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人と暮らし/実用ガイド

地震と台風の備え、ウクライナ語で読めるものと読めないもの

観光庁の防災アプリ「Safety tips」と気象庁の多言語ページは、2026年9月時点でウクライナ語に対応していません。一方、NHK WORLD-JAPANの防災Q&A、音声翻訳アプリVoiceTra、入管庁の生活・就労ガイドブックはウクライナ語で使えます。地震と台風への備えとあわせて並べます。

日本の国の機関が出している多言語の防災情報のうち、観光庁が監修する防災アプリ「Safety tips」(15言語)、気象庁の多言語ページ(日本語を含む14か国語)、内閣府のアプリ紹介リーフレット(15言語)は、どれもウクライナ語に対応していません(2026年9月に確認)。一方で、NHK WORLD-JAPANの防災Q&A、音声翻訳アプリ「VoiceTra」、出入国在留管理庁の『生活・就労ガイドブック』には、ウクライナ語で読めるもの・使えるものがあります。

警報を受け取るアプリは英語や日本語など読める言語で使い、備えの知識はウクライナ語の資料で読む。2026年9月の時点では、この組み合わせになります。

国の多言語の防災情報に、ウクライナ語はない

防災アプリ「Safety tips」

「Safety tips」は、観光庁が監修する外国人旅行者向けの災害情報アプリです。観光庁の資料によれば、2014年(平成26年)10月に提供が始まり、緊急地震速報、津波警報、気象特別警報、噴火速報、避難情報、熱中症の情報などをプッシュ通知で知らせます。災害のときにとる行動を示したフローチャートや、周りの人に助けを求めるための「コミュニケーションカード」も入っています。無料です。

対応言語は15言語です。観光庁の資料が挙げているのは、日本語、英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、ベトナム語、タイ語、インドネシア語、タガログ語、ネパール語、クメール語、ビルマ語、モンゴル語で、ウクライナ語もロシア語も入っていません。アプリの開発会社のページも、2026年9月の時点で同じ15言語を挙げています。

旅行者向けとされていますが、出入国在留管理庁の『生活・就労ガイドブック』は、日本に住む外国人向けにもこのアプリを紹介しています。ウクライナ語の画面はありませんが、英語や日本語など読める言語で使えば、強い揺れが来る前の速報を受け取れます。

気象庁の多言語ページ

気象庁は、警報・注意報、天気予報、地震情報、津波警報、噴火警報などの防災気象情報を、ウェブサイトの多言語ページで出しています。2020年4月16日の報道発表で、それまでの11か国語から14か国語に広げ、同じ年の9月16日には台風情報も14か国語で出し始めました。14か国語は、日本語、英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、インドネシア語、ベトナム語、タガログ語、タイ語、ネパール語、クメール語、ビルマ語、モンゴル語です。ここにもウクライナ語はありません。

気象庁は、気象情報で使う用語を14か国語に訳した「多言語辞書」も公開しており、2026年3月まで更新が続いています。自治体や企業が外国語で防災情報を流すときの訳語の元になるものですが、これもウクライナ語は含んでいません。

内閣府の多言語リーフレット

内閣府(防災担当)は、災害のときに役立つアプリとウェブサイトを紹介するリーフレット「災害時に便利なアプリとWEBサイト」を、日本語と14の外国語で出しています。紹介されているのは、Safety tips、NHK WORLD-JAPAN、VoiceTra、気象庁の防災情報のページ、国土交通省の防災ポータルなどです。リーフレットの言語にも、ウクライナ語はありません。

ウクライナ語で読めるもの

NHK WORLD-JAPANの防災Q&Aとニュース

NHK WORLD-JAPANの多言語ポータル「がいこくごの 生活と防災の情報」には、ウクライナ語のページがあります。「防災Q&A」のウクライナ語版には、2026年9月の時点で次のような項目が並んでいました。

  • 地震発生 その時どうする?
  • 台風接近前の備え
  • 災害用伝言サービス
  • ハザードマップで知る災害リスク
  • 新しい防災気象情報を知ろう
  • 線状降水帯の情報を活かそう!
  • 熱中症に備える

ニュースもウクライナ語で読めます。ただし、同じポータルで紹介されている、緊急の情報をアプリのプッシュ通知で受け取るサービスの言語一覧には、ウクライナ語が入っていません(ロシア語は入っています)。読むための情報はウクライナ語でもあり、知らせてくれる仕組みはない、という形です。

音声翻訳アプリ「VoiceTra」

情報通信研究機構(NICT)の音声翻訳アプリ「VoiceTra(ボイストラ)」は、33言語を翻訳でき、ウクライナ語は音声での入力と出力の両方に対応しています。無料です。避難所や役所の窓口で、日本語で話しかけられたことをその場で訳す、自分の言いたいことを日本語にする、といった使い方ができます。出入国在留管理庁も、ウクライナから避難した人向けのページで、このアプリを「ウクライナ語対応」として紹介しています。

機械翻訳なので、訳が正確とは限りません。VoiceTraには、訳した結果をもう一度元の言語に訳し直した「逆翻訳結果」を表示する機能があり、意図どおりに訳されたかを確かめる手がかりになります。

『生活・就労ガイドブック』第10章

出入国在留管理庁の『生活・就労ガイドブック』には、ウクライナ語版があります。第10章「緊急・災害」(ウクライナ語版では Розділ 10)で、119番と110番のかけ方、台風や集中豪雨、地震、津波、火山噴火への備えと、避難の仕方を説明しています。

ただし、版が違います。ウクライナ語版は第7版で、序文の日付は2025年3月です。日本語版は第8版(2026年2月、2025年8月1日時点の制度にもとづく)まで改訂されています。どちらも、次の節で書く2026年5月の防災気象情報の見直しより前に作られたものです。

兵庫県国際交流協会の防災ガイドブック

公益財団法人兵庫県国際交流協会は、『子どもと親の防災ガイドブック』のウクライナ語版(2022年度改訂版)を出しています。日本語とウクライナ語が並べて書かれた20ページの冊子で、地震、津波、風水害、災害への備え、避難、避難先、家族での話し合い、多言語のツール、防災訓練を扱っています。出入国在留管理庁のウクライナから避難した人向けのページからもリンクされています。兵庫県向けに作られたものなので、県の防災情報サービスなど、兵庫県だけに当てはまる記載も含まれます。

情報・サービス出している機関ウクライナ語
防災アプリ Safety tips(15言語)観光庁(監修)なし
防災気象情報の多言語ページ(14か国語)気象庁なし
リーフレット「災害時に便利なアプリとWEBサイト」内閣府(防災担当)なし
がいこくごの 生活と防災の情報(防災Q&A、ニュース)NHK WORLD-JAPANあり
緊急情報のプッシュ通知NHK WORLD-JAPANなし(ロシア語はあり)
音声翻訳アプリ VoiceTra(33言語)情報通信研究機構(NICT)あり(音声の入力・出力とも)
生活・就労ガイドブック 第10章「緊急・災害」出入国在留管理庁あり(第7版)
子どもと親の防災ガイドブック兵庫県国際交流協会あり(2022年度改訂版)
各機関のウェブサイトの2026年9月時点の記載による。対応言語は変わることがある。

地震に備える

『生活・就労ガイドブック』(日本語版第8版)は、日本の周辺には複数のプレートがあり、世界でも有数の地震多発地帯だと説明したうえで、普段からしておくこととして次の四つを挙げています。

  • 地震が起きたら避難する場所を、家族と話し合っておく
  • 地域の防災訓練に参加する
  • 最低3日分(できれば1週間程度分)の食料・飲料水や、けがの手当てに使えるものを用意する
  • 家具が倒れないように固定し、倒れても大丈夫な配置にする

揺れたときは、建物の中なら丈夫なテーブルの下などで頭を守って揺れが収まるのを待つ、外なら看板や窓ガラスの落下に気をつけて安全な場所へ移る、車の運転中なら道路の左側に止めてエンジンを切る、とガイドブックは書いています。揺れが収まったら火を消し、避難する前にはブレーカーを切ること、海や河口の近くで強い揺れや、弱くても長くゆっくりした揺れを感じたら、直ちに海岸や河口から離れて高台など高い場所へ避難することも挙げています。

日本の「震度」は、その場所での揺れの強さを0から7までの10階級で表すもので、地震そのものの大きさを表す「マグニチュード」とは別の数字です。ニュースでは両方が出てきます。

台風と大雨に備える

台風や大雨で起きやすいのは、川の氾濫と土砂災害です。ガイドブックは、普段からハザードマップで、水につかるおそれのある場所、土砂災害のおそれのある場所、避難場所と、そこまでの安全な道を確かめておくよう勧めています。国土地理院の「ハザードマップポータルサイト」で、住んでいる場所の地図を探せます。

避難の呼びかけには、5段階の「警戒レベル」が使われます。ガイドブックの説明では、警戒レベル3が「高齢者等避難」(お年寄り、障害のある人、子どもなど、避難に時間のかかる人が避難を始める)、警戒レベル4が「避難指示」(危険な場所にいる人は全員避難する)、警戒レベル5が「緊急安全確保」(すでに災害が起きているか迫っている状況で、直ちに身の安全を確保する)です。避難場所へ行くほうがかえって危ないときは、近くの頑丈な建物の上の階や、家の2階以上へ逃げるよう書かれています。

2026年5月29日から、警報の名前が変わった

気象庁は2026年5月29日から、新しい防災気象情報の運用を始めました。川の氾濫、大雨、土砂災害、高潮に関する情報を、避難の5段階の警戒レベルに合わせた名前で出すようにしたものです。気象庁の説明では、これまでの「大雨警報」は「レベル3大雨警報」という名前になり、警報と特別警報の間に、警戒レベル4にあたる「危険警報」(たとえば「レベル4大雨危険警報」)が新しく加わりました。

上で紹介したガイドブックやリーフレットは、どれもこの見直しより前に作られています。警報の名前がガイドブックの記載と違って見えるのはこのためで、情報の意味が変わったわけではありません。NHK WORLD-JAPANのウクライナ語の防災Q&Aには、新しい防災気象情報についての項目があります。

いま準備しておけること

  • Safety tipsを入れ、英語か日本語など読める言語で使えるようにしておく。
  • NHK WORLD-JAPANのウクライナ語の防災Q&Aを、落ち着いているときに読んでおく。
  • VoiceTraを入れ、ウクライナ語と日本語の組み合わせで一度試しておく。
  • ハザードマップで、自宅と職場・学校の近くの避難場所を確かめる。
  • 家族と、地震のときに集まる場所と連絡の取り方を決めておく。
  • 最低3日分の水と食料を用意する。

住んでいる市区町村の防災情報や、外国語での相談先は、自治体によって違います。相談先の探し方は日本で暮らし始めたときの相談窓口に、ウクライナでの空襲警報と避難の仕組みは空襲警報のサイレンは3〜5分、キーウでは黄と赤の2段階ににまとめています。日本の緊急地震速報は、テレビ、ラジオ、携帯電話などの端末、防災行政無線などで流れます(『生活・就労ガイドブック』)。

出典・参考資料

  1. 訪日外国人旅行者用災害時に役立つツール(Safety tipsの概要、15言語、最終更新2026年4月2日)
    発行:観光庁 確認日:2026-09-24
  2. プッシュ型情報発信アプリ「Safety tips」(平成26年10月提供開始、通知の種類、対応15言語の一覧)
    発行:観光庁 確認日:2026-09-24
  3. Safety tips(アプリの説明、対応言語)
    発行:アールシーソリューション株式会社(開発会社) 確認日:2026-09-24
  4. 防災気象情報を14か国語で提供開始します(2020年4月16日、対象の情報と14か国語の一覧)
    発行:気象庁 確認日:2026-09-24
  5. 台風情報を14か国語で提供開始します(2020年9月16日)
    発行:気象庁 確認日:2026-09-24
  6. Multilingual Information on Disaster Risk Reduction(多言語ページの言語一覧)
    発行:気象庁 確認日:2026-09-24
  7. 多言語辞書データ(14か国語、更新履歴)
    発行:気象庁 確認日:2026-09-24
  8. 新たな防災気象情報について(令和8年~)(2026年5月29日運用開始、「レベル3大雨警報」の例)
    発行:気象庁 確認日:2026-09-24
  9. 新たな防災気象情報に関するよくある質問(FAQ)(レベル3大雨警報・レベル4大雨危険警報・レベル5大雨特別警報、危険警報が警報と特別警報の間に加わること)
    発行:気象庁 確認日:2026-09-24
  10. ハザードマップポータルサイト
    発行:国土交通省国土地理院 確認日:2026-09-24
  11. 災害時に便利なアプリとWEBサイト(多言語)(リーフレットの言語一覧と掲載アプリ)
    発行:内閣府(防災担当) 確認日:2026-09-24
  12. がいこくごの 生活と防災の情報(多言語ポータル。各サービスの言語一覧)
    発行:NHK WORLD-JAPAN 確認日:2026-09-24
  13. 防災Q&A ウクライナ語版(項目一覧)
    発行:NHK WORLD-JAPAN 確認日:2026-09-24
  14. VoiceTraの特長(33言語、ウクライナ語の音声入出力、逆翻訳)
    発行:情報通信研究機構(NICT) 確認日:2026-09-24
  15. 日本に在留しているウクライナのみなさんへ(VoiceTraの紹介、兵庫県国際交流協会の防災ガイドブックへのリンク)
    発行:出入国在留管理庁 確認日:2026-09-24
  16. 生活・就労ガイドブック 日本語版 第8版(第10章 緊急・災害:地震・台風・津波への備え、警戒レベル、Safety tipsの紹介)
    発行:出入国在留管理庁 確認日:2026-09-24
  17. 生活・就労ガイドブック ウクライナ語版 第7版(Розділ 10、序文の日付2025年3月)
    発行:出入国在留管理庁 確認日:2026-09-24
  18. 子どもと親の防災ガイドブック ウクライナ語版(2022年度改訂版、目次)
    発行:公益財団法人兵庫県国際交流協会 確認日:2026-09-24

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