種はほとんど国外に出さない。ウクライナのひまわり油
ウクライナはひまわりの種を1,000万トン以上とりますが、種のまま輸出するのはそのごく一部で、ほとんどは国内で油と搾りかすに加工してから輸出します。米国農務省の推計で見る種・油・輸出の量、世界の輸出に占める割合、そして1999年から種の輸出にかかっている関税の仕組みをまとめます。
オリュカのひとこと
ひまわりの種を、なぜ種のままではなく油にして輸出するのでしょう。理由の一つが最後の節にあります。
ウクライナの畑で広く作られているひまわりは、種のまま売られるより、国内で油を搾ってから国外へ出ていくことがほとんどです。米国農務省(USDA)海外農業局の月報「Oilseeds: World Markets and Trade」の2026年9月号の推計から、種・油・搾りかすの量と輸出を見ていきます。後半は、種を国外に出すときにかかる関税の仕組みです。
収穫量と作付面積の年ごとの推移は三大作物の記事に、港と輸出の経路は穀物の輸出経路の記事にまとめています。
種・搾りかす・油の量
USDAの推計では、ウクライナのひまわりの年度は9月から翌年8月までです。2024/25年度の種の生産1,300万トンに対し、種のまま輸出されたのは6.8万トンで、生産の約0.5%でした。
| ウクライナ(千トン) | 2024/25年度 | 2025/26年度(推計) | 2026/27年度(予測) |
|---|---|---|---|
| 種の生産 | 13,000 | 10,700 | 13,000 |
| 種の輸出 | 68 | 40 | 100 |
| 油の生産 | 5,290 | 4,515 | 5,418 |
| 油の輸出 | 4,744 | 4,036 | 5,000 |
| 搾りかす(ミール)の生産 | 5,080 | 4,337 | 5,204 |
| 搾りかす(ミール)の輸出 | 3,418 | 2,861 | 3,300 |
種を搾ると、油と、飼料になる搾りかす(ひまわりミール)ができます。2024/25年度の油の生産5,290千トンは、種の生産の約4割にあたります(表の数字から計算)。油の生産の約9割(4,744千トン)が輸出に回っています。
オリュカのひとこと
「ひまわり油の輸出で世界一」は、いつでも言えることなのでしょうか。年度ごとの表で確かめましょう。
世界の輸出の3割前後
「ウクライナはひまわり油の輸出で世界一」と言われることがあります。USDAの同じ表で、ひまわり油の輸出を並べると次のとおりです。
| ひまわり油の輸出(千トン) | 2024/25年度 | 2025/26年度(推計) | 2026/27年度(予測) |
|---|---|---|---|
| ウクライナ | 4,744 | 4,036 | 5,000 |
| ロシア | 4,200 | 4,200 | 5,100 |
| 世界の合計 | 13,662 | 13,510 | 15,968 |
| ウクライナの割合 | 約34.7% | 約29.9% | 約31.3% |
2024/25年度はウクライナがロシアを上回っていますが、収穫が減った2025/26年度の推計と2026/27年度の予測では、ロシアのほうがわずかに多くなっています。「世界一」かどうかは年度と推計の時点によって変わり、いつも言えるわけではありません。ロシアの数字は、ロシアが占領しているウクライナの地域の扱いを含め、USDAの推計の範囲がこの表からは分かりません。
種の輸出には1999年から関税
種のままの輸出が少ない理由の一つは、関税です。1999年9月10日の法律第1033-XIV号「一部の油糧作物の種の輸出関税率について」は、ひまわりの種の輸出に関税をかけています。現在の条文では、ひまわり・亜麻・カメリナの種の関税率を関税評価額の16%とし、2007年1月1日から毎年1ポイントずつ下げて10%にする、と定めています。16%から毎年1ポイントずつ下げると、2013年に10%になる計算です。
法律の条文は目的を書いていませんが、関税がかかる分だけ、種のまま国外に売るより、国内で搾って油と搾りかすとして売るほうが有利になる仕組みです。上の表でも、種のままの輸出は生産のごく一部にとどまっています。
欧州連合(EU)向けは扱いが違います。ウクライナとEUの連合協定の付属書I-Cには輸出関税の引き下げの日程があり、全ウクライナ農業評議会(ВАР)の解説によれば、EU向けのひまわりの種の関税率は2022年に0.9%でした。EUとの貿易の全体はEUとの関税の記事にあります。
2025年、大豆と菜種にも10%
2025年7月16日の法律第4536-IX号は、同じ法律に第1-1条を加え、大豆と菜種の種の輸出にも10%の関税をかけることにしました。大豆は2025年9月1日より前には適用しない、と定めています。自分で育てた大豆・菜種を輸出する農業生産者と、組合員が育てたものを輸出する農業協同組合は、この関税を払わなくてよいとされています。ひまわりの種には、この免除の定めはありません。
出典と記事の記録
出典・参考資料
- Oilseeds: World Markets and Trade, September 2026表13 Sunflowerseed and Products: World Supply and Distribution。ウクライナ・ロシア・世界の生産と輸出、年度
発行:U.S. Department of Agriculture, Foreign Agricultural Service 確認日:2026-09-24 - Закон України «Про ставки вивізного (експортного) мита на насіння деяких видів олійних культур»1999年9月10日 第1033-XIV号。第1条の税率16%と2007年からの引き下げ、第1-1条、2025年9月4日の版
発行:ウクライナ最高会議 法令データベース 確認日:2026-09-24 - Інформація щодо ставок мита на експорт насіння соняшника до країн ЄС連合協定の付属書I-C、2022年のEU向け税率0.9%
発行:全ウクライナ農業評議会(ВАР) 確認日:2026-09-24
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