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3月は白樺、11月は落ち葉。ウクライナ語の月と日付と数字

ウクライナ語の月の名前の多くは、白樺(3月)、鎌(8月)、落ち葉(11月)のような自然や畑仕事から来ています。12か月と曜日の名前の由来、日.月.年の順に書く日付の書き方と読み方、数字と名詞の組み合わせ方を、ウクライナの辞書と正書法、行政文書の規則でまとめました。

画像:Ukrainavi

オリュカのひとこと

ウクライナ語の月の名前は、何から名付けられたのでしょう。12か月の由来を最初の表で見比べられます。

ウクライナ語で3月は бе́резень(ベーレゼニ)といいます。白樺を指す береза から来た名前で、ウクライナ科学アカデミーの言語学研究所が編んだ『ウクライナ語語源辞典』は、この月に白樺が緑になり始めるからだと説明しています。11月の листопа́д は「葉」と「落ちる」を組み合わせた語、12月の гру́день は凍った土くれから来た語です。

以下、12か月と曜日の名前、日付の書き方と読み方、数字と名詞の組み合わせ方を、ウクライナ語の辞書、2019年版の正書法(правопис)、行政文書の書き方を定めた内閣の決定にもとづいてまとめます。確認はいずれも2026年9月時点です。

カナは目安です。ウクライナ語の別々の音が同じカナになることがあり(и と і はどちらも「イ」)、実際の音とは一致しません。カナの「ー」は長く伸ばす印ではなく、強勢(アクセント)の位置を示しています。カナで消える区別についてはウクライナ語のあいさつとお礼の記事にまとめています。

12か月の名前は、自然と畑仕事から

月の名前と、『ウクライナ語語源辞典』(全7巻の計画で、1982〜2012年に第1〜6巻を刊行)がそれぞれの名前について書いている説明を並べます。強勢の位置は、ウクライナ国立科学アカデミーのウクライナ語言語情報基金が公開している辞書の表記に従いました。

月ウクライナ語カナ(目安)語源辞典の説明
1月сі́ченьスィーチェニ「切る、伐る」(сікти)から。1〜2月に木を伐ったことによる名前とされる(焼畑や材木のため)
2月лю́тийリューティイ「厳しい、寒い、荒々しい」を意味する形容詞 лютий が名詞になったもの
3月бе́резеньベーレゼニ白樺(береза)から。この月に白樺が緑になり始める
4月кві́теньクヴィーテニ花(квіт、цвіт)から。春のこの時期に植物が咲き始める
5月тра́веньトラーヴェニ草(трава)の項に、派生した語として載る
6月че́рвеньチェールヴェニ虫(черв)から。この月に幼虫が育ち、そこから赤い染料をとったことと結びつける。「赤い」(червоний)から説明する説は説得力が弱いとする
7月ли́пеньリーペニ菩提樹の仲間のシナノキ属(липа)から。липа が花を咲かせる月(3月の項での説明)
8月се́рпеньセールペニ鎌(серп)から。もとの意味は「鎌の月、刈り入れの月」
9月ве́ресеньヴェーレセニちょうどこの時期に花が咲く植物、верес(ヒース)の名前と結びついている
10月жо́втеньジョーウテニ「黄色い」(жовтий)の項に、派生した語として載る
11月листопа́дリストパード「葉」(лист)と「落ちる」(падати)を組み合わせた語
12月гру́деньフルーデニ土くれ、凍った土(груда)から。この時期に地面が凍ることによる
語源の説明は『Етимологічний словник української мови』(ウクライナ科学アカデミー言語学研究所、第1〜6巻)の各項による。強勢は『Словник української мови』20巻本のオンライン版と「Словники України online」(いずれもウクライナ語言語情報基金)の表記による(2026年9月確認)。カナは編集部による目安。

2月の лю́тий は、もともと形容詞なので、ほかの月と違って形容詞と同じように形を変えます。2019年版の正書法は、лю́того(2月の)、у лю́тому(2月に)という例を挙げています。

同じ名前が、国や時代によって別の月を指す

カナダ・アルバータ大学ウクライナ研究所の『Internet Encyclopedia of Ukraine』(IEU)の「Folk calendar」(民間の暦)の項は、こうした月の名前はスラヴ系の諸民族に共通していたとしたうえで、名前がいつも同じ月を指したわけではなく、червень が7月を、листопад が10月を、грудень が11月を指したこともあると書いています。同じ項は、2月を「わき腹を温めるもの」(IEUのローマ字表記で bokohrii)、12月を「冷たいもの」(studen)と呼ぶような、古い呼び名の例も挙げています。

語源辞典にも、ずれの例が並んでいます。セルビア・クロアチア語の листопад は10月、チェコ語の květen(ウクライナ語の квітень にあたる語)は5月、ポーランド語の czerwiec(червень にあたる語)は6月です。形の似た名前でも、隣の言語では1か月ずれていることがあります。

ロシア語の月の名前は、この系統ではありません。たとえば2月は февраль で、語源辞典の февраль の項は、ロシア語などのこの語が、中世のギリシャ語を経てラテン語の februarius(清めの儀式の月)から入った語だと説明しています。ウクライナ語とロシア語の違いはウクライナ語とロシア語はどこが違うのかでも扱っています。

曜日の名前

曜日ウクライナ語辞書の説明
月曜日понеді́лок「日曜日(неділя)の後」から。辞書は「(日曜の後の)週の最初の日」とする
火曜日вівто́рок「2番目の」から。月曜を1日目と数えた2日目
水曜日середа́「(週の)真ん中」から
木曜日четве́р―
金曜日п’я́тниця辞書は「(日曜の後の)5番目の日」とする
土曜日субо́та―
日曜日неді́ля「働かない」(не ділати)という言い方から。もとの意味は「働かない日、休みの日」。辞書は、話し言葉では「週」の意味にもなるとする
「辞書の説明」は『Етимологічний словник української мови』(第1・4・5巻)の понеділок・неділя・вівторок・середа の項と、『Словник української мови』20巻本オンライン版の понеділок・п’ятниця・неділя の項による。「―」は、この記事で語源の説明を確かめていないもの。強勢は注記した辞書の表記による(2026年9月確認)。

「月曜日に」「金曜日に」と言うときは、前置詞 у(в)の後で曜日の名前の形を変えます。20巻本の辞書の用例には в понеділок(月曜日に)、у вівторок(火曜日に)、у п’ятницю(金曜日に)、у неділю(日曜日に)が出てきます。女性名詞の п’ятниця や неділя は語尾が -у・-ю に変わります。水曜日の середа́ は、この形で強勢も動き、у се́реду になります(「Словники України online」の変化表による)。

「3月に」のように月の名前を使うときは、別の形になります。辞書の用例では в липні(7月に)、у вересні(9月に)、в жовтні(10月に)のように、語尾が -і に変わります。

オリュカのひとこと

02.12.2017 は、2月12日と12月2日のどちらでしょう。行政文書の決まりをこの節で確かめましょう。

日付は「日.月.年」の順

ウクライナの行政機関の文書では、日付を日、月、年の順に書きます。内閣が2018年1月17日の決定第55号で定めた「省庁・中央および地方の執行機関における文書事務の標準的な手引き」の第32項は、数字だけで書くときは日と月を2けたずつ点で区切り、年を4けたで書き、最後に点を付けない、として 02.12.2017 という例を挙げています。

日本の書き方(2017年12月2日、2017/12/2)に慣れていると、02.12.2017 を「2月12日」と読み違えやすくなります。ウクライナの書類では、最初の2けたが日、真ん中が月です。

同じ第32項は、法令の本文や、お金にかかわる文書では、月を言葉で書く形(02 грудня 2017 року)を使うとしています。日が1けたのときも0を付けて2けたにします。

月は「〜の」の形になる

02 грудня 2017 року の грудня は、12月 гру́день の生格(「〜の」にあたる形)です。日付では、月の名前は生格になります。2019年版の正書法は、日付の例として 1 січня 2000 року(2000年1月1日)を挙げ、名詞の変化の節で、月の名前の生格の語尾は -а・-я だとして січня、листопада を例にしています。

11月の листопад には注意がいります。同じ正書法は、月としての листопад の生格を листопада、落葉という現象としての листопад の生格を листопаду と書き分けています。20巻本の辞書も、листопад に「落葉(生格 -у)」と「11月(生格 -а)」の二つの意味を立てています。

日は序数で読む

声に出して読むときは、日の数を「1番目の」「5番目の」という序数(順番を表す数)で言い、中性の形にします。2019年版の正書法には、次のような例があります。

  • пе́рше бе́резня(3月1日)
  • Сьогодні п’яте лю́того.(今日は2月5日です)
  • П’ятого лю́того 2018 ро́ку(2018年2月5日に)

「今日は何日です」と言うときの п’яте と、「何日に」と言うときの п’ятого とで、序数の形が変わっています。正書法は、序数はふつう言葉で書くとしたうえで、数字で書くときは 5-й(5番目の)のように語尾をハイフンでつなぐ一方、日付では語尾を書かない(1 січня 2000 року)と定めています。

年も序数で、最後の語だけが変わる

年も序数で読みます。いくつもの語からなる序数では、最後の語だけが形を変えます。正書法の例では、「1991年の」は ти́сяча дев’ятсо́т дев’яно́сто пе́ршого (року)、「2018年に」は у дві ти́сячі вісімна́дцятому (році) です。ти́сяча дев’ятсо́т дев’яно́сто(1990)までは形が変わらず、最後の「1番目の」「18番目の」だけが変わっています。

数字と名詞の組み合わせ

1から10までの数詞(数を表す語)は、2019年版の正書法の変化表では次のように書かれています。

数ウクライナ語注
1оди́н/одна́/одне́男性・女性・中性で形が変わる
2два/двідві は女性名詞と組むとき
3три
4чоти́ри
5п’ять
6шість
7сім
8ві́сім
9де́в’ять
10де́сять
『Український правопис』2019年版 §105(数詞の変化)による。強勢記号のない語は、正書法の表でも記号が付いていないもの(1音節の語)。

数詞と組む名詞は、数によって形が変わります。基本の型は次の三つです。

  • 1:оди́н・одна́・одне́ が名詞の性に合わせて形を変える。名詞はそのまま(単数)
  • 2〜4:名詞は複数の形になる。正書法は、男性名詞は два、три、чотири と組むと語尾が -и・-і になるとして、два хло́пці(少年2人)、три робітники́(労働者3人)、чотири слухачі́(聞き手4人)を挙げる
  • 5以上:名詞は複数の生格(「〜の」にあたる形)になる。20巻本の辞書は п’ять の項に「кого, чого」(誰の・何の、つまり生格をとる)と記し、用例に п’ять синів(息子5人)を挙げる

2〜4と組むときは、強勢の位置まで変わる語があります。「Словники України online」の変化表によると、水曜日 середа́ の複数形は се́реди ですが、表には「ただし дві, три, чотири середи́」と注記があり、数詞と組むと強勢が後ろに移ります。

数詞そのものも形を変えます。正書法によれば、11から19、20、30は п’ять と同じ型で変化し、いくつもの語からなる数(合成数詞)は、すべての語が形を変えます。正書法が挙げる例は「478,659フリヴニャから」を意味する з чотирьохсо́т сімдесяти́ восьми́ ти́сяч шестисо́т п’ятдесяти́ дев’яти́ (гривень) で、数を表す7つの語がすべて生格になっています。

日付の数字、曜日と月の言い方がわかると、手紙の日付や書類の期限が読めるようになります。ウクライナとの時差はキーウは日本より7時間遅く、夏は6時間の記事にまとめています。

出典と記事の記録出典 12件 · AIの利用 · 運営体制

出典・参考資料

  1. 『Український правопис』2019年版§82 名詞の生格:月の名前と листопада/листопаду、§88 注1:два хлопці ほか、§103 注1:лютого・у лютому・п’яте лютого、§105:数詞の変化表と合成数詞の例、§106:序数・年の読み方・日付の書き方
    発行:Українська національна комісія з питань правопису(Український центр оцінювання якості освіти のサイトに掲載された版) 確認日:2026-09-24
  2. Словник української мови у 20 томах, onlineберезень、квітень、лютий、липень、вересень、жовтень、листопад、грудень、понеділок、вівторок、п’ятниця、неділя、один、два、п’ять の各項。オンライン版は第1〜16巻〔А〜РЯХТЛИВИЙ〕
    発行:Український мовно-інформаційний фонд НАН України 確認日:2026-09-24
  3. Словники України onlineсі́чень、тра́вень、че́рвень、се́рпень、середа́、четве́р、субо́та の変化表と強勢、середа の「дві, три, чотири середи́」の注記
    発行:Український мовно-інформаційний фонд НАН України 確認日:2026-09-24
  4. Етимологічний словник української мови, т. 11982。березень、вересень、вівторок、грудень の各項
    発行:Інститут мовознавства ім. О. О. Потебні АН УРСР(Наукова думка) 確認日:2026-09-24
  5. Етимологічний словник української мови, т. 21985。квітень、жовтий〔жовтень〕の各項
    発行:Інститут мовознавства ім. О. О. Потебні АН УРСР(Наукова думка) 確認日:2026-09-24
  6. Етимологічний словник української мови, т. 31989。листопад、лютий² の各項
    発行:Інститут мовознавства ім. О. О. Потебні АН УРСР(Наукова думка) 確認日:2026-09-24
  7. Етимологічний словник української мови, т. 42003。неділя〔понеділок を含む〕、понеділок の各項
    発行:Інститут мовознавства ім. О. О. Потебні НАН України(Наукова думка) 確認日:2026-09-24
  8. Етимологічний словник української мови, т. 52006。січень、серпень、трава〔травень〕、середа の各項
    発行:Інститут мовознавства ім. О. О. Потебні НАН України(Наукова думка) 確認日:2026-09-24
  9. Етимологічний словник української мови, т. 62012。червень、[февраль] の各項
    発行:Інститут мовознавства ім. О. О. Потебні НАН України(Наукова думка) 確認日:2026-09-24
  10. Folk calendar月の名前がスラヴ諸民族に共通すること、別の月を指した例、古い呼び名
    発行:Internet Encyclopedia of Ukraine(Canadian Institute of Ukrainian Studies) 確認日:2026-09-24
  11. Institute of Linguistics of the National Academy of Sciences of Ukraine語源辞典が全7巻の計画で1982〜2012年に6巻刊行されたこと
    発行:Internet Encyclopedia of Ukraine(Canadian Institute of Ukrainian Studies) 確認日:2026-09-24
  12. Постанова КМУ № 55 «Деякі питання документування управлінської діяльності»2018年1月17日。同決定が承認した「Типова інструкція з діловодства в міністерствах, інших центральних та місцевих органах виконавчої влади」第32項:日付の書き方
    発行:Кабінет Міністрів України(zakon.rada.gov.ua) 確認日:2026-09-24

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