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文化・歴史/解説

独立記念日は8月24日。戒厳令で休みの規定が止まったウクライナの祝日

ウクライナの独立記念日は、1991年8月24日の独立宣言にちなむ祝日です。ただ、最初に祝日とされた「独立の日」は1990年の主権宣言の7月16日でした。労働法典が定める九つの祝日と、2022年3月から戒厳令のあいだ祝日の休みの規定が適用されていないことを、条文から説明します。

オリュカのひとこと

独立記念日は、はじめから8月24日だったのでしょうか。1990年と1991年、二つの宣言の日付を見比べてみましょう。

ウクライナの独立記念日は8月24日です。1991年のこの日、ウクライナ・ソビエト社会主義共和国の最高会議が独立を宣言しました。ただ、国の祝日としての「独立の日」は、はじめから8月24日だったわけではありません。そして2022年3月からは、この日を含む祝日の休みの規定そのものが、戒厳令のあいだ適用されていません。

独立記念日の由来と、ウクライナの祝日を定める条文、戒厳令のもとでの扱いを、最高会議の法令データベースに載っている文書から見ていきます。

1991年8月24日の決議と独立宣言法

1991年8月24日、最高会議は決議第1427-XII号「ウクライナの独立の宣言について」を採択しました。決議は「1991年8月24日、ウクライナを独立した民主的な国家と宣言する」とし、その時点からウクライナの領域で効力を持つのはウクライナの憲法、法律、政府の決定などだけだと定めました。同じ決議は、独立宣言法を承認するための国民投票を1991年12月1日に行うことも決めています。

決議に付いた「ウクライナ独立宣言法」(Акт проголошення незалежності України)は、宣言の理由を次のように書いています。

1991年8月19日のソ連における国家クーデターに関連してウクライナに迫った致命的な危険にかんがみ、ウクライナにおける千年の国家形成の伝統を受け継ぎ、国連憲章その他の国際法文書に定める自決の権利にもとづき、ウクライナの国家主権に関する宣言を実行して、ウクライナ・ソビエト社会主義共和国最高会議は、ウクライナの独立と、自立したウクライナ国家――ウクライナの創設を厳粛に宣言する。

ウクライナ独立宣言法(1991年8月24日)。日本語訳は本記事による

法は続けて、ウクライナの領域は分割できず不可侵であること、今後ウクライナの領域で効力を持つのはウクライナの憲法と法律だけであることを定めています。

12月1日の国民投票の結果について、アルバータ大学カナダ・ウクライナ研究所(CIUS)が発行する『Internet Encyclopedia of Ukraine』の Referendum 項目(2024年執筆、執筆者ボフダン・ハラスィミウ)は、投票率84.2%で、90.3%が賛成、7.6%が反対、2.1%が無効票だったとしています。独立の宣言からソ連の時代の終わりまでの流れは、ソ連の共和国だった七十年と、その間の日本でも扱っています。

最初の「独立の日」は7月16日だった

独立を宣言する1年あまり前、1990年7月16日に、同じ最高会議は「ウクライナの国家主権に関する宣言」(第55-XII号)を採択しています。そして同じ日の決議第56-XII号で、7月16日を「ウクライナの独立宣言の日」とし、毎年、国全体の祝日として祝うと定めました。

これを改めたのが、1992年2月20日の最高会議決議第2143-XII号「ウクライナの独立の日について」です。決議は、1991年8月24日の独立宣言法の歴史的な重みを確認するとして、8月24日を「ウクライナの独立の日」とし、毎年、国全体の祝日として祝うと定めました。同時に、7月16日を祝日とした1990年の決議は効力を失っています。

いまの祝日は、労働法典の一つの条文に並んでいる

ウクライナで休みになる祝日は、労働法典(Кодекс законів про працю України)第73条「祝日と休業日」に列挙されています。2026年9月時点の条文は次のとおりです。

日付祝日主な改正
1月1日新年
3月8日国際女性デー
5月1日労働の日2017年の法律第2211-VIII号で現在の形に
5月8日第二次世界大戦(1939〜1945年)の追悼とナチズムに対する勝利の日2023年5月29日の法律第3107-IX号で、5月9日から移る
6月28日憲法記念日
7月15日ウクライナ国家の日2022年5月31日の法律第2295-IX号で7月28日に新設。2023年の法律第3258-IX号で7月15日へ
8月24日独立記念日
10月1日ウクライナの防衛者の日2015年の法律第238-VIII号で10月14日に新設、2021年の法律第1643-IX号で男女の両方を指す名称に。2023年の法律第3258-IX号で10月1日へ
12月25日キリスト降誕祭(クリスマス)2023年の法律第3258-IX号で1月7日を削除
出典:労働法典第73条(最高会議の法令データベース掲載の現行版)と、表に挙げた各改正法。2026年9月24日確認。

このほかに、宗教の祝日として、復活祭(日曜日の1日)、三位一体祭(日曜日の1日)、12月25日のクリスマスには仕事をしないと定められています。正教会以外の宗派の人には、登録された宗教団体の申し出があれば、年に3日まで、後で働いて埋め合わせることを条件に休みを与えるとも書かれています。祝日が週末と重なったときは、翌日が休みになるという規定もあります(第67条)。

クリスマスの日付が動いた経緯は、ウクライナのクリスマスは1月7日から12月25日へで詳しく書いています。なお、8月24日の前日の8月23日は「国旗の日」ですが、これは大統領令で定められた記念日で、第73条の祝日には入っていません(国旗・国章・国歌の記事を参照)。

オリュカのひとこと

祝日の一覧は残っているのに、休みにならないのはなぜでしょう。条文のどこが止まっているかを見てみましょう。

戒厳令のもとでは、第73条が適用されない

2022年2月24日、ロシアによる全面侵攻が始まった日に戒厳令が導入されました。それから19日後の2022年3月15日、最高会議は法律第2136-IX号「戒厳令下の労働関係の組織について」を採択します(3月24日施行)。

この法律の第6条第6項は、戒厳令の期間中、労働法典の第73条を適用しないと定めています。あわせて、祝日の前日の労働時間を短くする第53条、祝日が週末と重なったときに休みを翌日に移す第67条第3項なども適用されません。採択されたときの条文は「第71条から第73条(祝日と休業日)」を適用しないという書き方で、2022年7月1日の法律第2352-IX号で今の形に改められました。

つまり、祝日の一覧は労働法典に残っていますが、戒厳令のあいだは、その一覧にもとづいて仕事を休みにする規定が働いていません。労働法典の第73条の冒頭にも、戒厳令の期間中はこの条を適用しないという注記が付いています。法律第2136-IX号は、戒厳令が終わるか解除された日に、一部の規定を除いて効力を失うと定めています。

ここで区別しておきたいのは、戒厳令そのものを定める法律(戒厳令の法制度について、2015年の法律第389-VIII号)と、この労働関係の法律は別の法律だということです。祝日の休みを止めているのは後者です。戒厳令の全体像は、ウクライナの戒厳令で止まっていること、止められないことで扱っています。

休みにならないあいだも、一覧は書き換えられてきた

表の「主な改正」の欄を見ると、2022年以降の改正が多いことに気づきます。ウクライナ国家の日が祝日の一覧に加わったのは2022年5月、第73条がすでに適用されなくなったあとでした。2023年には、5月9日が5月8日に、7月28日が7月15日に、10月14日が10月1日に移り、1月7日のクリスマスが一覧から外れています。

戒厳令のもとで休みにならない祝日の日付を、なぜ法律で動かすのか。条文はその理由を書いていませんが、結果として、祝日の一覧は休みの日の表であると同時に、国が何を記念するのかを示す表として書き換えられ続けてきた、と読むことができます。8月24日は、その一覧の中で、1992年から動いていない日付の一つです。

出典・参考資料

  1. Постанова Верховної Ради Української РСР «Про проголошення незалежності України» № 1427-XII と Акт проголошення незалежності України(1991年8月24日。宣言の日付、12月1日の国民投票、独立宣言法の本文)
    発行:Верховна Рада України(zakon.rada.gov.ua) 確認日:2026-09-24
  2. Декларація про державний суверенітет України № 55-XII(1990年7月16日)
    発行:Верховна Рада України(zakon.rada.gov.ua) 確認日:2026-09-24
  3. Постанова Верховної Ради Української РСР «Про День проголошення незалежності України» № 56-XII(1990年7月16日。7月16日を祝日とする。1992年2月20日に失効)
    発行:Верховна Рада України(zakon.rada.gov.ua) 確認日:2026-09-24
  4. Постанова Верховної Ради України «Про День незалежності України» № 2143-XII(1992年2月20日)
    発行:Верховна Рада України(zakon.rada.gov.ua) 確認日:2026-09-24
  5. Кодекс законів про працю України(第67条・第73条。現行版と戒厳令期間中の不適用の注記、第73条の改正履歴)
    発行:Верховна Рада України(zakon.rada.gov.ua) 確認日:2026-09-24
  6. Закон України «Про організацію трудових відносин в умовах воєнного стану» № 2136-IX(2022年3月15日。第6条第6項、最終規定第3項。文書カードで2022年3月24日施行、採択時の版)
    発行:Верховна Рада України(zakon.rada.gov.ua) 確認日:2026-09-24
  7. Закон України № 2211-VIII(2017年11月16日。「5月1日 労働の日」)
    発行:Верховна Рада України(zakon.rada.gov.ua) 確認日:2026-09-24
  8. Закон України № 238-VIII(2015年3月5日。「10月14日 ウクライナの防衛者の日」の追加)
    発行:Верховна Рада України(zakon.rada.gov.ua) 確認日:2026-09-24
  9. Закон України № 1643-IX(2021年7月14日。「ウクライナの防衛者(男女)の日」への改称)
    発行:Верховна Рада України(zakon.rada.gov.ua) 確認日:2026-09-24
  10. Закон України № 2295-IX(2022年5月31日。「7月28日 ウクライナ国家の日」の追加)
    発行:Верховна Рада України(zakon.rada.gov.ua) 確認日:2026-09-24
  11. Закон України «Про День пам’яті та перемоги над нацизмом у Другій світовій війні 1939-1945 років» № 3107-IX(2023年5月29日。第73条の5月8日)
    発行:Верховна Рада України(zakon.rada.gov.ua) 確認日:2026-09-24
  12. Закон України № 3258-IX(2023年7月14日。1月7日の削除、7月15日、10月1日)
    発行:Верховна Рада України(zakon.rada.gov.ua) 確認日:2026-09-24
  13. Referendum(2024年執筆。執筆:Bohdan Harasymiw。1991年12月1日の国民投票の投票率と結果)
    発行:Internet Encyclopedia of Ukraine(アルバータ大学カナダ・ウクライナ研究所=CIUS) 確認日:2026-09-24

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