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文化・歴史/解説

会員の2段階の投票で選ぶ「ゾロタ・ジガ」とウクライナ映画アカデミー

ウクライナの国民映画賞「ゾロタ・ジガ」は、映画の作り手の団体ウクライナ映画アカデミーの会員の投票で、多くの部門の受賞者が決まります。2026年7月には第10回が開かれました。会員の資格、2段階の投票、全面侵攻で遅れた回、米国アカデミー賞に出す作品を選ぶ委員会の決まりを、アカデミーの規程と発表から並べます。

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オリュカのひとこと

映画の賞を選ぶ団体は、どうやって始まったのでしょう。最初の見出しで確かめられます。

ウクライナの映画人が一年の映画を選ぶ賞があります。「ゾロタ・ジガ」(Золота Дзиґа、「金のこま」)です。賞を出すのは、映画の作り手たちの団体「ウクライナ映画アカデミー」(Українська кіноакадемія)。2026年7月25日には、キーウで第10回の授賞式が開かれました。

アカデミーの公式サイトが公開している規約類(2026年の賞の規程、会員の規程、会員名簿)と、各回の発表、米国の映画芸術科学アカデミー(AMPAS)の2026年の規則から、賞の決まり方と、この10年の開催の記録を並べます。受賞した作品の出来ばえには立ち入りません。

2016年に動き出した団体

アカデミーは自らを「映画と映画製作の分野の専門家の団体」と説明し、その設立は2016年にオデーサ国際映画祭が主導して始まったと書いています。法的には「ウクライナ映画アカデミー」という名の社会団体(ГО)です。運営は理事会(Правління)と監督評議会(Наглядова рада)が担い、2026年9月時点の公式サイトでは、理事会の議長はプロデューサーのピリプ・イリエンコ、監督評議会の議長はオデーサ国際映画祭の会長ヴィクトリア・ティヒプコです。

アカデミーが公式サイトに挙げる仕事は、国民映画賞の授与のほか、ウクライナの映画を広める催し、製作の支援、映画の教育などです。

  1. オリュカ

    賞を選ぶ投票には、だれが加わるのかな。

  2. スウネ

    会員の区分ごとに投票権があるかどうかが、この見出しの下に並んでいるよ。

  3. タブリ

    投票がどんな段階で進むかは、次の見出しで順番にたどれるよ。

誰が投票するのか

会員の規程(監督評議会が2026年9月23日に承認)は、会員を四つの区分に分けています。

  • 第1区分:1991年以降の長編1本以上か短編3本以上の製作に加わった映画の作り手(監督、脚本家、撮影、美術、作曲、プロデューサー、俳優など。ウクライナで上映されたか、5年以上続く映画祭に出た作品に限る)。投票権あり
  • 第2区分:配給、批評、国際映画祭の運営などで、ウクライナの映画に大きく貢献した人。投票権あり
  • 第3区分:ウクライナの映画を支える後援者。投票権なし
  • 第4区分:名誉会員。投票権あり

入会は、公式サイトからの申し込み、アカデミーの運営機関からの招待、会員2人以上の推薦をもとに、監督評議会が決めます。アカデミーが公開している会員名簿(2026年4月14日付)には、620人の名前が載っています。

賞の決まり方

2026年1月26日に承認された第10回の賞の規程によれば、対象は、2025年3月1日から2026年2月28日までにウクライナで少なくとも1週間劇場公開された長編の劇映画とアニメーション、同じ期間に劇場公開されたか、5年以上続き審査員のいる映画祭のコンペティションに出た記録映画と短編、同じ期間にテレビやウェブで初めて公開されたシリーズです。作品の外国語の台詞には、ウクライナ語の字幕か吹き替えが要ります。ロシア、ベラルーシ、イランの専門家が加わっていないことも条件です。

投票は2段階です。

  • 第1段階(2026年3月19日〜5月7日):会員全員が、部門ごとに最大3組(最優秀作品は最大5本)の候補を選ぶ
  • 第2段階(2026年5月14日〜6月19日):会員全員が、各部門の受賞者を1組選ぶ。ただし衣装、メイク、音響、編集、特殊効果の5部門は、理事会と監督評議会が決める

規程が挙げる部門は23です。これとは別に、「今年の発見」は理事会と監督評議会が非公開の会議で、「ウクライナ映画への貢献賞」はウクライナ映画人同盟が選びます。候補が3組に満たない部門は投票から外すと規程は定めていて、アカデミーの発表によれば、2026年の第10回で受賞者が決まったのは21部門でした。監督賞は監督ユーリー・イリエンコの名を冠しています(イリエンコの映画は詩的映画の記事で扱っています)。

  1. オリュカ

    「ゾロタ・ジガ」の「ジガ」は、どういう意味の言葉なのかな。

  2. ヨリクネ

    言葉の意味と、像が表すものの説明が、この見出しの下にあるよ。

  3. タブリ

    賞の部門と選び方に戻るなら、ひとつ上の見出しだよ。

「ジガ」という名前

「дзиґа」(ジガ)は、ウクライナ語で回して遊ぶこまのことです(『ウクライナ語辞典』11巻本)。アカデミーは、賞の象徴に選んだ「金のこま」の像が「速さ、絶え間ない発展、終わりのなさ」を表すと説明しています。

オリュカのひとこと

授賞式の形は、年によって変わってきたようです。この見出しの表で確かめられます。

10回の授賞の記録

授賞は2017年から続いていますが、感染症とロシアによる全面侵攻で形を変えてきました。アカデミーの発表から並べると、次のとおりです。

回授賞の日・形発表にある事柄
第1回2017年4月20日、キーウのホテル司会はオレクサンドル・スキチコ
第2回2018年4月20日、キーウの展示会場「パルコヴィー」18部門。メイク・衣装・音響・観客賞を追加
第3回2019年4月19日、同じ会場20部門。歌曲賞・編集賞を追加
第4回2020年5月3日、オンラインの中継4月28日の予定を、感染症対策の隔離措置が延びる見込みで変更
第5回2021年6月12日23部門
第6回2023年、数週間かけてオンラインで発表2022年に予定。全面侵攻で会員の投票が1年遅れる。22部門
第7回2023年、数週間かけてオンラインで発表投票は2023年6月30日〜7月24日。23部門
第8回2024年9月、キーウアカデミーの第1回の会議(9月10〜11日)の中で授賞。22部門
第9回2025年9月13日、キーウウクライナ映画の日に授賞。19部門
第10回2026年7月25日、キーウの展示会場「パルコヴィー」21部門と特別賞3つ
ウクライナ映画アカデミーの公式サイトの発表(各回の告知・受賞者の発表)から作成(2026年9月27日確認)。部門の数は各回の発表の数え方どおりで、特別賞を含むかどうかは回によって違う。

開かれなかった年をどう数えるか

「授賞式が開かれなかった年」は、何を授賞式と呼ぶかで答えが変わります。2022年は、どの回の授賞もありませんでした。アカデミーは第6回について「2022年に開かれ前年の映画を称えるはずだったが、全面侵攻の始まりで会員の投票が1年遅れた」と書いています。2023年には、第6回と第7回の受賞者がオンラインで順に発表されました。2020年の第4回はオンラインの中継で、会場に人を集めていません。2023年に二つの回が発表されたため、2017年から2026年までの10年で、回の数は10になっています。

米国アカデミー賞に出す1本は誰が選ぶのか

米国アカデミー賞の国際長編映画賞には、国ごとに1本を出せます。AMPAS の第99回(2027年)の規則は、その1本を「AMPAS が承認した選考委員会」を通じた国の公式の選出とし、選考する団体の構成員の少なくとも50%を映画の作り手が占めることを求めています。同じ規則は、指定された国際映画祭で賞を取った作品にも、国の選出によらずに候補の資格を認めています。

ウクライナで選考を担うのは「ウクライナ・オスカー委員会」です。2026年7月17日付の委員会の規程によれば、委員会は国家映画庁、ウクライナ映画人同盟、ウクライナ・プロデューサー協会、ウクライナ映画アカデミー、国の機関「ウクライナ・インスティテュート」の五者がつくったもので、次のように決まっています。

  • 委員は14人。ウクライナ映画アカデミーの会員の中から、会員の投票で選ぶ
  • 委員になれるのは、欧州映画アカデミーや AMPAS、国際映画批評家連盟の会員か、規程が挙げる22の映画祭に出た・受賞した作り手で、ウクライナ国籍の人。委員でいられるのは通算6年まで
  • 委員の半数以上は、製作の現場で働く人(監督、脚本家、プロデューサー、撮影など)
  • 委員の顔ぶれは AMPAS の承認を受ける。票を数える委員会の長は国家映画庁の代表、事務は映画アカデミーの代表が務める

アカデミーの発表によれば、2026年は8本の応募があり、12人の委員会がアリサ・コヴァレンコ監督(共同監督マルィシャ・ニキチュク)の記録映画『スリディ』(Сліди)を第99回の候補作に選びました(2026年9月16日の発表)。規程の定める14人より少ない人数での決定ですが、その理由は発表に書かれていません。

国の映画支援とのつながり

アカデミーは国の機関ではありませんが、第10回の告知には国家映画庁が後援者として挙がっています。第10回の式では、国家映画庁のアンドリー・オシポウ長官が挨拶しました。国が映画に出す資金の仕組みは映画支援法と公募の記事、キーウの国際映画祭はモロジストの記事、「ウクライナ映画」という言葉の範囲は「ウクライナ映画」は五つのものを指すで扱っています。

出典と記事の記録出典 25件 · AIの利用 · 運営体制

出典・参考資料

  1. Про Кіноакадемію2016年にオデーサ国際映画祭が設立を主導したこと、会員の種類、理事会・監督評議会の構成、活動の分野
    発行:Українська кіноакадемія(公式サイト) 確認日:2026-09-27
  2. Кінопремія部門の一覧、会員が受賞者を決めること、像「金のこま」の説明、第10回の対象期間
    発行:Українська кіноакадемія 確認日:2026-09-27
  3. Регламент Десятої Національної кінопремії «Золота Дзиґа»2026年1月26日の執行責任者の命令第1-ВД号で承認。対象作品の条件、2段階の投票と日程、理事会・監督評議会が決める5部門、「今年の発見」と貢献賞の決め方、候補が3に満たない部門の扱い
    発行:Українська кіноакадемія 確認日:2026-09-27
  4. Положення про членство в ГО «Українська кіноакадемія»2026年9月23日の監督評議会の決定・議事録第46号で承認。会員の4区分と投票権、入会の手続き
    発行:Українська кіноакадемія 確認日:2026-09-27
  5. Члени Української кіноакадемії2026年4月14日付の会員名簿、620人
    発行:Українська кіноакадемія 確認日:2026-09-27
  6. Регламент роботи Українського Оскарівського Комітету2026年7月17日付。設立した五者、委員14人と資格、任期、AMPAS の承認、票を数える委員会と事務
    発行:Українська кіноакадемія 確認日:2026-09-27
  7. Розпочинається приймання заявок на членство в Українському Оскарівському Комітеті2026年7月17日。五者の覚書、委員の応募
    発行:Українська кіноакадемія 確認日:2026-09-27
  8. «Сліди» – фільм-претендент від України на 99-ту премію «Оскар»2026年9月16日。応募8本、委員会12人、選ばれた作品と監督
    発行:Українська кіноакадемія 確認日:2026-09-27
  9. Rule Sixteen: Special Rules for the International Feature Film Award第99回。国の選考委員会による選出と映画祭の受賞による資格、選考団体の50%要件、1国1本
    発行:Academy of Motion Picture Arts and Sciences 確認日:2026-09-27
  10. Оголошено переможців Х Національної кінопремії «Золота Дзиґа»2026年7月26日。21部門と特別賞3つ、会場、国家映画庁長官の挨拶
    発行:Українська кіноакадемія 確認日:2026-09-27
  11. Відкрито акредитацію медіа… на церемонію вручення Х Національної кінопремії2026年7月9日。授賞式は7月25日
    発行:Українська кіноакадемія 確認日:2026-09-27
  12. Ведучим церемонії вручення Першої Національної Кінопремії стане Олександр Скічко第1回の授賞式が4月20日にキーウのホテルで開かれること
    発行:Українська кіноакадемія 確認日:2026-09-27
  13. Друга Національна кінопремія: акредитація на церемонію2018年4月11日。第2回は4月20日、展示会場「パルコヴィー」
    発行:Українська кіноакадемія 確認日:2026-09-27
  14. Завтра відбудеться урочиста церемонія вручення нагород Другої Національної кінопремії2018年4月19日。18部門、追加した4部門
    発行:Українська кіноакадемія 確認日:2026-09-27
  15. Третя Національна кінопремія: Акредитація ЗМІ на церемонію2019年4月8日。第3回は4月19日、「パルコヴィー」
    発行:Українська кіноакадемія 確認日:2026-09-27
  16. Завтра відбудеться урочиста церемонія вручення нагород Третьої Національної кінопремії2019年4月18日。20部門、歌曲賞・編集賞の追加
    発行:Українська кіноакадемія 確認日:2026-09-27
  17. Онлайн-церемонія Четвертої Національної кінопремії пройде 3 травня2020年4月6日。4月28日の予定からの変更
    発行:Українська кіноакадемія 確認日:2026-09-27
  18. Лауреати Четвертої Національної кінопремії "Золота Дзиґа": повний список переможців2020年5月4日。5月3日のオンラインの式
    発行:Українська кіноакадемія 確認日:2026-09-28
  19. Золота Дзиґа 2021: названо лауреатів П’ятої Національної кінопремії2021年6月13日。6月12日の授賞式、23部門
    発行:Українська кіноакадемія 確認日:2026-09-27
  20. Золота Дзиґа 2022: названо лауреатів Шостої Національної кінопремії2023年9月19日。投票が1年遅れたこと、オンラインでの発表、22部門
    発行:Українська кіноакадемія 確認日:2026-09-27
  21. Названо лауреатів Сьомої Національної кінопремії «Золота Дзиґа»2023年10月2日。オンラインでの発表、23部門、投票期間
    発行:Українська кіноакадемія 確認日:2026-09-27
  22. Названо переможців Восьмої Національної кінопремії «Золота Дзиґа»2024年9月12日。第1回の会議の中での授賞、22部門
    発行:Українська кіноакадемія 確認日:2026-09-27
  23. 10-11 вересня в Києві – перша Конференція Української Кіноакадемії та вручення Кінопремії «Золота Дзиґа»2024年8月21日。会議の日程と第8回の授賞
    発行:Українська кіноакадемія 確認日:2026-09-27
  24. Названо переможців IX Національної Кінопремії «Золота Дзиґа»2025年9月13日。ウクライナ映画の日、19部門
    発行:Українська кіноакадемія 確認日:2026-09-27
  25. ДЗИҐА1. 回して遊ぶ子どものおもちゃ。『Словник української мови』11巻本の語釈の収録
    発行:СЛОВНИК.ua 確認日:2026-09-27

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