週20時間以上で雇用保険に。仕事を失ったときの基本手当
週20時間以上、31日以上の見込みで働く人は、国籍を問わず原則として雇用保険に入ります。仕事を失ったときの基本手当は、辞める前2年間に12か月以上の加入が条件で、自己都合の退職なら受け取り始めるまで7日と1か月。額の上限、手続きの流れ、2028年10月からの週10時間への拡大をまとめました。
オリュカのひとこと
仕事を失ったとき、基本手当を受け取るには二つの条件があるようです。何が条件か見出しで確かめられます。
日本で雇われて働く人のうち、1週間に20時間以上働き、31日以上続けて雇われる見込みのある人は、原則として雇用保険に入ります。仕事を失ったとき、次の仕事を探す間に受け取れるのが、雇用保険の「基本手当」(いわゆる失業手当)です。自分の都合で辞めた人が基本手当を受け取り始めるまでの待ちは、2025年4月から原則1か月に短くなりました。2028年10月からは、週10時間以上働く人も加入の対象になります。
以下は、雇用保険法の条文(e-Gov法令検索)と、厚生労働省・ハローワークの公式ページ、出入国在留管理庁が監修する『生活・就労ガイドブック』(日本語版第8版)を、2026年9月に確かめた内容です。基本手当を受け取れるか、何日分受け取れるかは、ハローワークが一人ずつ決めるもので、この記事では判断しません。仕事の探し方と、ウクライナ語の通訳がいるハローワークは、日本で仕事を探すときの記事にまとめています。
加入する人と、保険料
雇用保険法は、1週間の所定労働時間が20時間未満の人と、同じ会社に31日以上続けて雇われる見込みのない人などを、対象から外しています(第6条)。裏返すと、週20時間以上・31日以上の見込みの両方に当てはまる人は、会社の規模にかかわらず、派遣社員、契約社員、パートタイム労働者、アルバイトでも加入します。昼間の学生は原則として対象外です。
厚生労働省のリーフレットによれば、雇用契約の期間が31日未満でも、契約に更新する場合がある旨の定めがあって31日未満で終わると示されていないときなどは、31日以上の見込みがあるものとして扱われます。東京労働局の『外国人の雇用に関するQ&A』(2025年度版)は、雇用保険は国籍を問わず日本人と同じように適用されるとしたうえで、外国の公務員と、外国の失業補償制度の適用を受けていることが明らかな人は除く、ワーキングホリデーで入国した人と留学生(昼間学生)は対象外、と説明しています。
保険料は、働く人と会社の両方が払います。2026年度(2026年4月〜2027年3月)の率は、一般の事業で、働く人の負担が賃金の1,000分の5、会社の負担が1,000分の8.5です(厚生労働省)。
加入の手続きは会社が行います。会社が手続きをしていないと思うときは、働く人が自分でハローワークに加入しているかどうかの確認を請求できます(第8条)。厚生労働省は、加入すべき人だったと確認されれば、さかのぼって加入できるとしています。
基本手当を受け取るための二つの条件
ハローワークの案内と雇用保険法第13条によると、次の二つにどちらも当てはまることが必要です。
- 加入していた期間:辞めた日より前の2年間に、被保険者期間が通算12か月以上あること。賃金の支払いの基礎になった日数が11日以上か、時間数が80時間以上ある月を1か月と数えます。倒産や解雇で辞めた人(特定受給資格者)と、有期契約が更新されなかった人など(特定理由離職者)は、辞める前の1年間に6か月以上あればよいとされています。
- 「失業の状態」にあること:ハローワークで求職の申込みをし、就職しようとする意思といつでも就職できる能力があるのに、仕事に就けない状態です。ハローワークは、病気やけが、妊娠・出産・育児ですぐには働けないとき、しばらく休もうと思っているとき、家事に専念するときは受け取れない、としています。
いくら、何日分、いつから
1日あたりの額(基本手当日額)は、原則として辞める直前の6か月に毎月決まって払われた賃金の合計を180で割った「賃金日額」の、およそ50〜80%です(60〜64歳は45〜80%)。賃金の低い人ほど率が高くなります。年齢ごとに上限があります。
| 離職したときの年齢 | 基本手当日額の上限 |
|---|---|
| 30歳未満 | 7,450円 |
| 30歳以上45歳未満 | 8,270円 |
| 45歳以上60歳未満 | 9,110円 |
| 60歳以上65歳未満 | 7,830円 |
受け取れる日数(所定給付日数)は、辞めた理由、年齢、加入していた期間で決まり、『生活・就労ガイドブック』によれば原則90日から330日です(障害などで就職が難しい人は最長360日)。受け取れる期間は、原則として辞めた日の翌日から1年間で、これを過ぎると日数が残っていても受け取れません。病気、けが、妊娠、出産、育児などで30日以上続けて働けないときは、申し出ればその日数だけ期間を延ばせます(延ばした後の期間は最長4年。第20条)。
辞めた理由で変わる、受け取り始める時期
| 辞めた理由 | 受け取り始める時期 |
|---|---|
| 倒産、会社の都合による解雇、退職勧奨に応じた退職など | 求職の申込みをして離職票が受理された日から、失業の状態が通算7日(待期)たった後 |
| 自分の都合による退職 | 7日の待期の後、さらに1か月(5年間で3回目以降の自己都合退職は3か月)たった後 |
| 自分の責任による重大な理由での解雇 | 7日の待期の後、さらに3か月たった後 |
自己都合で辞めた人に基本手当を払わない期間(給付制限)について、雇用保険法第33条は「1か月以上3か月以内の間で公共職業安定所長の定める期間」と定めています。厚生労働省は2024年の法改正にあわせて、この期間を原則2か月から1か月に短くし、2025年4月1日から実施しました。同じ改正で、辞める前の1年以内か辞めた後に、決められた教育訓練を自分で受けた人には、給付制限がかからなくなりました(第33条第1項第2号・第3号)。
資料によっては、改正前の「2か月」がまだ書かれています。2026年9月時点で、ハローワークの「雇用保険の具体的な手続き」のページと、『生活・就労ガイドブック』のウクライナ語版(第7版、2025年3月)がそうです。自分の給付制限の期間は、受給資格が決まるときにハローワークで確かめてください。
辞めた理由は、会社が出す「離職票」に書かれます。『生活・就労ガイドブック』は、本当は会社の都合による解雇や退職勧奨なのに自己都合の退職などとしてしまうと、基本手当を受けるときに不利になるので、離職票を受け取ったら離職理由の欄をよく確かめるよう勧めています。ハローワークは、離職理由に異議があるときは相談するよう案内しています。
手続きの流れ
- 辞めた後、会社から「雇用保険被保険者離職票(-1、-2)」を受け取る。届かないときは、住所を受け持つハローワークに問い合わせる。
- 住所を受け持つハローワークで求職の申込みをし、離職票を出す。持っていくのは、離職票、マイナンバーを確かめる書類、本人確認の書類、写真2枚(マイナンバーカードを見せれば省略できる)、本人名義の預金通帳かキャッシュカード。
- ハローワークが受給資格を決め、離職理由も判定する。その後、受給説明会に出る。
- 原則として4週間に1回、決められた日にハローワークへ行き、失業の認定を受ける。認定の対象になる期間に、原則として2回以上の求職活動の実績が要る。
- 失業の認定を受けた日から、通常5営業日で口座に振り込まれる。
本人確認の書類について、ハローワークの業務取扱要領は、在留カードを使える書類の一つに挙げています。手続きの受付は平日の8時30分から17時15分です。
一部のハローワークでは雇用保険の手続きができません。仕事を探すときの記事で紹介した、ウクライナ語の通訳がいる外国人雇用サービスセンターもその一つだと厚生労働省のリーフレットは注意しています。
働いたことや収入を失業認定申告書で申告しなかったり、求職活動をうそで書いたりすると、不正受給として支給が止まります。ハローワークは、不正に受けた額の返還に加えて、その2倍までの額の納付を命じられることがある、としています。
オリュカのひとこと
在留資格や帰国の予定は、基本手当の受け取りにどう関わるのでしょう。この節で確かめられます。
在留資格と、日本を離れる予定がある人
雇用保険への加入は、国籍を問いません。一方、基本手当は、日本の住所を受け持つハローワークで求職の申込みをし、4週間に1回の失業の認定を受けながら受け取る仕組みです(第15条)。ハローワークの業務取扱要領は、受け取れる期間を延ばせる理由に「配偶者の海外勤務に本人が同行する場合」を挙げる一方で、海外旅行はこれに当たらないとしています。
日本を離れる予定がある人、在留期間の満了が近い人、働ける仕事に制限のある在留資格の人は、受け取れるかどうかを、辞める前か手続きの前にハローワークで確かめてください。ウクライナから避難して「特定活動(1年)」に変わった人の働き方の決まりは、日本で仕事を探すときの記事に書いています。
2028年10月から、週10時間以上の人も加入
雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年法律第26号。2024年5月10日成立)により、2028年10月1日から、加入の条件のうち週の所定労働時間が「20時間以上」から「10時間以上」に変わります。厚生労働省の説明資料によると、それに合わせて、被保険者期間を1か月と数える基準は「11日以上または80時間以上」から「6日以上または40時間以上」に、失業の認定で働いた日を失業の日と扱える1日の労働時間は「4時間未満」から「2時間未満」に変わります。
同じ改正で、2025年10月からは、在職中に教育訓練のための無給の休暇を取った人に、基本手当と同じ額を支給する「教育訓練休暇給付金」ができました(被保険者期間5年以上などの条件があります)。
ウクライナ語で読める資料
出入国在留管理庁が監修する『生活・就労ガイドブック』のウクライナ語版には、雇用保険と基本手当の節があります。ただし第7版(2025年3月)で、上に書いたとおり給付制限は改正前の「2か月」のままです。日本語版の最新は第8版です。ハローワークで通訳を頼めるかどうかは、行く前に電話で確かめてください。相談先の全体は日本で暮らし始めたときの相談窓口にあります。
出典と記事の記録
出典・参考資料
- 雇用保険法第4条、第6条、第8条、第9条、第13条、第14条、第15条、第16条、第20条、第21条、第22条、第23条、第33条
発行:e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日:2026-09-24 - 基本手当について受給要件、被保険者期間の数え方、受給期間、基本手当日額と上限額〔令和8年8月1日現在〕、不正受給
発行:ハローワークインターネットサービス(厚生労働省職業安定局) 確認日:2026-09-24 - 雇用保険の具体的な手続き離職票、持ち物、受付時間、受給説明会、失業の認定、求職活動の回数、振込
発行:ハローワークインターネットサービス(厚生労働省職業安定局) 確認日:2026-09-24 - 雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年法律第26号)の概要と参考資料適用拡大、給付制限の見直し、教育訓練休暇給付金、施行期日
発行:厚生労働省 確認日:2026-09-24 - 令和8(2026)年度 雇用保険料率のご案内
発行:厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク 確認日:2026-09-24 - 外国人を雇用する事業主の皆さまへ 外国人労働者の雇用保険手続きをお忘れなく!適用要件、31日以上の見込みの扱い、確認の請求、さかのぼっての加入
発行:厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク 確認日:2026-09-24 - 外国人の雇用に関するQ&A令和7年度発行。Q44 雇用保険・労災保険の取扱い
発行:東京労働局職業安定部・ハローワーク 確認日:2026-09-24 - 雇用保険に関する業務取扱要領第1〜第3。本人確認書類、受給期間の延長の理由
発行:厚生労働省 確認日:2026-09-24 - 生活・就労ガイドブック 日本語版 第8版2-5(4)雇用保険(基本手当)、4-4 雇用保険
発行:出入国在留管理庁 監修 確認日:2026-09-24 - 生活・就労ガイドブック ウクライナ語版 第7版2025年3月
発行:出入国在留管理庁 監修 確認日:2026-09-24
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