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人と暮らし/実用ガイド

住民税は1月1日の住所で決まり、出国しても消えない

日本で給料を受け取ると、国の所得税と市区町村の住民税がかかります。所得税は毎月の給料から差し引かれて年末調整で精算され、住民税は前の年の所得に対して翌年の6月ごろから請求されます。1月1日に日本に住所があれば、その後に出国しても住民税の納税義務は残ります。仕組みと、出国前の納税管理人の手続きをまとめました。

オリュカのひとこと

出国しても住民税が消えないのはなぜでしょうか。「1月1日の住所」の意味を本文で確かめましょう。

日本で給料を受け取ると、二つの税金がかかります。国に納める所得税と、住んでいる市区町村に納める住民税です。どちらも国籍に関係なく課されます。ただ、仕組みが違います。所得税はその年の所得にかかり、会社員であれば毎月の給料から差し引かれて、年末に精算されます。住民税は前の年の所得にかかり、請求は翌年に来ます。

以下、国税庁のタックスアンサー(よくある税の質問)と、総務省の「外国人の方の個人住民税」のページ・資料をもとに、基本の仕組みと、日本を離れるときに必要な手続きを説明します。内容は2026年9月時点で確認したものです。自分の税額や、確定申告が必要かどうか、居住者に当たるかどうかは、この記事では判断しません。税務署か、住んでいる市区町村の税務担当の窓口で確かめてください。

所得税:まず「居住者」かどうか

国税庁によれば、日本の所得税法では、国内に「住所」がある人、または現在まで引き続き1年以上「居所」がある人を「居住者」とし、それ以外の人を「非居住者」としています。「住所」は個人の生活の本拠のことで、その人の生活の中心がどこかを客観的な事実によって判定する、と説明されています。「居所」は、生活の本拠ではないが現実に住んでいる場所です。

非居住者に対する課税は、日本国内で生じた所得(国内源泉所得)に限られます。国と国のあいだで二重に課税されないよう、租税条約がどちらの国の居住者になるかの判定方法を定めている場合もある、と国税庁は説明しています。

会社員は、源泉徴収と年末調整

会社などから給料を受け取る人は、毎月の給料から所得税が差し引かれます(源泉徴収)。国税庁によれば、年末調整は、毎月源泉徴収した所得税と、その人が1年間に納めるべき所得税との差額を精算する手続きです。対象になるのは、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を年末調整を行う日までに勤め先に出している人で、1年を通じて勤めている人や、年の途中で就職して年末まで勤めている人です。1年間の給与の総額が2,000万円を超える人などは対象外です。

年の途中で会社を辞めた人は、原則として年末調整の対象になりません。例外として国税庁が挙げているのは、海外の支店への転勤などで非居住者になった人、12月の給与を受け取ったあとに退職した人などです。

なお、差し引かれる税には、所得税とあわせて復興特別所得税が含まれます。国税庁は、2027年分以後はこれに防衛特別所得税が加わると書いています。

確定申告が必要な人

確定申告は、1月1日から12月31日までの1年間の所得と税額を計算して確定させる手続きです。源泉徴収された税金に過不足があれば、ここで精算します。申告の期間は原則として翌年の2月16日から3月15日まで、申告と納付の期限は原則として翌年の3月15日です。

国税庁によれば、給与の収入が2,000万円以下で、1か所から給与を受けていてその全部が源泉徴収されており、給与と退職所得以外の所得が20万円以下である人などは、確定申告をしなくてもよいとされています。複数の勤め先から給与を受けている人や、個人で仕事を請け負っている人などは、自分が申告の対象になるかを税務署で確かめてください。

国税庁は、パソコンやスマートフォンで申告書をつくる「確定申告書等作成コーナー」の外国人向け入力マニュアル(2025年分)を、英語、中国語(簡体字・繁体字)、ベトナム語、ポルトガル語、ネパール語で公開しています。ウクライナ語版はありません(2026年9月時点)。

住民税:1月1日に住んでいた市区町村が課税する

総務省の外国人向けのページは、住民税を次のように説明しています。1月1日の時点で日本に住所があり、一定額以上の給料などを受け取っている人は、外国人でも、住んでいる市区町村に住民税を納める必要がある。1月2日以降に日本から出国した場合も同じ。納めるべき額は、前の年の1月1日から12月31日までに受け取った給料などで決まる。

総務省の資料によれば、この「1月1日」は地方税法で賦課期日と呼ばれ、その日に市町村内に住所がある個人が納税義務者になります。住民基本台帳法が適用される人は、住民基本台帳に記録されている人が住所のある人とされます。つまり、住民登録をしている市区町村が基準になります。住民登録については日本の住民登録で出てくる言葉の記事にまとめています。

このため、1月2日以降に日本に来た人には、その年の1月1日の時点で日本に住所がないので、その年の住民税は課されません。逆に、所得を得た翌年の1月1日に日本に住所があれば、その年の途中で出国しても、納税の義務は消えません。総務省の資料は、国籍にかかわらず賦課期日の住所の有無で納税義務が確定するため、出国しても消滅しない、と明記しています。

時期所得税住民税
2026年1月〜12月給料から毎月源泉徴収される2025年の所得に対する住民税を納める(2025年の所得があり、2026年1月1日に住所があった場合)
2026年12月ごろ勤め先で年末調整
2027年1月1日この日の住所地の市区町村が、2026年の所得に対する住民税を課税する
2027年2月16日〜3月15日必要な人は2026年分の確定申告
2027年6月ごろから給料から天引き(特別徴収)が始まる、または納付書が届く(普通徴収)
国税庁タックスアンサーNo.2665・No.2020、総務省「外国人の方の個人住民税について」から作成(2026年9月確認)。一般的な流れで、個々の人の課税の有無や金額を示すものではない。

住民税の納め方

総務省のページによれば、納め方は二つあります。会社で働く人は、会社が給料から住民税を差し引いて市区町村に納める「特別徴収」が原則で、自分で納める必要はありません。そうでない人は、毎年6月ごろに市区町村から納付書が届き、金融機関などで納める「普通徴収」になります。

特別徴収で納めていた人が会社を辞めるときは、残りの住民税を普通徴収で自分で納めることになります。本人から申し出れば、残りの全額を最後の給料や退職金から差し引いてもらう「一括徴収」もできます。総務省は事業者向けの説明で、1月から5月に退職する場合は、申し出の有無にかかわらず一括徴収を行う必要があるとしています。

総務省はさらに、納めるべき住民税を納めていない場合、在留期間の更新申請などが許可されない場合があると注意しています。

オリュカのひとこと

日本を離れる前に「納税管理人」を決めるのは、何のためでしょうか。手続きをここから見ましょう。

日本を離れるとき:納税管理人

出国したあとも税金の手続きが残る場合に備えて、日本に住む人の中から、代わりに手続きをしてくれる「納税管理人」を決める仕組みがあります。届け出る先は、所得税と住民税で違います。

  • 住民税:総務省は、出国するまでに住民税を納められない場合、出国する前に納税管理人を決めて、住んでいる市区町村に届け出る必要があるとしています。
  • 所得税:国税庁は、非居住者が確定申告書の提出、税務署からの書類の受け取り、税金の納付や還付金の受け取りなどをする必要があるときは、納税管理人を定める必要があるとしています。「所得税・消費税の納税管理人の選任・解任届出書」を、納税地を所轄する税務署長に出します。納税管理人は個人でも法人でもよい、とされています。

住民税の請求が来るのは翌年の6月ごろなので、年の途中で出国する人は、その時点ではまだ請求が来ていないことがあります。いつ、いくら納めることになるのか、納税管理人が必要かどうかは、出国の前に市区町村の窓口で確かめておくと安心です。

ウクライナ語で読める資料は少ない

総務省の外国人向け住民税のページには、日本語のほか英語、中国語、ベトナム語、ポルトガル語の案内がありますが、ウクライナ語はありません。国税庁の外国語の申告書やマニュアルでも、この記事で確認した範囲にウクライナ語版は見当たりませんでした(いずれも2026年9月時点)。日本語の書類が難しいときは、勤め先の担当者や、地域の相談窓口に相談できます。相談先は日本で暮らし始めたときの相談窓口の記事で紹介しています。給料から差し引かれるもう一つの大きな項目である社会保険料については、日本の健康保険と年金の加入の記事にまとめています。

出典・参考資料

  1. No.2875 居住者と非居住者の区分(令和8年4月1日現在法令等。居住者・非居住者の定義、住所・居所、租税条約による判定)
    発行:国税庁 確認日:2026-09-24
  2. No.2873 非居住者等に対する課税のしくみ(課税範囲が国内源泉所得に限られること)
    発行:国税庁 確認日:2026-09-24
  3. No.2665 年末調整の対象となる人(年末調整の定義、扶養控除等申告書、2,000万円、年の中途の対象者、令和9年分以後の防衛特別所得税)
    発行:国税庁 確認日:2026-09-24
  4. No.2020 確定申告(申告の期間2月16日〜3月15日、確定申告が不要な場合)
    発行:国税庁 確認日:2026-09-24
  5. No.1923 海外勤務と納税管理人の選任又は解任(令和8年4月1日現在法令等。納税管理人の役割、届出書、提出先、法人・個人)
    発行:国税庁 確認日:2026-09-24
  6. 外国人向け確定申告書等作成コーナー入力マニュアル(簡易版)2025年分(対応言語)
    発行:国税庁 確認日:2026-09-24
  7. 《外国語》令和6年分給与所得者の基礎控除申告書兼…申告書(外国語版の言語)
    発行:国税庁 確認日:2026-09-24
  8. 外国人の方の個人住民税について(1月1日の住所、前年の所得、在留期間更新への影響、特別徴収と普通徴収、退職時、出国時の納税管理人、1〜5月退職の一括徴収、対応言語)
    発行:総務省 確認日:2026-09-24
  9. 個人住民税の調査等(資料6、2025年8月26日。賦課期日と地方税法294条、住民基本台帳による住所の認定、出国者の課税上の取扱い)
    発行:総務省自治税務局市町村税課 確認日:2026-09-24

記載内容に誤りを見つけた場合は、訂正のご連絡からお知らせください。確認のうえ、訂正した内容と経緯を記事に記載します。