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Ukrainavi Ukrainavi

日本とのつながり/解説

侵略した国が拒否権を持つ安保理で、日本は2年間何を言ったか

2022年2月25日、ロシアは自国に撤退を求める安保理の決議案を拒否権で葬りました。日本はその年に非常任理事国に選ばれ、2023年から2年間、安保理の議場でロシアの侵略を非難し続けました。安保理がウクライナについて最初の決議を採択したのは、任期が終わった後の2025年2月でした。国連と外務省の記録から、日付順にたどります。

オリュカのひとこと

侵略した国が拒否権を持つとき、安保理は何を決められたのでしょうか。日付順の記録で確かめましょう。

国連の安全保障理事会(安保理)は、国連憲章のもとで国際の平和と安全の維持に主要な責任を負う機関です。5か国の常任理事国と、選挙で選ばれる10か国の非常任理事国で構成され、手続き事項を除く決定は、常任理事国が1か国でも反対すれば成立しません(外務省の説明、国連憲章第27条)。いわゆる拒否権です。

2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナへの全面侵攻では、侵略した国そのものがこの拒否権を持つ常任理事国でした。日本はその直後に非常任理事国に選ばれ、2023年1月から2024年12月まで理事国を務めています。安保理がウクライナについて何を決められ、何を決められなかったのか。国連と外務省の記録から、日付順に追います。

2022年2月25日、ロシアが自国への決議案を拒否

国連ニュースによれば、2022年2月25日(ニューヨーク時間)、安保理はロシアに攻撃の即時停止と全部隊の撤退を求める決議案を採決しました。15か国のうち11か国が賛成し、中国・インド・アラブ首長国連邦(UAE)が棄権、ロシアだけが反対しました。常任理事国の反対で、決議案は成立しませんでした。国連ニュースは、米国がこの決議案の作成に加わったと伝えています。

国連ニュースは、この会合でウクライナのキスリツィア国連大使が、手続き規則によればロシアの大使は自国が議題となっている会合の議長を務めるべきではなかったと指摘したことを伝えています。

2日後の2月27日、安保理は193か国すべてが参加する国連総会の緊急特別会合を開くことを、賛成11、反対1(ロシア)、棄権3(中国・インド・UAE)で決めました。国連ニュースによれば、これは手続き事項だったため、常任理事国の拒否権は使えませんでした。

オリュカのひとこと

拒否権を使ったあと、総会では何が求められる仕組みでしょうか。本文で確かめましょう。

拒否権を使えば、総会で説明を求められる

2022年4月26日、国連総会は、安保理で拒否権が使われたときは10営業日以内に総会が自動的に会合を開く、という決議を投票なし(コンセンサス)で採択しました。国連ニュースによれば、決議案はリヒテンシュタインが83か国の共同提案国を代表して提出したものです。拒否権そのものを制限するものではありませんが、使った国は193か国の前で理由を問われることになります。

2022年9月30日、「併合」への決議案も拒否

同じ年の9月30日、ロシアはウクライナの4つの地域の「併合」を一方的に宣言しました。国連ニュースによれば、同日、安保理ではこの企てを国際の平和と安全への脅威とし、決定の即時・無条件の撤回を求める決議案が採決されました。米国とアルバニアが示した案で、10か国が賛成、ロシアが反対、ブラジル・中国・ガボン・インドの4か国が棄権しました。ロシアの拒否権で、この決議案も成立しませんでした。4月の総会決議にもとづき、総会はこの拒否権について会合を開くことになりました。

日付(ニューヨーク時間)安保理での採決結果
2022年2月25日ロシアに攻撃の停止と撤退を求める決議案賛成11・反対1(ロシア)・棄権3(中国・インド・UAE)。ロシアの拒否権で不成立
2022年2月27日国連総会の緊急特別会合を招集(手続き事項)賛成11・反対1(ロシア)・棄権3。採択
2022年9月30日4地域の「併合」の企ての撤回を求める決議案賛成10・反対1(ロシア)・棄権4(ブラジル・中国・ガボン・インド)。ロシアの拒否権で不成立
2025年2月24日米国が提出した決議案(欧州5か国の修正案3件のうち2件はロシアの拒否権で不成立)賛成10・棄権5。採択(決議2774)
国連ニュース(UN News)の記事による。2026年9月24日に確認。

日本が理事国に選ばれた日

日本は2022年6月9日(ニューヨーク時間)の国連総会で、184票を得て非常任理事国に選ばれました。1956年の国連加盟以来12回目で、加盟国の中で最も多い回数です(外務省)。同じ選挙ではモザンビーク、エクアドル、スイス、マルタも選ばれています。

翌日の外務大臣談話は、選出を伝えるなかでこう書いています。「常任理事国であるロシアのウクライナ侵略や、安保理決議への違反を繰り返し、我が国、地域、国際社会の平和と安全を脅かす北朝鮮の核・ミサイル活動に対し、安保理は有効に機能できていない現状にあり、試練の時とも言えます」。

理事国として安保理で述べたこと

侵攻から1年となる2023年2月24日、林芳正外務大臣(当時)は安保理の閣僚級討論でステートメントを行いました。外務省が公表した和文仮訳によれば、林大臣は1年前をこう振り返っています。「一年前の今日、まさにこの安保理議場において、ウクライナに対する侵略をいかに防止するかの議論が行われている最中に、各理事国の眼前で、常任理事国であるロシアがウクライナへの侵略を開始しました」。

続けて、これを「安保理と国連全体に対する侮蔑」と呼び、ロシアの侵略を「可能な限り最も強い言葉で非難」すると述べました。ロシアに対しては、侵略を直ちに停止し、ウクライナから軍隊と軍備を撤退させ、国際的に認められた国境内でのウクライナの独立・主権・領土一体性を尊重するよう求め、重要インフラへの攻撃、核をめぐる言動、ザポリッジャ原発の奪取と軍事化も非難しています。

任期の終わり近く、2024年11月18日(ニューヨーク時間)には、藤井比早之外務副大臣(当時)が、議長国の英国が開いたウクライナ情勢の閣僚級会合に出席しました。外務省によれば、藤井副大臣は侵略開始から1,000日をむかえたウクライナの人々への連帯を示し、北朝鮮の兵士がロシアに派遣されウクライナとの戦闘に加わっていることを取り上げました。ステートメントの和文仮訳には「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」という一文があり、露朝の軍事協力を「最も強い言葉で非難」すると述べています。同じ年の9月24日の安保理会合には、赤堀外務審議官も出席しています。

外務省の任期の総括

任期を終えた2025年1月10日の外務大臣談話は、2年間をこう総括しています。ウクライナについては、安保理や総会の会合を通じてロシアの侵略を強く非難し、ロシア軍の即時撤退と、国連憲章にもとづくウクライナの公正かつ永続的な平和を訴えた。北朝鮮からロシアへの兵士の派遣、ロシアによる北朝鮮の武器・弾薬の調達と使用も非難してきた。

同じ談話によれば、日本は任期中に2度、月番の議長を務めました。2023年1月には法の支配に関する閣僚級公開討論を、2024年3月には核軍縮・不拡散に関する閣僚級会合を主催しています。

侵攻から3年、最初の決議

日本の任期が終わった後の2025年2月24日、安保理は米国が提出した決議案を採択しました(決議2774)。国連ニュースはこれを、全面侵攻以来はじめての安保理決議と伝えています。採決の前に、フランス・英国・デンマーク・ギリシャ・スロベニアの欧州5か国は修正案を三つ提出しましたが、いずれも成立しませんでした。安保理の会議録によれば、そのうち二つは賛成9票以上を得ながらロシアの拒否権で不成立となり、残る一つは賛成6票にとどまり不成立でした。ロシアも自国の修正案を二つ提出しましたが、いずれも賛成が足りず不成立でした。決議は原案のまま、賛成10で採択され、修正案を出した欧州5か国は棄権しました。

国連ニュースによれば、ウクライナの代表は、採択された決議には戦争を侵略と位置づける記述や国連憲章の原則が欠けている、と指摘しました。ロシアの代表は、採択された文書を「正しい方向への一歩」と評価しています。

国連ニュースの書き方に従えば、日本が理事国だった2年間に、ウクライナについての安保理決議は一本も成立していないことになります。理事国としてできたのは、安保理の議場で侵略を侵略と呼び、その記録を残すことでした。ロシアの拒否権と国連総会の決議の流れは、ウクライナの独立とロシアによる侵略の年表にも日付順にまとめています。

出典・参考資料

  1. 国連安全保障理事会(安保理)(構成、拒否権と憲章第27条、2023〜24年の12回目の理事国)
    発行:外務省 確認日:2026-09-24
  2. Russia blocks Security Council action on Ukraine(2022年2月25日の採決結果、議長国をめぐるウクライナ大使の指摘)
    発行:UN News(国連) 確認日:2026-09-24
  3. Security Council vote sets up emergency UN General Assembly session on Ukraine crisis(2022年2月27日、手続き事項で拒否権が使えないこと)
    発行:UN News(国連) 確認日:2026-09-24
  4. UN General Assembly mandates meeting in wake of any Security Council veto(2022年4月26日、投票なしの採択、83か国の共同提案国)
    発行:UN News(国連) 確認日:2026-09-24
  5. Russia vetoes Security Council resolution condemning attempted annexation of Ukraine regions(2022年9月30日の採決結果、提案国)
    発行:UN News(国連) 確認日:2026-09-24
  6. UN Assembly President calls for just and lasting peace in Ukraine(2025年2月24日の安保理決議の採択、賛否、ウクライナとロシアの代表の発言)
    発行:UN News(国連) 確認日:2026-09-24
  7. 日本の国連安保理非常任理事国への選出について(外務大臣談話)(令和4年6月10日。184票、12回目、選出国)
    発行:外務省 確認日:2026-09-24
  8. 林外務大臣のウクライナに関する国連総会緊急特別会合及び安保理閣僚級討論出席(令和5年2月22日〜25日)
    発行:外務省 確認日:2026-09-24
  9. 安保理討論における林外務大臣ステートメント(和文仮訳、2023年2月24日)
    発行:外務省 確認日:2026-09-24
  10. 赤堀外務審議官のウクライナに関する国連安保理会合出席(令和6年9月25日)
    発行:外務省 確認日:2026-09-24
  11. 藤井外務副大臣のウクライナ情勢に関する国連安保理閣僚級会合出席(令和6年11月19日)
    発行:外務省 確認日:2026-09-24
  12. ウクライナ情勢に関する国連安保理ブリーフィング会合における藤井外務副大臣ステートメント(和文仮訳、2024年11月18日)
    発行:外務省 確認日:2026-09-24
  13. 我が国の国連安保理非常任理事国任期総括(外務大臣談話)(令和7年1月10日)
    発行:外務省 確認日:2026-09-24

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