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人と暮らし/実用ガイド

暖房は部屋ごと、灯油は自分で給油。集中暖房のない日本の冬

日本の多くの家には、ウクライナのような集中暖房がありません。部屋ごとの暖房器具と燃料、石油ストーブの給油と誤給油、一酸化炭素と換気、結露、寒い浴室での事故、2025年4月からの新築住宅の省エネ基準を、NITE・消防庁・消費者庁・国土交通省の公表資料でまとめました(2026年10月時点)。

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オリュカのひとこと

日本の冬の家は、どうやって暖めているのでしょう。最初の見出しで確かめられます。

ウクライナの多くの都市では、ボイラーの施設や熱電併給所でつくった熱が温水になって集合住宅に届き、秋になると自治体の決定で暖房が入ります。日本で暮らし始めると、この仕組みのない家がほとんどだと気づきます。部屋にエアコンやストーブを置き、自分でスイッチを入れ、石油ストーブなら灯油も自分で入れます。

この記事は、日本の冬の住まいの暖め方と、そこで起きやすい事故(灯油の誤給油や給油のときの火災、一酸化炭素中毒、浴室での事故)、結露、2025年4月から新築住宅に求められるようになった省エネ基準を、2026年10月時点の法令と、製品評価技術基盤機構(NITE)、総務省消防庁、東京消防庁、消費者庁、国土交通省、気象庁の公表資料でまとめたものです。特定の製品・メーカー・店は勧めません。

集中暖房のある国と、部屋ごとに暖める国

日本にも、1か所でつくった温水や冷水を導管で複数の建物に送る仕組みはあります。熱供給事業法にもとづく「熱供給事業」で、資源エネルギー庁の登録熱供給事業者一覧(2025年10月1日現在)には76の事業者が載っています。供給地域の名前の多くは、東京の丸の内や新宿新都心、大阪の千里中央のような都市の中心部や再開発地区です。札幌市(厚別、真駒内など)や苫小牧市日新団地、東京の光が丘団地・品川八潮団地のように、団地の名前が入った地域もあります。

経済産業省の審議会の資料(2014年)は、熱供給の地点は東京・大阪・名古屋のような熱の需要が多い地域に集中し、供給区域の面積は国土の0.01%だとしていました。こうした地域の外にある家では、暖房は部屋ごとに置く器具か、エアコンや床暖房のように建物に付いた設備で、住む人がその都度動かします。

地域熱供給と地域冷暖房:同じ仕組みの二つの呼び名

法律の言葉は「熱供給事業」です。業界団体の一般社団法人日本熱供給事業協会は、同じ仕組みを「地域熱供給」とも「地域冷暖房」とも呼んでいます。経済産業省の資料によれば、日本の熱供給は暖房・給湯用の温水だけでなく、冷房用の冷水もつくって送ります。ウクライナの内閣決定第830号が定める熱エネルギーの供給のサービスは、暖房と給湯のための熱が対象で(第4項)、冷房用の冷水は出てきません。送るものの範囲が「地域冷暖房」とは少し違います。

ウクライナの集中暖房と日本の部屋ごとの暖房

ウクライナ(集中暖房の集合住宅)日本(集中暖房のない家)
熱をつくる所ボイラーの施設や熱電併給所。温水を管で建物に送る部屋の器具(エアコン、ストーブなど)や、建物に付いた設備
暖房が入る時期地方自治体の機関が暖房期間の始まりと終わりを決める。1日の平均気温が3日間8度以下になったら、遅くともその時点で始める住む人が自分で器具を動かす
期間中の供給暖房期間は、法律で定めた中断を除き「途切れずに」熱を送る使う時間だけ動かす
払うもの熱の料金(自治体の機関や規制委員会が決める)電気・ガスの料金、灯油の代金をそれぞれ払う
1月の平均気温国土の大部分でマイナス2度〜マイナス7.5度(既存記事が引く論文)札幌 マイナス3.2度、仙台 2.0度、東京 5.4度、大阪 6.2度、福岡 6.9度、那覇 17.3度
ウクライナ側は内閣決定第830号「熱エネルギーの供給のサービスの規則」第8項・第9項(最高会議の法令データベース、2024年9月10日の版、2026年10月閲覧)。日本の気温は気象庁の平年値(1991〜2020年)。ウクライナの気温の出典はウクライナの川と気候の記事にある。

ウクライナの暖房の決まりと料金はウクライナの暖房が入る決まりの記事にまとめています。日本の1月の平均気温は、札幌ではウクライナの多くの地域と同じくらいですが、東京や大阪ではそれより7度以上高く、地域による差が大きくなっています。

オリュカのひとこと

部屋を暖める器具と燃料には、どんな種類があるのでしょう。この見出しで確かめられます。

主な暖房器具と、使う燃料

NITEが事故の統計で「主な暖房器具」として数えているのは、石油ストーブ・石油ファンヒーター、電気ストーブ・電気ファンヒーター、ガスストーブ・ガスファンヒーター、オイルヒーター、電気カーペット、電気こたつです。このほかに、エアコンの暖房と床暖房があります。

  • エアコン:電気。冷房と暖房の両方ができる機種がある。
  • 石油ストーブ・石油ファンヒーター:灯油。タンクに自分で給油し、燃やした空気は部屋の中に出る。
  • ガスストーブ・ガスファンヒーター:都市ガスかLPガス。家のガスの種類に合った器具でなければ使えない。
  • 電気ストーブ・電気ファンヒーター・オイルヒーター:電気。電気ストーブには、ハロゲンヒーターやパネルヒーターも含まれる(NITEの区分)。
  • こたつ・電気カーペット:電気。部屋全体ではなく、体の近くを温める。
  • 床暖房:建物に付いた設備で、あるかどうかは住まいによる。

電気とガスの申し込み先や、ガスの種類(都市ガスとLPガス)が合わない器具を使う危険は、電気・ガス・水道の連絡先の記事にあります。どの器具を選ぶか、どの会社と契約するかは、この記事では扱いません。

  1. オリュカ

    借りている部屋で、石油ストーブを使ってもいいのかな。

  2. スウネ

    標準の契約書に書かれていることと書かれていないことは、この見出しの下の引用と段落にあるね。

  3. タブリ

    確かめる順番は、この見出しの最後の段落にあるよ。

賃貸住宅で石油ストーブを使う前に

国土交通省が作った賃貸借契約のひな形「賃貸住宅標準契約書」(平成30年3月版)は、借りた人がしてはならない行為を別表第1に並べています。その第一号は次のとおりです。

一 銃砲、刀剣類又は爆発性、発火性を有する危険な物品等を製造又は保管すること。

国土交通省「賃貸住宅標準契約書」平成30年3月版 別表第1

この別表に、石油ストーブや灯油という言葉はありません。ただし標準契約書は使うことが法律で義務づけられたものではなく、同じ文書の注意書きは、別表第1(第六号〜第八号を除く)を個別の事情に応じて変更・追加・削除できるとしています。実際の契約書や、マンションの管理規約・使用細則に何が書かれているかは、部屋ごとに違います。借りている部屋で石油ストーブを使ってよいかは、この記事では判断できません。契約書を読み、分からなければ家主か管理会社に確かめてください。部屋を借りるときの流れは日本で部屋を借りるときの記事にあります。

石油ストーブ・ファンヒーター:給油と灯油の扱い

NITEは2025年10月30日の注意喚起で、石油暖房器具について次の点検を挙げています。

  • ほこりがたまっていれば取り除く(燃え方が悪くなったり、ほこりに火が移ったりするため)。
  • 対震自動消火装置が正しく動くかを確かめる(確かめ方は取扱説明書に従う)。
  • 燃料は新しい灯油を使い、前のシーズンの灯油を使わない。NITEは、劣化した灯油は異常燃焼や多量の一酸化炭素の原因になるおそれがあるとしている。
  • 灯油とガソリンは別の場所に置き、ラベルで区別するなどして、ガソリンを誤って入れないようにする。少しでも混ざると火災のおそれがある。
  • カートリッジタンクの給油口のふたが確実に閉まっているか、漏れがないかを確かめる。給油は必ず火を消してからする。
  • 壁や家具、カーテン、布団、衣類から、取扱説明書が示す距離をとる。ストーブで洗濯物を乾かさない。

灯油の容器について、NITEは灯油用ポリタンクなどの専用の容器を使い、ガソリンは消防法に適合した金属製の携行缶に入れて別の場所に保管するよう書いています。前のシーズンの灯油が残ったときの処分は、買った販売店に相談するよう案内しています。

数字で見る暖房器具の事故

NITEに通知された製品事故のうち、2020年から2024年までの5年間に起きた主な暖房器具の事故は596件で、その約8割が電気暖房器具と石油暖房器具です。毎年約8割以上が火災で、11月ごろから増えて12月が最も多く、4月にかけて減っていきます。石油暖房器具の事故は5年間で263件、そのうち258件が火災で、死亡事故は45件(亡くなった人は51人)でした。原因が分かった事故で多かったのは、給油口のふたの閉め忘れなどで漏れた灯油に火が移った事故(30件)、可燃物が触れた・放射熱で火が出た事故(20件)、ガソリンの誤給油による事故(19件)です。電気暖房器具の事故は208件で、死亡事故は18件(19人)でした。

NITEの数字と消防庁の数字は、何を数えているか

総務省消防庁の「令和7年(1〜12月)における火災の概要(概数)」(2026年5月28日)によれば、2025年の住宅火災11,929件のうち、出火原因が「ストーブ」だったものは802件(6.7%)でした。火災による死者1,414人のうち、火元の出火原因が「ストーブ」だった火災での死者は117人(8.3%)です。2024年の確定値でも、住宅火災のうち「ストーブ」は812件(6.9%)でした。

NITEの数字は、消費生活用製品安全法にもとづく報告などで集めた「製品事故」で、器具の種類ごとに分けて数えています。消防庁の数字は、消防が調べた火災すべてを出火原因で分けたもので、器具の燃料による内訳はこの資料にはありません。対象も期間も違うので、二つの数字を足したり比べたりはできません。2025年の数字は概数で、今後変わることがあります。

一酸化炭素と換気

東京消防庁は、一酸化炭素は無色・無臭で気づきにくく、濃度によっては死に至る危険があるとしています。防ぐために挙げているのは、火を使う設備・器具を使うときは換気扇を回したり定期的に窓を開けたりして十分に換気する、少しでも異常を感じたら使うのをやめて換気する、器具を定期的に点検・掃除する、発電機やバーベキュー用のこんろのような屋外用の器具を屋内で使わない、などです。一酸化炭素を感知する警報器の設置も、早く気づくために有効だとしています。

東京で起きた一酸化炭素中毒の事故

東京消防庁によれば、2020年から2024年までの5年間に、管内(東京都のうち稲城市と島しょ地区を除く)の住宅・共同住宅で一酸化炭素中毒の事故が30件起きました。月別では1月の8件が最も多く、次いで12月の6件です。原因は、七輪・火鉢・囲炉裏など炭を使うもの、調理器具、暖房器具が多く、救急搬送された人の約半数以上が入院の必要な中等症以上でした。事故の例には、石油ファンヒーターの近くで2時間近く作業していて頭痛が出た例も挙がっています。

火事のときや、急に具合が悪くなったときは119番です。119番のかけ方と通訳の仕組みは緊急電話の記事にあります。地震の揺れが収まったら台所やストーブの火を消すことは、地震と台風の備えの記事が紹介している『生活・就労ガイドブック』にも書かれています。

結露とカビ

冬に窓ガラスやサッシなどに水滴がつくことを「結露」と呼びます。国土交通省は、断熱性能を高めた住宅では家全体の温度差が減って室温が安定し、結露やカビ・ダニの発生も抑えられ、アレルギー症状や感染症のリスクを下げる効果も期待できると説明しています。

結露やカビが出たとき、借りている部屋の修理や費用を誰が持つかは、契約と部屋の状態によって変わります。気になるときは、早めに家主か管理会社に知らせてください。

寒い浴室・脱衣所と、入浴中の事故

部屋ごとに暖める家では、浴室や脱衣所を暖めるかどうかも住む人しだいです。消費者庁は、冬に浴槽で溺れる事故の原因として、暖かい部屋と寒い脱衣所・浴室との温度差などによる急な血圧の変動や、熱いお湯に長くつかることによる体温の上昇で意識が遠のくことを挙げています。政府広報オンラインは、11月から4月にかけての寒い季節に、入浴中の事故が多くなるとしています。

浴槽での事故の件数

消費者庁が厚生労働省の人口動態統計(2024年)から示した数字では、浴槽の中で、または浴槽に転落して溺れて亡くなった人は2024年に7,776人で、そのうち65歳以上が7,363人(約95%)でした。

消費者庁は防ぐ方法として、入る前に脱衣所や浴室を暖めておく、部屋ごとの温度差を温度計で見えるようにする、熱いお湯や長い入浴を避ける、浴槽から急に立ち上がらない、家族がいれば入浴の前に声をかけておく、などを挙げています。体調や持病について入ってよいかの判断は、この記事ではしません。

2025年4月から:新しく建てる住宅は省エネ基準に適合が必要に

建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律(建築物省エネ法)の第10条は、2022年の改正法(令和4年法律第69号)によって、2025年4月1日から次のように定めています。

建築主は、建築物の建築(エネルギー消費性能に及ぼす影響が少ないものとして政令で定める規模以下のものを除く。)をしようとするときは、当該建築物(増築又は改築をする場合にあっては、当該増築又は改築をする建築物の部分)を建築物エネルギー消費性能基準に適合させなければならない。

建築物省エネ法 第10条(e-Gov法令検索、2026年10月取得)

国土交通省は、2025年4月以降に着工する住宅などに省エネ基準への適合が義務づけられ、断熱性や設備の効率を一定以上確保することが必須になったと説明し、基準は遅くとも2030年までにさらに引き上げる予定だとしています。これは新しく建てる・増築する建物に向けた決まりで、すでに建っている賃貸住宅を改修させるものではありません。いま住んでいる部屋の断熱の性能は、建てた年や設計によってさまざまです。

困ったときに

  • 火事、一酸化炭素中毒が疑われるとき、入浴中に意識がないとき:119番。
  • ガスのにおいがするとき:火を使わず、窓を開けて、ガス会社に連絡する(電気・ガス・水道の連絡先の記事)。
  • 持っている暖房器具がリコールの対象か:消費者庁のリコール情報サイトで調べられる(NITEの案内)。
  • 部屋で使ってよい暖房器具、結露やカビの扱い:契約書を読み、家主か管理会社に確かめる。
出典と記事の記録出典 17件 · AIの利用 · 運営体制

出典・参考資料

  1. ストーブとの程よい距離感が大切です ~「電気」「石油」暖房器具の事故を防ぐ4+1のポイント~2025年10月30日。2020〜2024年の主な暖房器具の事故596件、石油暖房器具263件・死亡45件、事象別の件数、点検ポイント
    発行:独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE) 確認日:2026-10-24
  2. 同 発表資料PDF
    発行:独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE) 確認日:2026-10-24
  3. 令和7年(1月~12月)における火災の概要(概数)について2026年5月28日
    発行:総務省消防庁 確認日:2026-10-24
  4. 令和6年(1月~12月)における火災の状況(確定値)について2025年11月25日
    発行:総務省消防庁 確認日:2026-10-24
  5. 住宅で起きる一酸化炭素中毒事故に注意!
    発行:東京消防庁 確認日:2026-10-24
  6. 年末年始、高齢者の事故に注意しましょう!2025年12月23日。人口動態統計〈令和6年〉の浴槽内での溺死・溺水の死亡者数
    発行:消費者庁 確認日:2026-10-24
  7. 交通事故死の約3倍?!冬の入浴中の事故に要注意!2025年11月12日
    発行:政府広報オンライン(内閣府) 確認日:2026-10-24
  8. 建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律平成27年法律第53号。第10条。現行版は令和8年法律第75号による改正、2026年7月31日施行
    発行:e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日:2026-10-24
  9. 同 改正履歴令和4年法律第69号の2025年4月1日施行分を含む
    発行:e-Gov法令API(デジタル庁) 確認日:2026-10-24
  10. 省エネ基準引き上げへ。脱炭素化も。2025年4月からの省エネ基準適合義務化、断熱住宅と結露・カビ・入浴時のリスク
    発行:国土交通省 確認日:2026-10-24
  11. 賃貸住宅標準契約書 平成30年3月版・家賃債務保証業者型第8条第3項、別表第1、作成にあたっての注意点
    発行:国土交通省 確認日:2026-10-24
  12. 『賃貸住宅標準契約書』について
    発行:国土交通省 確認日:2026-10-24
  13. 登録熱供給事業者一覧令和7年10月1日現在
    発行:資源エネルギー庁 確認日:2026-10-24
  14. 熱供給事業の現状について2014年9月24日 総合資源エネルギー調査会 ガスシステム改革小委員会 参考資料
    発行:経済産業省 確認日:2026-10-24
  15. 一般社団法人 日本熱供給事業協会「地域熱供給(地域冷暖房)事業について」
    発行:日本熱供給事業協会 確認日:2026-10-24
  16. 平年値(年・月ごとの値)札幌・仙台・東京・大阪・福岡・那覇1991〜2020年
    発行:気象庁 確認日:2026-10-24
  17. Про затвердження Правил надання послуги з постачання теплової енергії…内閣決定 2019年8月21日 第830号。規則第4項・第8項・第9項。2024年9月10日の版
    発行:ウクライナ最高会議 法令データベース 確認日:2026-10-24

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