初期費用は家賃の4〜7か月分。日本で部屋を借りるときの流れ
日本で民間の賃貸住宅を借りるときは、保証会社か連帯保証人を求められることが多く、契約時の費用は家賃の4〜7か月分が目安です。国土交通省のガイドブックをもとに、審査の書類、敷金と礼金、緊急連絡先、外国人の入居を拒まない住宅の探し方、避難した人への公営住宅の提供例をまとめました。
日本で民間の賃貸住宅を借りるとき、多くの場合に求められるのが「保証」です。国土交通省の「部屋探しのガイドブック」は、日本の賃貸借契約では、家賃を払えなくなったときに備えて、家賃債務保証会社の利用か連帯保証人が必要になると説明しています。契約のときに払うお金は、地域によって違いますが家賃の4〜7か月分が目安だとしています。以下は、国土交通省、出入国在留管理庁、政府広報オンラインの公式ページと資料を2026年9月に確認した内容です。
特定の物件を借りられるか、どの制度を使えるかは、この記事では判断しません。契約の内容は物件ごとに違います。分からない点は、署名する前に不動産店や相談窓口に確かめてください。
三つの種類の賃貸住宅
出入国在留管理庁の『生活・就労ガイドブック』(日本語版第8版)は、借りられる住宅を三つに分けて説明しています。
- 公営住宅:住宅に困っている所得の低い人向けに、都道府県や市区町村が安い家賃で貸す住宅。収入基準などの入居要件は自治体ごとに決められ、外国人には、通常の要件のほかに1年以上の在留資格や在留実績があることなどを求める場合がある。申込み先は住宅を管理する都道府県や市区町村。
- UR賃貸住宅:UR都市機構が管理する住宅。URが定める基準月収額を超える収入があることなどが要件。外国人では、中長期在留者(永住者を含む)、特別永住者などが入居できる。
- 民間賃貸住宅:一般的な賃貸住宅。契約内容は物件によってさまざまで、十分な確認が必要。
部屋探しから入居まで
国土交通省の「部屋探しのガイドブック」(日本語版)が示す流れは次のとおりです。
- インターネットの不動産情報サイトや、まちの不動産店で部屋を探す。
- 不動産店で、最寄り駅、家賃、広さ、設備などの希望を伝える。ガイドブックには、店の人に見せる「希望条件チェックシート」がある。
- 部屋の下見に行く。下見は無料で、気に入らなければ申し込まなくてよい。
- 入居を申し込み、審査に必要な書類を出す。不動産店と家主が審査する。
- 契約の前に、不動産店から契約内容の「重要事項説明」を受ける。
- 契約書に署名し、契約時の費用を払う。鍵を受け取る。
ガイドブックによれば、申込みから入居までは標準的に1〜2週間かかります。不動産店では、名前、職業、一緒に住む人の数、収入、日本語の力、住まいを探している理由などを聞かれるのが一般的で、その日に申し込む場合に備えて在留カードやパスポートを用意しておくよう勧めています。日本語をあまり話せない場合は、日本語を話せる人と一緒に行くことも勧めています。
審査で求められる書類
ガイドブックが挙げる、入居審査のときに必要な書類は、パスポート、在留カード、所得証明書、勤務証明書や在学証明書です。連帯保証人を立てる場合は、その人の所得証明書と印鑑登録証明書も求められます。
同じガイドブックの「入居審査必要書類チェックシート」には、ほかに源泉徴収票、給与明細書、納税証明書、これから仕事を始める人向けの給与支払い(予定)の証明書、銀行の送金証明書、奨学金支給証明書、預貯金の証明(通帳のコピー)などが並んでいます。どれが求められるかは物件と不動産店によって違います。
保証会社と連帯保証人
連帯保証人は、家賃を払えなくなったときや、退去時の修理費用を払えないときに、代わりに払う人です。ガイドブックは、一定以上の収入が求められると説明しています。
家賃債務保証会社は、家賃の不払いがあったときに、家主に対してその分を保証する会社です。ガイドブックによれば、利用する人は保証料を払います。用語の説明では、2年分をまとめて前払いで家賃1か月分の30〜60%くらいが多いとされ、費用の説明の箇所では、2年間の保証で家賃の0.5か月分などが多いとされています。ガイドブックは、これは保険ではなく、保証会社は代わりに払ったお金を後で借りた人に請求する、と注意しています。
政府広報オンラインは、連帯保証人を立てる代わりに保証会社を使うことが増えていると説明しています。国土交通省は2017年に、一定の要件を満たす保証会社を国に登録する制度を設けました。
緊急連絡先
ガイドブックの資料編にある「パーソナルメモ」(日本語版・英語版で確認)には、日本の緊急連絡先と、自国の緊急連絡先を書く欄があります。日本に頼れる親族や知人がいない人には、ここが難しいところです。
2025年10月1日に施行された改正住宅セーフティネット法は、住まいを探すのに配慮が必要な人(住宅確保要配慮者)が使いやすい保証会社を、国土交通大臣が認定する制度をつくりました。政府広報オンラインによれば、認定を受けた保証会社は、住宅確保要配慮者との保証契約で緊急連絡先を求める場合、親族などの個人に限らず、法人でもよいとすることになっています。
契約のときに払うお金
| 名前 | どんなお金か | ガイドブックの目安 |
|---|---|---|
| 敷金(保証金) | 家賃の不払いや退去時の修理に備えて家主に預けるお金。退去時に精算し、残りは返される | 家賃の1〜2か月分程度 |
| 礼金 | 契約時に家主に払うお金。返されない。礼金なしの部屋もある | 関東地方などに多く、家賃の1〜2か月分 |
| 媒介手数料 | 不動産店に払う手数料 | 家賃1か月分以内 |
| 損害保険料(火災保険) | 火災や水漏れに備える保険 | ― |
| 家賃・共益費 | 日本では翌月分を前の月末までに払うのが一般的 | ― |
| 保証料 | 保証会社を使う場合 | 2年分で家賃1か月分の30〜60%くらいが多い |
| 合計 | 契約時に必要な費用 | 家賃の4〜7か月分 |
地域によっては、退去時に敷金から決まった額を差し引く「敷引き」があり、ガイドブックは東海地方、関西地方、九州に多いとしています。支払いは現金か振込が一般的です。
署名する前に確かめること
ガイドブックは、重要事項説明を受けて契約書に署名するまでに、次のことを確かめておくよう勧めています。
- 普通の賃貸借契約か、期間が終わると更新されずに終わる「定期賃貸借契約」か
- 敷金・礼金の額、敷引きがあればその額
- 更新のときの更新料があるか、いくらか(契約期間は通常2年)
- 部屋の模様替え、契約者以外との同居、ペットなどの禁止事項
- 退去時の原状回復の条件
契約の途中で出るときは、契約書に従って、通常は1〜2か月前までに書面で家主や不動産店に伝えます。家族を後から呼び寄せる場合も、届け出のない人を同居させると退去を求められることがある、とガイドブックは注意しています。
外国人の入居を拒まない住宅を探す
国土交通省の「セーフティネット住宅情報提供システム」では、住宅確保要配慮者の入居を拒まないとして登録された賃貸住宅を探せます。住宅確保要配慮者は法律で低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子どもを育てている人と定められ、国土交通省令で外国人なども加えられています。部屋探しのガイドブックも、外国人の入居を受け入れる賃貸住宅を探す方法としてこのシステムを紹介しています。
都道府県が指定する「居住支援法人」は、住宅確保要配慮者向けに、家賃債務保証、入居の相談、見守りや生活の支援などを行っています。政府広報オンラインによれば、全国で1,000を超える法人が指定されています。2025年10月からは、居住支援法人などが入居後の見守りや相談を行う「居住サポート住宅」の認定制度も始まりました。
ウクライナから避難した人と公営住宅
ロシアによるウクライナへの全面侵攻のあと、ウクライナから避難した人に公営住宅を無償で提供した自治体があります。たとえば福島県は2022年6月23日更新のページで、県営住宅などを3か月単位で最長1年、使用料を免除して提供し、緊急連絡人の確保を求めると案内しています。山口県は2023年9月1日更新のページで、県営住宅を6か月(延長可能)、家賃無償、連帯保証人・敷金不要で提供すると案内しています。いまも受け付けているか、条件が変わっていないかは、各自治体に確かめてください。
多言語で読める資料と相談先
国土交通省の「部屋探しのガイドブック」は、日本語、英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、ベトナム語、ネパール語、タイ語、インドネシア語、ミャンマー語、クメール語、タガログ語、モンゴル語の14言語で公開されています。ウクライナ語版とロシア語版はありません(2026年9月確認)。家主や不動産店向けの「外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン」にある契約書の見本も、同じ14言語です。出入国在留管理庁の『生活・就労ガイドブック』には、ウクライナ語版があります。
ガイドブックは、地方自治体や国際交流協会の外国人相談でも住宅の相談ができると案内しています。探し方は日本で暮らし始めたときの相談窓口の記事にまとめました。引っ越したあとの住民登録は日本の住民登録で出てくる言葉の記事、在留資格の手続きは避難した人の在留資格の手続きの記事を見てください。
出典・参考資料
- 外国人の民間賃貸住宅への円滑な入居について(「部屋探しのガイドブック」と「外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン」の対応言語14言語。ウクライナ語・ロシア語版がないこと)
発行:国土交通省 確認日:2026-09-24 - 部屋探しのガイドブック 日本語版(入居までの流れ、下見、聞かれる事項、1〜2週間、保証会社または連帯保証人、審査書類、契約時費用4〜7か月分、署名前の確認事項、用語説明:敷金・礼金・媒介手数料・保証料・敷引き・解約予告・同居者、入居審査必要書類チェックシート、相談先)
発行:国土交通省 確認日:2026-09-24 - 部屋探しのガイドブック 日本語版・英語版(「パーソナルメモ」の日本の緊急連絡先・自国の緊急連絡先欄)
発行:国土交通省 確認日:2026-09-24 - 生活・就労ガイドブック 日本語版 第8版(第11章 住居:公営住宅・UR賃貸住宅・民間賃貸住宅、外国人の入居要件)
発行:出入国在留管理庁 確認日:2026-09-24 - 生活・就労ガイドブック(全体版の言語一覧。ウクライナ語版があること)
発行:出入国在留管理庁 確認日:2026-09-24 - 住宅セーフティネット制度(2025年10月1日の改正法施行、住宅確保要配慮者の定義、セーフティネット登録住宅)
発行:国土交通省 確認日:2026-09-24 - 住宅確保要配慮者の範囲(法律で定める者、国土交通省令で定める外国人等)
発行:国土交通省 確認日:2026-09-24 - 住宅セーフティネット法等の一部を改正する法律について(令和6年法律第43号、2025年10月1日施行)
発行:国土交通省 確認日:2026-09-24 - 単身高齢者などの賃貸住宅への入居の不安を解消!改正「住宅セーフティネット法」がスタート(居住支援法人1,000超、居住サポート住宅、認定家賃債務保証業者と緊急連絡先を法人でも可とすること)
発行:内閣府政府広報室(政府広報オンライン) 確認日:2026-09-24 - 用語解説 家賃債務保証(保証会社の利用の増加、2017年の登録制度、2025年の認定制度)
発行:内閣府政府広報室(政府広報オンライン) 確認日:2026-09-24 - ウクライナ避難民への県営住宅等の提供について(2022年6月23日更新。3か月単位で最長1年、使用料免除、緊急連絡人)
発行:福島県 確認日:2026-09-24 - ウクライナ避難民に対する県営住宅の提供について(2023年9月1日更新。6か月・延長可、家賃無償、連帯保証人・敷金不要)
発行:山口県 確認日:2026-09-24
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