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ビジネス・復興/解説

復興の台帳から公共投資の仕組みへ。ウクライナの電子システム「DREAM」

ウクライナで復旧や公共工事の事業を登録・公開する政府の電子システム「DREAM」は、2022年の実験プロジェクトから始まり、2026年7月の政府決定で国の公共投資全体を扱う仕組みになりました。根拠の決定、管理する組織、事業が通る段階、載っている1万4,611件の数字の読み方を、2026年9月時点の条文と公表で見ます。

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オリュカのひとこと

復興の状況は、どうやって確かめられるのでしょう。最初の見出しで確かめられます。

ウクライナで学校の避難所や病院の復旧、道路や水道の工事に公的なお金を使うとき、その事業を登録して公開する政府の電子システムがあります。「DREAM」です。サイト dream.gov.ua では、事業ごとに、何を、誰が、どの資金で進めているかを誰でも見られるようにしています。

DREAM は2022年に復興の「実験プロジェクト」として始まり、2026年7月の政府の決定で、国の公共投資全体を扱うシステムとして位置づけ直されました。以下では、根拠となる政府の決定、管理する組織、事業が通る段階、載っている事業の数を、2026年9月時点の条文と公表の数字で順に見ます。DREAM の存在と、それで実績を追えるかどうかは別だという点は、「復興が進んだ」と発表されたときの記事で扱っています。この記事はその先の、システムの中身を見ます。

2022年11月、2年間の「実験プロジェクト」として始まった

最初の根拠は、2022年11月15日の内閣決定第1286号です。決定は、インフラ省の提案にもとづき、2年間の実験プロジェクトとして「統一デジタル統合情報分析システム」をつくり、動かすことを認めました。システムの目的は、壊れた施設の復旧・再建の資金計画を自動化し、工事の進み具合とお金の使われ方を見守ることだと定めています。

同じ決定の手続き(2025年3月の改正後の文面)は、システムの持ち主を国とし、国の側で持つ省を「地域発展省」(Мінрозвитку)、技術面の管理者を国家復興・インフラ発展庁(Агентство відновлення)としています。国家機密はシステムに入れないこと、公的な情報は情報公開法にもとづいて公開すること、費用は国際機関や外国政府の技術支援などでまかなうことも書かれています。

システムを開発・運用するウクライナ政府を支えている国際団体 Open Contracting Partnership(OCP)は、2023年8月の記事で、DREAM が2023年3月から英語とウクライナ語で試験的に動き、2023年6月にロンドンで開かれたウクライナ復興会議で公表されたと説明しています。

オリュカのひとこと

この仕組みは、どう育ってきたのでしょう。この年表で確かめられます。

年表:復興の実験から、公共投資の仕組みへ

年月日出来事根拠・主体
2022年11月15日インフラ省の提案で、2年間の実験プロジェクトとしてシステムの創設を決める内閣決定第1286号
2023年3月英語とウクライナ語で試験的な運用を始めるOCP の説明(2023年8月)
2023年5月2日対象を「交通インフラ」から「不動産、建設、インフラ」の復旧へ広げる内閣決定第434号(第1286号の改正)
2023年6月ロンドンのウクライナ復興会議で公表OCP の説明
2024年1月23日所管の省の命令第65号でシステムの規程を定めるDREAM の法令の一覧
2024年8月9日2025年の公共投資事業の構想の提出・評価・選定をシステムで行う内閣決定第903号(第1286号の改正)
2025年1月16日予算法典に「公共投資事業」の定義を加える法律第4225-IX号
2025年2月28日公共投資事業の準備・評価・実施の手続きを定める内閣決定第527号
2026年6月4日公共投資管理の「統一デジタル・エコシステム」の構想を承認内閣命令第547-р号
2026年7月15日新しい名前でシステムの規程を定め、技術面の管理を国営企業に移す内閣決定第945号
2026年7月17日地域発展省を「復興・インフラ・運輸省」に改称し、「地域・領域・国内避難民省」を新設内閣決定第963号
2026年8月13日決定第527号の中のシステムの名前を新しい名前に置き換える内閣決定第1051号
出典は記事末尾の一覧。法令はウクライナ最高会議の法令データベースの2026年9月27日時点の文面による。2023年3月と6月の出来事は、開発を支える団体(OCP)の説明。
  1. オリュカ

    このシステムの名前は、どう変わってきたのかな。

  2. タブリ

    正式な名前の移り変わりが、この見出しの下に順に並んでいるよ。

  3. ヨリクネ

    英語の略称のもとになった言葉の違いも、この見出しの下にあるよ。

昔の名前/今の名前

正式な名前は2度変わっています。2022年の決定のときは「インフラの再建の過程を管理する」システムでした。2023年5月の改正で「不動産、建設、インフラの施設の再建の過程を管理する統一デジタル統合情報分析システム」になりました。2026年7月の決定第945号からは「公共投資事業と公共投資プログラムの準備と監視のためのデジタル統合情報分析システム(DREAM)」です。名前の中心が「再建」から「公共投資」に移りました。

英語の略称 DREAM のもとになった言葉も、資料で少し違います。OCP の2023年の記事は Digital Reconstruction Ecosystem for Accountable Management と書き、いまのサイトは Digital Restoration Ecosystem for Accountable Management と書いています。どちらも「説明責任のある管理のための、復興のデジタル・エコシステム」という意味です。

2026年7月の決定で決まったこと

2026年7月15日の内閣決定第945号は、DREAM を「公共投資管理の統一デジタル・エコシステム」の構成要素と定めました。システムは、中央のデータベース、利用者の電子の執務画面、公開のポータル(dream.gov.ua)の三つからなります。ポータルは、システムにある公的な情報を、無料で、すぐに見られる形で公開するためのものとされています。

システムが担う仕事として、規程は、国・州・市町村の中期の公共投資計画の作成、事業の登録と数字の標準化、分野ごとの評価と優先順位づけ、事業の一覧(ポートフォリオ)づくり、準備と実施の見守り、完了後の評価を挙げています。事業に固有の番号を振ること、公開データとして出すこと、人工知能の技術を使うことも書かれています。

つながる国のシステムとして、規程は、国家予算と地方予算の情報システム、電子調達システム Prozorro、公的資金の使い道を公開するポータル、建設の電子システム、法人の登記簿、戦争で壊れた財産の登録簿などを挙げています。調達の手続きそのものは Prozorro で行われ、DREAM はその情報を受け取る側です。2026年6月の構想(命令第547-р号)も、電子調達システムの役割を「事業に関わる調達の手続きを行うこと」としています。

管理する組織は、2026年9月時点で切り替わりの途中

決定第945号は、システムの持ち主を国とし、国の側の持ち主を地域発展省としています。技術面の管理者は、これまでの国家復興・インフラ発展庁から、国営企業「再統合と復興」(ДП «Реінтеграція та відновлення»)に変わります。地域発展省と国家復興・インフラ発展庁は、決定が効力を持ってから3か月以内に、システムをこの国営企業に引き渡すことになっています。

ところが決定第945号の2日後、2026年7月17日の内閣決定第963号で、地域発展省は「復興・インフラ・運輸省」に名前を変え、別に「地域・領域・国内避難民省」がつくられました。2026年8月の決定第1051号は、DREAM の上で技術の仕組みをつくる役を経済・環境省と復興・インフラ・運輸省に割り当てています。一方、2026年9月27日の dream.gov.ua の末尾は、システムを開発・運用しているのは「地域・領域・国内避難民省」だと書いています。政府の決定とサイトの表示が、まだそろっていません。

日々の開発は、OCP が運営する「DREAM 支援事務所」も担っています。OCP によれば、キーウに30人以上のチームがあり、英国とノルウェーの政府がサイトの開発の費用を出しています(サイトの表示による)。

  1. オリュカ

    登録された事業は、どんな順番で進むのかな。

  2. タブリ

    登録から完了後の評価まで、この見出しの下に順番に並んでいるよ。

  3. スウネ

    登録された件数が何を表すかは、次の見出しから先で確かめられるよ。

事業が通る段階

規程と2026年6月の構想によれば、事業は大きく「投資の前の段階」と「投資の段階」に分かれ、次の順にシステムの上で扱われます。

  • 事業を始める市町村や省などが、事業を登録し、必要性や経済性などの根拠と事前の調査の資料を入れる
  • 所管の省などが分野ごとに評価し、優先順位をつけて、分野ごとの事業の一覧をつくる
  • 専門家の評価を経て、国・州・市町村ごとの「統一事業ポートフォリオ」に入れる
  • 資金の手当て、調達、工事の進み具合を記録し、見守る
  • 完了後に最終の評価を行い、大きな事業は投資の後の評価も行う

DREAM のサイトのよくある質問は、どの段階でも、国際的な公開データの標準(オープン・コントラクティング・データ標準、OCDS)に沿ってデータを公開していると説明しています。

載っている事業の数

2026年9月27日に dream.gov.ua のトップページが示していた集計では、登録された事業は1万4,611件でした。資金の状況の内訳は、全額の資金があるもの1,379件、一部だけあるもの3,063件、資金が無いもの1万169件です。事業の多くは、資金を探している段階にあることになります。

数字が一つに決まらないのは、数えているものが違うから

DREAM について出てくる数字は、何を数えたかで大きく変わります。同じ時期の三つの公表を並べます。

主体と時点数字何を数えているか
dream.gov.ua のトップページ(2026年9月27日の表示)事業1万4,611件システムに登録された事業の全体。資金の有無で三つに分ける
OCP(2026年6月23日)事業1万4,000件超、推計1兆2,600億フリヴニャ統一事業ポートフォリオに入った事業
OCP(2026年6月23日)国の統一ポートフォリオに投資事業142件と投資プログラム65件2027〜2029年の中期計画で承認されたもの
dream.gov.ua のよくある質問(2026年9月の表示)市町村1,377、州の軍政24、分野の省15システムを使っている組織の数
出典は記事末尾の一覧。いずれも公表した主体の数字で、独立した機関が確かめたものではない。フリヴニャの額は OCP の推計。

OCP 自身も、ポートフォリオに入った1万4,000件余りのすべてが、すぐに投資できる段階まで準備された事業だとは言い切れないと書いています。小さな市町村の多くが、短い期間で新しい手続きに合わせて書類を出したためだとしています。件数は「登録された数」であって、「工事が終わった数」ではありません。

被害の見積もりと、壊れた住宅の補償

DREAM に載る事業の多くは、ロシアによる全面侵攻で壊れた建物やインフラの復旧です。被害と復興の費用の見積もりは復興費用の見積もりの記事、個人の住宅の補償の制度は「єВідновлення」の記事にあります。

出典と記事の記録出典 11件 · AIの利用 · 運営体制

出典・参考資料

  1. Постанова Кабінету Міністрів України від 15 листопада 2022 р. № 1286実験プロジェクト、2年間、持ち主と技術管理者、2023年第434号・2024年第903号・2025年第272号による改正、2025年3月13日の版
    発行:ウクライナ最高会議 法令データベース 確認日:2026-09-27
  2. Постанова Кабінету Міністрів України від 15 липня 2026 р. № 945DREAM の規程、構成、任務、持ち主、技術管理者、連携するシステム、引き渡し
    発行:ウクライナ最高会議 法令データベース 確認日:2026-09-27
  3. Постанова Кабінету Міністрів України від 17 липня 2026 р. № 963省の改称と新設
    発行:ウクライナ最高会議 法令データベース 確認日:2026-09-27
  4. Постанова Кабінету Міністрів України від 28 лютого 2025 р. № 527公共投資の管理、第2項第3号の DREAM、2026年8月27日の版
    発行:ウクライナ最高会議 法令データベース 確認日:2026-09-27
  5. Постанова Кабінету Міністрів України від 13 серпня 2026 р. № 1051決定第527号の名前の置き換え、DREAM 上の技術の仕組み
    発行:ウクライナ最高会議 法令データベース 確認日:2026-09-27
  6. Розпорядження Кабінету Міністрів України від 4 червня 2026 р. № 547-р統一デジタル・エコシステムの構想、DREAM と電子調達システムの役割
    発行:ウクライナ最高会議 法令データベース 確認日:2026-09-27
  7. Бюджетний кодекс України第2条第1項第44-2号、法律第4225-IX号による追加
    発行:ウクライナ最高会議 法令データベース 確認日:2026-09-27
  8. DREAM トップページ事業の件数と資金の状況の集計、よくある質問、末尾の運営者の表示
    発行:DREAM(dream.gov.ua) 確認日:2026-09-27
  9. Нормативна базаDREAM の法令の一覧。2024年1月23日の命令第65号
    発行:DREAM(dream.gov.ua) 確認日:2026-09-27
  10. The Ukrainian DREAM: Making wartime reconstruction digital and accountable2023年8月14日。2023年3月の試行、6月の公表、支援事務所
    発行:Open Contracting Partnership 確認日:2026-09-27
  11. Transforming Ukraine's public investment in infrastructure: Our URC2026 stock take2026年6月23日。ポートフォリオの件数と推計額、支援事務所の人数
    発行:Open Contracting Partnership 確認日:2026-09-27

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