処方箋は4日以内に薬局へ。先発薬の特別料金と、国外から薬を持ち込むとき
日本の処方箋は、交付の日を含めて4日以内に薬局へ出します。薬局は自分で選べ、お薬手帳を見せると支払いが少なくなることがあります。後発医薬品がある先発医薬品を希望したときの「特別の料金」は2026年6月から価格差の2分の1に。ウクライナなど国外から薬を持ち込めるのは、処方箋薬なら1か月分までです。
オリュカのひとこと
処方箋を出してもらってから、いつまでに薬局へ行けばよいのでしょう。最初の見出しで確かめられます。
日本の診療所や病院で薬が必要になると、多くの場合、その場で薬は渡されず、「処方箋」という紙を受け取ります。これを持って町の薬局へ行き、薬剤師から薬を受け取るのが基本の流れです。厚生労働省が医療機関向けに作ったウクライナ語の説明資料も、「特別な場合を除き、薬は院外処方せんで処方されます」と書いています。
以下では、処方箋の期限、薬局の選び方、お薬手帳、先発医薬品を選んだときの「特別の料金」、そしてウクライナなど国外から薬を持ち込むときの決まりを、法令(e-Gov法令検索)と厚生労働省の案内をもとに説明します。記載は2026年9月に確かめた内容です。どの薬を使うか、どう飲むか、症状にどう対処するかは、この記事では扱いません。医師と薬剤師に相談してください。
処方箋は、交付の日を含めて4日以内
保険診療のルールを定めた「保険医療機関及び保険医療養担当規則」は、処方箋の使用期間を「交付の日を含めて四日以内」としています(第20条第3号イ)。月曜日にもらった処方箋なら、木曜日までに薬局へ出す必要があります。長期の旅行など特別な事情があると医師が認めた場合は、この限りではありません。期限を過ぎた処方箋では薬を受け取れないので、もう一度受診することになります。
厚生労働省のウクライナ語の資料(「院外処方せんの説明」2022年6月版)は、期限内なら日本のどこの薬局でも薬を受け取れること、代理の人が処方箋を持って行っても受け取れること、薬局で払った額も医療費控除の対象になるので領収書を取っておくことも説明しています。
同じ規則には「リフィル処方箋」の決まりもあります。医師が認めた場合に限り、1枚の処方箋を3回まで繰り返し使えるもので、2回目以降は、前回の薬を飲み終える予定の日の前後7日以内に薬局へ出します(第20条第3号ロ)。使えない薬もあり、リフィルにするかどうかは医師が決めます。
薬局は自分で選べる
同じ規則は、医師が処方箋を出すとき、患者に特定の薬局で薬を受け取るよう指示してはならない、と定めています(第19条の3)。病院の近くの薬局でも、自宅や職場の近くの薬局でもかまいません。出入国在留管理庁が監修する『生活・就労ガイドブック』(日本語版第8版、2026年2月)は、薬局では医師の処方箋に基づいて薬剤師が調剤し、薬の説明(服薬指導)をしたうえで薬を渡すこと、ドラッグストアでも処方箋なしで買える薬(OTC医薬品)は買えるが、処方箋は受け付けていないことを説明しています。薬について分からないことは、薬局やドラッグストアの薬剤師などに相談するよう勧めています。
薬局の窓口でも、病院と同じように保険の証明(マイナ保険証または資格確認書など)を示します。見せ方は日本の病院に行く前の準備の記事にまとめています。
お薬手帳:薬の記録を一冊に
お薬手帳は、これまでに受け取った薬を時系列で記録する手帳です。厚生労働省の資料は、自分の健康管理に役立つほか、医師・薬剤師が確認することで飲み合わせの問題や副作用を避けることにつながる、と説明しています。診療報酬のルールでは、患者の氏名や連絡先、アレルギー歴・副作用歴、主な既往歴、いつも使う薬局の連絡先を書く欄があるものを「手帳」としています。
スマートフォンのアプリで記録する電子版のお薬手帳もあります。厚生労働省によれば、マイナポータルと連携できるアプリなら、本人の同意のうえで、医療機関や薬局で出された薬の記録をマイナポータルから呼び出せます。
手帳を見せると、支払いが少なくなることがある
薬局での支払いには、薬代のほかに、薬剤師の説明や記録に対する料金(服薬管理指導料)が含まれます。厚生労働省の2026年度診療報酬改定の資料によれば、原則3か月以内に同じ薬局へ再び処方箋を持って行き、手帳を見せた場合は45点、それ以外は59点です。点数は改定の前と同じです。患者はこの点数に基づく金額のうち、自己負担の割合(多くは3割)を払います。点数や条件は診療報酬の改定のたびに見直されます。
オリュカ
特別の料金の割合は、いつも同じなのかな。
スウネ
割合は、時期によってこの表のように変わっているよ。
タブリ
特別の料金がかからない場合も、この見出しの下に挙げてあるよ。
後発医薬品と、先発医薬品を選んだときの「特別の料金」
後発医薬品(ジェネリック医薬品)は、先に承認された医薬品(先発医薬品)と、有効成分、分量、用法、用量、効能・効果が同じ医薬品として承認された薬です(保険医療機関及び保険医療養担当規則第20条第2号ニの定義による)。一般に先発医薬品より価格が安く設定されています。
2024年10月1日から、後発医薬品がある先発医薬品(長期収載品)を、医療上の必要がないのに患者の希望で使う場合、通常の自己負担とは別に「特別の料金」を払う仕組みが始まりました(長期収載品の選定療養)。当初は先発医薬品と後発医薬品の価格差の4分の1でしたが、2026年6月からは2分の1になりました。
| 時期 | 特別の料金 | 厚生労働省の例(先発1錠100円、後発1錠60円) |
|---|---|---|
| 2024年10月〜2026年5月 | 価格差の4分の1 | 差額40円の4分の1=10円 |
| 2026年6月から | 価格差の2分の1 | 差額40円の2分の1=20円 |
厚生労働省の案内では、特別の料金は消費税の課税対象で、後発医薬品が複数あるときは最も高い後発医薬品との差で計算します。次の場合は特別の料金はかかりません。
- 医師などが、先発医薬品を使う医療上の必要があると判断した場合(処方箋の「変更不可(医療上必要)」の欄に印が付く)
- 薬局などに後発医薬品の在庫がなく、先発医薬品を出すしかない場合
2026年3月の通知は、医師と薬剤師が、後発医薬品を選べることや、先発医薬品を希望すると特別の料金がかかり得ることを患者に説明し、薬局でも希望を確認するよう求めています。
オリュカのひとこと
国外から薬を持ち込むとき、量や手続きはどうなっているのでしょう。この見出しで確かめられます。
ウクライナなど国外から薬を持ち込むとき
日本では、医薬品を販売のために輸入するには国の承認や許可が要ります。自分で使うために輸入する場合(入国のときに手荷物で持ってくる場合も、国外から郵送してもらう場合も含む)は、原則として地方厚生局の確認を受ける必要がありますが、次の量までは特例として、税関の確認だけで輸入できます。厚生労働省の「医薬品等の個人輸入について」のページによるものです。
| 種類 | 税関の確認だけで輸入できる量 |
|---|---|
| 毒薬・劇薬・処方箋薬(医師の処方が必要な薬) | 用法・用量からみて1か月分以内 |
| それ以外の医薬品・医薬部外品 | 用法・用量からみて2か月分以内 |
| 外用剤(塗り薬、目薬など。毒薬・劇薬・処方箋薬を除く) | 標準サイズで1品目24個以内 |
| 自己注射が認められている医薬品と、その注射器 | 用法・用量からみて1か月分以内 |
この量を超える場合は、事前に地方厚生局に申請して「輸入確認証」を受け、税関に示す必要があります。医師の処方箋や指示書があれば、決められた量を超えて輸入できる場合があります。厚生労働省によれば、この書類はかつて「薬監証明」と呼ばれていましたが、医薬品医療機器等法の改正に伴い、2020年9月1日から輸入確認証に代わりました。
輸入できるのは自分で使う分だけで、ほかの人に売ったり譲ったりすることはできず、家族や友人の分をまとめて輸入することも認められていません。関東信越厚生局の案内資料は、送り先が自宅以外(勤務先や郵便局留め)の場合は、自分で使うための輸入と認められにくく、税関に示す確認の書類が必要になると説明しています。
別の法律で規制される薬
医療用の麻薬や向精神薬、医薬品の覚醒剤原料は、医師から処方された本人が手荷物で持って入国する場合を除き、個人が輸入することは禁止されており、違反すると処罰されます。本人以外に持ち込んでもらうことも、国際郵便で取り寄せることもできません。厚生労働省の案内では、医療用麻薬と医薬品の覚醒剤原料を持って入国するには、量にかかわらず地方厚生局長の許可が要ります。医療用の向精神薬は、1か月分を超える量や注射剤を持ち込む場合、事前に輸入確認証が必要です。
ウクライナで処方されている薬が日本でどの区分に当たるかは、成分によって決まり、この記事では判断できません。持ち込む前に、厚生労働省の地方厚生局(向精神薬などは同省の監視指導・麻薬対策課)に問い合わせてください。ほかに、医師の処方なしに使うと健康被害のおそれが大きいとして、量にかかわらず処方箋などの確認が必要とされている医薬品の一覧も、同省のページに載っています。
ウクライナ語で読める資料
厚生労働省の「外国人向け多言語説明資料」には、2022年7月にウクライナ語の資料が加わりました。英語・日本語と並べて書かれており、上で紹介した「院外処方せんの説明」のほか、診療申込書や問診票などがあります。同省はこれを日本国内の医療機関向けに提供していますが、ページへのリンクは原則自由としています。『生活・就労ガイドブック』のウクライナ語版(第7版、2025年3月)にも、薬局とドラッグストアの節があります。
2026年9月時点で、薬局での相談をウクライナ語で受ける公的な窓口は確認できていません。ウクライナ語で相談できる生活全般の窓口は相談窓口の記事に、翻訳アプリの使い方は翻訳アプリと通訳の記事にまとめています。急な病気やけがのときは119番です(110番・119番の記事)。
出典と記事の記録
出典・参考資料
- 保険医療機関及び保険医療養担当規則第19条の3 特定の保険薬局への誘導の禁止、第20条第2号ニ 後発医薬品の定義、第20条第3号 処方箋の使用期間・リフィル処方箋
発行:e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日:2026-09-26 - 外国人向け多言語説明資料 一覧ウクライナ語資料の追加時期、医療機関向けの提供、リンク自由
発行:厚生労働省 確認日:2026-09-26 - 院外処方せんの説明ウクライナ語・英語・日本語、2022年6月版
発行:厚生労働省 確認日:2026-09-26 - お薬手帳について定義、法令・通知上の位置づけ、マイナポータルとの連携
発行:厚生労働省 確認日:2026-09-26 - 電子版お薬手帳
発行:厚生労働省 確認日:2026-09-26 - 令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】服薬管理指導料の改定前後の点数と要件
発行:厚生労働省保険局医療課 確認日:2026-09-26 - 後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について患者向けの説明、2026年6月からの特別の料金、計算例
発行:厚生労働省 確認日:2026-09-26 - 「長期収載品の処方等又は調剤について」の一部改正について保医発0327第9号、2026年3月27日
発行:厚生労働省保険局医療課長・歯科医療管理官 確認日:2026-09-26 - 広報誌『厚生労働』2024年10月号 特別企画「長期収載品の選定療養」導入Q&A2024年10月1日開始、価格差の4分の1、医療上の必要性・在庫がない場合
発行:厚生労働省 確認日:2026-09-26 - 医薬品等の個人輸入について税関の確認だけで輸入できる数量、輸入確認証への切り替え(2020年9月1日)、麻薬・向精神薬・覚醒剤原料
発行:厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課 確認日:2026-09-26 - 医薬品等の輸入について自宅以外への送付、自己注射の医薬品と注射器の数量
発行:関東信越厚生局 確認日:2026-09-26 - 生活・就労ガイドブック 日本語版 第8版第6章 医療 3 薬、3-1 薬局、3-2 ドラッグストア
発行:出入国在留管理庁 監修 確認日:2026-09-26 - 生活・就労ガイドブック ウクライナ語版 第7版2025年3月。薬局・ドラッグストアの節
発行:出入国在留管理庁 監修 確認日:2026-09-26
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