ油にくぐらせてつくるもの(фритюр)、煮こごり(холодець)、肉や魚のサラダ、パテなどを学校でつくることも禁じています。一方で、肉料理は野菜の付け合わせやサラダとなるべく組み合わせる、豆類を付け合わせや一品として出す、といった勧めも書かれています。

食事の時間

1〜11(12)年生には、授業が交代制(シフト)で行われていても、少なくとも1回の温かい食事(正午までの朝食か、11時30分からの昼食)を用意することになっています。食事のための休み時間は、1〜4年生が30分以上、5〜11(12)年生が20分以上です。

無償の1食は、誰から誰へ広がったか

無償の給食は、もともと特定の子どもに限られていました。第305号の手順の第4項は、孤児や親の保護を受けられない子ども、特別な教育的ニーズがあり特別学級やインクルーシブ学級で学ぶ子ども、低所得の家庭の子ども、国内避難民の子ども、戦闘や武力紛争の被害を受けた子どもなどを、自治体の予算で無償の温かい食事を出す対象として挙げています。

そこから対象は、次のように広げられました。

決定内容
内閣決定第1145号(2024年10月4日)小学生(1〜4年生)全員に、公立学校で無償の1食(朝食か昼食)。国から自治体への補助金(субвенція)の手順を定めた
内閣決定第1456号(2024年12月20日)2025年からの補助金の手順。のちの改正で名前が「普通中等教育機関の生徒の給食のための補助金」に
内閣決定第809号(2026年6月24日)無償の1食の対象を、初等・基礎中等・プロフィール中等(1〜11・12年生)の生徒に。ただし「自治体がその食事を用意できる力に応じて」
内閣決定第869号(2026年7月1日)2026年9〜11月分の補助金を州などに配分。9月1日から、新しい配分の決まりを使う
ウクライナ内閣の各決定から作成(ウクライナ最高会議の法令データベース、2026年9月24日閲覧)。

第869号による配分の合計は、74億4,709万9,300フリヴニャです(2026年9〜11月分)。教育科学省は、対象は約300万人の子どもだと発表しています。

1人1食あたりの額

補助金は、生徒1人の1食あたりの額をもとに州などへ配分されます。第1456号の手順(第869号による改正後)は、次の額を定めています。

対象1食あたりの額
小学生(初等教育)50フリヴニャ
5〜11(12)年生(基礎中等・プロフィール中等教育)60フリヴニャ
ドニプロペトロウシク、ザポリッジャ、ミコライウ、オデーサ、スームィ、ハルキウ、ヘルソン、チェルニーヒウの各州で、国連世界食糧計画(WFP)の資金による補助金を受けている学校の小学生35フリヴニャ
内閣決定第1456号の「補助金の手順と条件」第4-1項(第869号で追加、2026年9月1日から適用)から作成。

教育科学省の発表によれば、この8州の小学生には、国の35フリヴニャにWFPの支援15フリヴニャが加わります。額は食品の代金の計算に使うもので、実際の1食の値段は自治体が決めます。

対象にならない場合

  • 補助金は、自治体が設置した公立学校(комунальні)で、通学か、通学とオンラインを組み合わせて学ぶ生徒のためのもの
  • 第305号の手順は、オンライン(遠隔)で学んでいる日の食事について、無償の給食の代わりのお金は出さないと定めている
  • 第869号は、教育科学省と州に、5〜11年生の給食の状況を調べ、この学年への補助金を続けるのが妥当かどうかの提案を2026年12月1日までにまとめるよう求めている

数字で見る学校給食(2025年10月)

2025年11月7日に改められた戦略の本文は、国の研究機関「教育分析研究所」のデータとして、2025年10月1日時点の学校の姿を次のように書いています。

項目
授業をしていた普通中等教育の学校1万1,783校
うち通学の形8,420校(71.5%)
うち通学とオンラインの組み合わせ2,009校(17%)
生徒の数359万1,922人
学校で食事をとっていた生徒227万1,634人(通学か組み合わせで学ぶ生徒の76.7%)
内閣命令第990-р号「2027年までの学校給食改革戦略」(2025年11月7日の命令第1216-р号による改正後)から作成(2026年9月24日閲覧)。

同じ戦略は、教育科学省のデータとして、2025年10月時点で教育機関の17.1%がロシアによる全面侵攻のもとでの爆撃や砲撃で損傷または全壊し、普通中等教育の学校では1,820校が損傷、226校が全壊したと書いています。第305号の手順は、避難所(シェルター)にいるときや、停電で温かい食事を用意できないときには、日持ちのする食品などで食事を用意できるとし、2026年の改正では戒厳令の間に講堂や教室などで食事を出すことも認めました。

戦略は、改修が必要な学校の調理場が7,992か所あるとしています。改修には、2024年に国の予算から15億フリヴニャの補助金が充てられ、51件の事業が終わりました。2025年は9億6,000万フリヴニャが予算に組まれました(戦略による)。

日本から見るとき

ウクライナの学校制度そのもの(何年生が「小学生」にあたるか、12年制への移行)はウクライナの12年制の学校の記事に、ウクライナの家庭料理の地域ごとの違いはウクライナの食卓の記事にまとめています。ウクライナの法令の番号や「改正後の版」の読み方はウクライナの法令を原文で読む手がかりの記事が参考になります。

出典と記事の記録出典 8件 · AIの利用 · 運営体制

出典・参考資料

  1. Постанова КМУ № 305 від 24.03.2021 «Про затвердження норм та Порядку організації харчування у закладах освіти та дитячих закладах оздоровлення та відпочинку»砂糖・塩・添加物の基準、第47項の禁止品目、第4項の無償の対象、第6項のオンライン時の扱い、第16項の食事の回数、第27項の休み時間、シェルター・停電時の扱い。2026年7月7日の版
    発行:Кабінет Міністрів України 確認日:2026-09-24
  2. Постанова КМУ № 1145 від 04.10.2024小学生への無償の1食、2024年の補助金
    発行:Кабінет Міністрів України 確認日:2026-09-24
  3. Постанова КМУ № 1456 від 20.12.2024 «Про затвердження Порядку та умов надання субвенції з державного бюджету місцевим бюджетам на забезпечення харчуванням учнів закладів загальної середньої освіти»補助金の対象、1食あたり50・60・35フリヴニャ、配分の考え方
    発行:Кабінет Міністрів України 確認日:2026-09-24
  4. Постанова КМУ № 809 від 24.06.2026無償の1食の対象を1〜11・12年生に、戒厳令下の食事の場所
    発行:Кабінет Міністрів України 確認日:2026-09-24
  5. Постанова КМУ № 869 від 01.07.20262026年9〜11月の補助金の配分 合計7,447,099.3千フリヴニャ、5〜11年生の給食の調査と12月1日までの提案
    発行:Кабінет Міністрів України 確認日:2026-09-24
  6. Розпорядження КМУ № 990-р від 27.10.2023 «Про схвалення Стратегії реформування системи шкільного харчування на період до 2027 року…»2020年の実行計画、2020/21年度の調査、2025年10月時点の学校・生徒・給食の数、損傷した学校、調理場の改修。2025年11月7日の改正後の版
    発行:Кабінет Міністрів України 確認日:2026-09-24
  7. З 1 вересня 2026 року всі учні 1–11 (12) класів комунальних шкіл по всій Україні, отримають безоплатне гаряче харчування2026年7月9日。約300万人、50・60フリヴニャ、WFPの15フリヴニャ、出典は教育科学省
    発行:Знаїмо(学校給食の公式サイト) 確認日:2026-09-24
  8. Про реформу改革の開始年、大統領夫人の提唱、担う省庁と支援機関
    発行:Знаїмо(学校給食の公式サイト) 確認日:2026-09-24

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