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日本とのつながり/実用ガイド

ウクライナの学生・研究者が使える日本の奨学金と、大学の独自支援

全面侵攻の直後に日本の大学が次々と表明したウクライナの学生への支援は、2026年5月時点の一覧で60校、そのうち42校が募集を終えています。2022年の特例の国費留学も終わりました。いま使えるのは、大使館推薦の国費留学、公務員向けのJDS、国籍を問わないJSPSやJASSOの制度です。対象と申請の窓口、在留資格との関係を見ます。

日本学生支援機構(JASSO)が運営する日本留学情報サイト「Study in Japan」には、「ウクライナの学生への支援を実施している大学」という一覧があります。2026年5月1日現在の版に載っているのは60校。そのうち42校には「募集終了・停止中」と付いています。ロシアによる全面侵攻の直後、日本の大学は次々に受け入れを表明しました。それから4年半あまりが過ぎたいま、その多くは募集を終えています。

では、ウクライナの学生や研究者が日本で学び、研究するために、いま使える制度は何か。大学が独自に行う支援と、国の奨学金・研究員制度とに分けて、2026年9月時点の公式の募集情報から見ていきます。

大学の独自支援:60校の一覧の読み方

一覧は、大学ごとに「受入れ支援」「学費支援」「宿舎支援」「生活支援(支援金等)」「その他の支援」「遠隔授業の提供」の6項目に印を付け、大学名から詳細に進める作りです。「募集終了・停止中」の印がない18校の詳細には、たとえば次のような記載があります。

  • 九州共立大学(福岡県):日本に避難したウクライナ国籍の大学在学生を、日本語教育プログラムの受講後に編入学生として受け入れ、学納金を全額免除。寮を無償で提供し、生活支援金を支給(最長4年間の予定、2年目以降は毎年度の申請が必要)。
  • 千葉工業大学(千葉県):キーウ国立工科大学などの推薦を受けた学生を、大学院修士課程に全体で5名程度受け入れ、入学金と授業料を全額免除、寮を無償提供、生活費として月額5万円を支給。
  • 沖縄科学技術大学院大学(沖縄県):学外の学生向けのリサーチインターンシップで、ウクライナの学生の出願を随時受け付け。
  • 埼玉大学(埼玉県):ウクライナの協定校から交換留学生として受け入れ、JASSOの海外留学支援制度を使った月額8万円の奨学金を給付。

ただし、印がないことは、いま募集していることを意味しません。千葉工業大学の記載は「2024年3月31日までに卒業見込みの者」を対象にした2024年度の入学についてのもので、東京国際大学の記載は「2022年度春学期」の学費免除です。一覧のページ自体も「最新の情報や募集、申込の詳細は、各大学に確認してください」と書いています。一覧は、どの大学がどんな支援をしてきたかを知り、問い合わせ先を探すための入口として使うのが確実です。

国の奨学金と研究員制度

国の制度は、ウクライナ人だけを対象にしたものと、国籍を問わない一般の制度とに分かれます。2026年9月時点で確認できたものを並べます。

制度対象申請の窓口2026年9月時点
国費外国人留学生(日本語・日本文化研修留学生)<ウクライナ人留学生特例支援策>2022年2月24日以降に日本の大学が受け入れた、または受け入れる見込みのウクライナ人学生大学推薦・大使館推薦2022年度に募集。支給は1年以内で延長なし。終了している
国費外国人留学生(研究留学生)ウクライナ国籍で、原則1992年4月2日以降に生まれた人(2027年度の募集)在ウクライナ日本国大使館2027年度の募集は2026年6月30日に締め切り
人材育成奨学計画(JDS)ウクライナの対象機関に勤める公務員(22〜39歳)JDSの事務局2026〜27年度入学の募集は終了
JSPS外国人特別研究員(一般)日本と国交のある国の国籍を持ち、博士号取得から6年以内の研究者日本の受入研究者国籍を問わない通常の制度
留学生受入れ促進プログラム(学習奨励費)日本の大学等に在籍する私費外国人留学生(在留資格「留学」)在籍する大学等国籍を問わない通常の制度
海外留学支援制度(協定受入)協定に基づき8日以上1年以内の受入れプログラムに参加する留学生在籍大学と受入大学国籍を問わない通常の制度
出典:文部科学省の2022年度募集ページと募集要項、在ウクライナ日本国大使館の2027年度募集ページ、JDSのウクライナ募集ページ、日本学術振興会の2026年度募集要項(英文)、日本学生支援機構の各制度のページ。2026年9月23日確認。

2022年の特例は1回かぎり

文部科学省は2022年、「長期化するウクライナ情勢を踏まえ」、ウクライナ人学生に日本語と日本文化を学ぶ機会を提供する特例の国費留学を募集しました。奨学金は月額11万7,000円。追加募集は2022年8月5日から26日までで、支給期間は「令和4年10月から1年以内」、延長は認めないとされています。この特例は、いま募集されている制度ではありません。

大使館推薦の国費留学

国費留学の通常の制度は、ウクライナでも毎年募集されています。在ウクライナ日本国大使館は2026年5月19日、2027年度の研究留学生の募集を告知しました。応募できるのはウクライナ国籍で、原則として1992年4月2日以降に生まれ、募集要項の学歴要件を満たす人です。書類はメールで提出し、締切は2026年6月30日でした。今年度の募集は終わっており、次の募集は大使館の告知を待つことになります。

公務員のための修士課程:JDS

国際協力機構(JICA)が実施する人材育成奨学計画(JDS)は、各国の若手の行政官が日本の大学院で修士号を取る無償資金協力の奨学制度で、ウクライナも対象国に加わっています。JDSのウクライナ向け募集ページによれば、対象はウクライナ国籍で、22歳から39歳、指定された機関の正職員として2年以上勤めている人です。授業は英語で、受入大学は国際大学と立教大学、枠は毎年4人です。2026〜27年度の入学に向けた募集は、すでに締め切られています。JICAは、2024年から2人のウクライナの行政官が立教大学で学んでいると紹介しています。

研究者:JSPSの外国人特別研究員

研究者の受け入れで中心になるのは、日本学術振興会(JSPS)の外国人研究者招へい事業です。ウクライナ専用の枠は、JSPSの公表資料からは確認できませんでした。国籍を問わない通常の制度として、ウクライナの研究者も応募の対象になります。

2026年度の募集要項(英文)によると、博士研究員向けの「外国人特別研究員(一般)」は、日本と国交のある国の国籍を持ち、博士号を取ってから6年以内の研究者が対象で、期間は12〜24か月。月額36万2,000円の滞在費、往復航空券、渡日一時金20万円が支給されます。ここで注意したいのは、申請するのは研究者本人ではなく、日本側の受入研究者だという点です。日本の大学や研究機関の研究者が、受け入れる相手を決めて所属機関から申請します。在留カードを持って日本に住んでいる外国人も対象ですが、永住者は対象外です。

日本に避難した学生と「留学」の在留資格

日本に避難しているウクライナの学生が奨学金を探すときには、在留資格の違いが効いてきます。出入国在留管理庁は、ウクライナから避難した人に緊急措置として在留資格「特定活動」を与えてきました。2023年12月1日に始まった補完的保護対象者の認定を受けた人は、原則として「定住者」に変更できます。

一方、JASSOの学習奨励費(大学院・学部レベルで月額4万8,000円)は、「私費外国人留学生」を在留資格「留学」を持つ人と定義しています。2022年の特例の国費留学も、「留学」の在留資格を取ることを条件にしていました。避難民としての在留資格のまま大学に在籍している人が、どの奨学金に申し込めるかは制度ごとに違います。個々の条件は、在籍する大学の留学生担当窓口で確かめてください。

文部科学省には、ウクライナから避難した人の就学と日本語教育についての相談窓口があります。メール(ukraine-helpdesk@mext.go.jp)と電話で、平日の午前9時30分から午後6時15分まで、やさしい日本語と英語で受け付けています。同省は、在留資格や生活費、旅費の相談には応じられないとしています。小中学校に通う子どもがいる家族は、日本の学校に入る前に、家族がまとめておける学習歴と書類も参考になります。

ウクライナから来日するときの出国

ウクライナ国内から日本の大学へ向かう学生には、もう一つの壁があります。在ウクライナ日本国大使館は2022年6月、日本の大学から入学許可を得たウクライナ避難民向けの留学ビザの案内の中で、成人男性(18〜60歳)は戒厳令のあいだ、当局の出国許可を自分で取る必要があると注意を促しました。その後、2025年8月の内閣決定で、18歳から22歳の男性は国境通過の制限の対象から外れています。制度の詳細はウクライナの戒厳令で止まっていること、止められないことに書いています。受け入れる大学と学生が、出国の条件を早めに確かめておく必要があるのは変わりません。

出典・参考資料

  1. ウクライナの学生への支援を実施している大学(2026年5月1日現在の一覧と各大学の詳細)
    発行:日本学生支援機構(Study in Japan) 確認日:2026-09-23
  2. ウクライナから避難されている方々への支援(ヘルプデスクの受付時間・対応言語・担当範囲)
    発行:文部科学省 確認日:2026-09-23
  3. ウクライナから避難されている方々への支援に関するFAQ(高等教育局)
    発行:文部科学省 確認日:2026-09-23
  4. 2022年度国費外国人留学生(日本語・日本文化研修留学生)<ウクライナ人留学生特例支援策>の募集について(追加募集の期間、支給期間)
    発行:文部科学省 確認日:2026-09-23
  5. 2022年度大学推薦(日本語・日本文化研修留学生<ウクライナ人留学生特例支援策>)募集要項(対象、在留資格、奨学金月額、支給期間)
    発行:文部科学省 確認日:2026-09-23
  6. 2027年度国費外国人留学生(研究留学生)の募集について(2026年5月19日。応募資格、締切)
    発行:在ウクライナ日本国大使館 確認日:2026-09-23
  7. ウクライナ避難民による留学生ビザの取得について(2022年6月3日)
    発行:在ウクライナ日本国大使館 確認日:2026-09-23
  8. Application
    発行:Ukraine(JDSのウクライナ募集ページ。応募資格、枠、募集終了の表示) 確認日:JDS(The Project for Human Resource Development Scholarship)
  9. Framework / University(JDSウクライナの受入大学と受入人数)
    発行:JDS(The Project for Human Resource Development Scholarship) 確認日:2026-09-23
  10. Linking learning in Japan to recovery in homeland: Ukrainians' hopes supported by JICA(2025年8月5日)
    発行:国際協力機構(JICA) 確認日:2026-09-23
  11. JSPS International Fellowships for Research in Japan FY2026 Application Guidelines(外国人特別研究員(一般)の資格、支給額、申請者)
    発行:日本学術振興会 確認日:2026-09-23
  12. 留学生受入れ促進プログラム(文部科学省外国人留学生学習奨励費)について(月額、私費外国人留学生の定義)
    発行:日本学生支援機構 確認日:2026-09-23
  13. 海外留学支援制度(協定受入)(月額、支援対象学生の資格)
    発行:日本学生支援機構 確認日:2026-09-23
  14. ウクライナ避難民の受入れ・支援等の状況について(特定活動の付与、補完的保護対象者の定住者への変更)
    発行:出入国在留管理庁 確認日:2026-09-23

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