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人と暮らし/実用ガイド

最低賃金は全国平均1,177円へ。日本で働く人を守る決まり

日本で雇われて働く人には、国籍にかかわらず労働基準法と最低賃金法が当てはまります。2026年度の最低賃金は答申で全国平均1,177円、東京都は1,280円で、10月から順に発効する予定です。週40時間・1日8時間の上限、割増賃金、6か月後の有給休暇10日、30日前の解雇予告も定められています。

オリュカのひとこと

最低賃金は都道府県ごとに決まります。自分の地域の額と発効日は、最初の見出しで確かめましょう。

日本で雇われて働く人には、国籍や在留資格にかかわらず、労働基準法や最低賃金法が定める最低限の決まりが当てはまります。給料の最低額、働く時間の上限、休日、残業代、有給休暇、解雇の予告。会社と本人が合意しても、これを下回る条件は認められません。

以下は、労働基準法・最低賃金法の条文(e-Gov法令検索)と厚生労働省の公表資料を2026年9月に確かめた内容です。仕事の探し方と、在留資格ごとに働けるかどうかは、日本で仕事を探すときの記事で扱っています。自分の場合に法律がどう当てはまるかは、この記事では判断しません。困ったときは、最後に挙げる窓口に相談してください。

最低賃金は都道府県ごとに決まる

最低賃金法第4条は、使用者(雇う側)は最低賃金額以上の賃金を払わなければならない、と定めています。最低賃金より低い賃金を決めた契約は、その部分が無効になり、最低賃金と同じ額を決めたものとみなされます。出入国在留管理庁の『生活・就労ガイドブック』は、最低賃金は働き方の違いにかかわらず全ての労働者に適用され、下回る契約をしても、差額を後から請求できると説明しています。最低賃金法第9条にもとづき、地域ごとの「地域別最低賃金」が全国の各地域について決められています。

地域別最低賃金は毎年改定されます。厚生労働省は2026年9月3日、2026年度の改定額が全ての都道府県で答申されたと発表しました。答申された額の全国加重平均は時給1,177円で、前年度の1,121円から56円の引上げです。引上げ額は都道府県によって54円から65円で、新しい額は2026年10月1日から12月2日までの間に、都道府県ごとに順に発効する予定です。

都道府県(例)改定前答申された改定額発効予定日
東京都1,226円1,280円2026年10月1日
神奈川県1,225円1,279円2026年10月1日
愛知県1,140円1,195円2026年10月1日
大阪府1,177円1,231円2026年10月1日
京都府1,122円1,180円2026年11月16日
福岡県1,057円1,114円2026年10月4日
宮崎県1,023円1,085円2026年10月24日
厚生労働省「令和8年度 地域別最低賃金 答申状況」(2026年9月3日発表)から一部を抜粋。金額は時間額。答申の額で、発効日は異議の申出の状況などで変わることがある。

最も高いのは東京都の1,280円、最も低いのは宮崎県の1,085円です(答申額)。表にない県を含む全ての額は、厚生労働省の発表資料で確かめられます。答申のあと、都道府県労働局長が決定して発効するため、自分の働く都道府県の額と発効日は、都道府県労働局の発表で確かめてください

働き始める前に、条件は書面で示される

労働基準法第15条は、会社が労働契約を結ぶときに、賃金や労働時間などの労働条件をはっきり示すことを義務にしています。賃金や労働時間など重要な事項は、決められた方法で示す必要があり、一般には「労働条件通知書」という書面で渡されます。示された条件が実際と違うときは、働く人はすぐに契約を解除できます。この場合に、仕事のために住まいを移した人が、契約の解除から14日以内に帰郷するときは、会社が必要な旅費を負担しなければなりません(同条)。

厚生労働省は、会社が外国人を雇うときに使える「外国人労働者向けモデル労働条件通知書」を、英語、中国語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語、タガログ語、インドネシア語、ベトナム語の8言語で公開しています。ウクライナ語版とロシア語版はありません(2026年9月時点)。日本語の書面を受け取ったら、読めない部分があるうちはサインを急がないでください。通知書に何が書かれるかは、仕事を探すときの記事にも一覧があります。

労働時間、休憩、休日

労働基準法が定める基本は次のとおりです。

  • 労働時間:休憩時間を除いて1週間に40時間、1日に8時間を超えて働かせてはいけない(第32条)
  • 休憩:労働時間が6時間を超えるときは少なくとも45分、8時間を超えるときは少なくとも1時間の休憩を、労働時間の途中に与える(第34条)
  • 休日:毎週少なくとも1回の休日を与える。4週間を通じて4日以上の休日を与える場合は例外(第35条)

この上限を超えて、または休日に働かせるには、会社が労働者の過半数で組織する労働組合(ない場合は労働者の過半数を代表する者)と書面で協定を結び、行政官庁に届け出る必要があります(第36条。いわゆる36協定)。変形労働時間制など、上の原則とは違う働き方を認める仕組みもあるため、自分の職場の決まりは労働条件通知書と就業規則で確かめてください。常時10人以上を雇う会社は、就業規則を作って労働基準監督署に届け出なければなりません(第89条)。

残業代と賃金の払い方

法律の上限を超えて働いたときや休日に働いたときは、通常の賃金に一定の率を上乗せした割増賃金が払われます。率は2割5分以上5割以下の範囲で政令が定める率以上とされ、時間外の労働が1か月に60時間を超えた部分は5割以上です。午後10時から午前5時までの深夜の労働には、2割5分以上の割増賃金が払われます(第37条)。

賃金の払い方にも決まりがあります。第24条は、賃金を通貨で、直接本人に、全額を、毎月1回以上、決まった期日に払うよう定めています。税金や社会保険料のように法令で認められたものなどを除いて、会社が給料から一方的に差し引くことはできません。

有給休暇と解雇の予告

年次有給休暇:雇われた日から6か月続けて働き、決められた労働日の8割以上出勤した人には、10日の有給休暇が与えられます(第39条)。その後は勤めた年数に応じて日数が増えます。週の所定労働日数が少ない人にも、日数の比率を考慮して厚生労働省令が定める日数が与えられます(同条)。

解雇の予告:会社が労働者を解雇するときは、少なくとも30日前に予告するか、予告しない場合は30日分以上の平均賃金を払わなければなりません(第20条)。天災などでやむを得ず事業を続けられなくなった場合や、本人の責任による解雇の場合は、行政官庁の認定を受ければ例外になります。予告の日数は、平均賃金を払った日数分だけ短くできます。

オリュカのひとこと

働き方で困ったとき、どこに相談できるのでしょうか。窓口の一覧をここで見ましょう。

困ったときの窓口

最低賃金を下回る、残業代が払われない、といった問題は、労働基準監督署に相談できます。厚生労働省の労働条件のポータルサイト「確かめよう労働条件」は、外国語で相談できる「外国人労働者向け相談ダイヤル」の番号と言語を載せています。2026年8月現在の一覧は英語、中国語、ポルトガル語、スペイン語、タガログ語、ベトナム語、ミャンマー語、ネパール語、韓国語、タイ語、インドネシア語、カンボジア語などで、ウクライナ語とロシア語は入っていません。電話番号と受付時間は、仕事を探すときの記事にまとめています。日本語や英語で話せる人と一緒に相談するか、日本で暮らし始めたときの相談窓口で通訳を頼めるかを確かめてください。

まとめ:働く前と働き始めてから

  • 時給が、働く都道府県の最低賃金以上か
  • 労働条件通知書を受け取ったか。賃金、労働時間、休日、契約期間が書かれているか
  • 残業代が割増で払われているか。給料から説明のない天引きがないか
  • 6か月働いたあとの有給休暇の日数
  • 困ったときに相談する労働基準監督署の場所

ここに書いた法律の内容と最低賃金の額は、2026年9月に確かめたものです。最低賃金は毎年10月前後に変わります。

出典・参考資料

  1. 労働基準法(昭和22年法律第49号)第13条、第15条、第20条、第24条、第32条、第34条、第35条、第36条、第37条、第39条、第89条
    発行:e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日:2026-09-24
  2. 最低賃金法(昭和34年法律第137号)第4条、第9条
    発行:e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日:2026-09-24
  3. 生活・就労ガイドブック 日本語版 第8版(最低賃金の特徴:働き方にかかわらず全ての労働者に適用、差額の請求)
    発行:出入国在留管理庁 確認日:2026-09-24
  4. 全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました(2026年9月3日発表:全国加重平均1,177円、56円引上げ、54〜65円、2026年10月1日から12月2日までに順次発効予定)
    発行:厚生労働省 確認日:2026-09-24
  5. 令和8年度 地域別最低賃金 答申状況(別紙:都道府県別の改定前額・答申額・発効予定日)
    発行:厚生労働省 確認日:2026-09-24
  6. 外国人労働者向けモデル労働条件通知書(8言語へのリンク一覧)
    発行:愛知労働局(厚生労働省) 確認日:2026-09-24
  7. 外国人労働者向けモデル労働条件通知書(英語)
    発行:厚生労働省 確認日:2026-09-24
  8. 外国人労働者向け相談機関(外国人労働者向け相談ダイヤルの言語、2026年8月現在)
    発行:厚生労働省「確かめよう労働条件」 確認日:2026-09-24

記載内容に誤りを見つけた場合は、訂正のご連絡からお知らせください。確認のうえ、訂正した内容と経緯を記事に記載します。