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日本とのつながり/解説

無償の公営住宅と一時金。自治体のウクライナ避難民支援はいま

2022年春から、各地の都道府県や市区町村が空いた公営住宅を無償で貸し、独自の一時金を配りました。4年がたち、兵庫県は生活支援金の受付を2025年3月に終え、前橋市は2026年3月に新規の受入れを終えています。自治体の公式ページから、始まりと現在を並べます。

兵庫県は2022年4月28日から2025年3月31日まで、県内に来たウクライナからの避難民に「ひょうごウクライナ避難民生活支援金」を出していました。1世帯あたり最大214万円。受け取ったのは34世帯です(兵庫県のページ、2025年3月末現在)。

この支援金は、いまは新しく申し込むことができません。一方で、東京都北区のように、2026年4月に更新したページで支援金の案内を続けている自治体もあります。日本に避難したウクライナの人への支援は、国だけでなく、住んでいる都道府県や市区町村によって中身が大きく違い、始まった時期も終わった時期もばらばらです。

ここでは、2026年9月に各自治体の公式ページで確認できた例から、住まいとお金の支援が、どう始まり、いまどうなっているかを見ていきます。個々の人が何を受けられるかは、住んでいる自治体の窓口でしか決まりません。

住まい:空いている公営住宅を「目的外使用」で貸す

避難してきた人の住まいとして各地の自治体が用意したのが、県営住宅や市営住宅の空き部屋です。

国土交通省関東地方整備局が2025年3月にまとめた事例集は、国の補助金を受けて整備された公営住宅を、補助の目的の外で一時的に使うことを「目的外使用」と呼び、補助金適正化法(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律)第22条にもとづいて、国土交通大臣の承認を得て行うものだと説明しています。同じ事例集は、千葉県鎌ケ谷市の市営住宅の例を載せています。国が避難民の受入れを表明したあと、国から自治体へ公営住宅での受入れについての通達があり、鎌ケ谷市は2022年4月から市営住宅1戸を避難民に提供しました。家賃は免除されています。

各地の公式ページに残る条件を並べると、次のようになります。

自治体提供する住宅期間・費用ページの更新日
千葉県県営住宅85戸を確保。入居時に家具・家電も提供記載なし2026年6月8日
福島県県営住宅等(申し出の時点で空いている住戸)3か月(3か月単位で延長、最長1年)。使用料と駐車場代は免除、光熱水費・共益費などは自己負担2022年6月23日
山口県県営住宅6か月(延長可)。家賃無償、連帯保証人・敷金は不要2023年9月1日
前橋市市営住宅18部屋(最大86人を受入れ可)記載なし2026年3月30日
各自治体の公式ページから作成(2026年9月24日に確認)。「ページの更新日」は各ページに表示されている日付で、それ以後の運用の変更はページからは分からない。

福島県は、対象を「政府が受け入れた避難民であることが客観的に証明される方」とし、査証(ビザ)の「UKR」「UKR-S」の表示などで確認するとしています。収入の要件や、同居する親族の要件は問わないとも書いています。緊急時に対応できる連絡人を確保することが条件です。

公営住宅の一時使用は、期間が区切られています。福島県の「最長1年」のように上限を書いている自治体もあり、そのあと住み続けられるかどうか、通常の入居の手続きに移れるかどうかは、自治体ごとに違います。更新日が数年前のままのページもあるため、いまも受け付けているかは、その自治体に問い合わせるしかありません。

お金:自治体ごとに違う一時金

住まいと並んで、独自の給付金を出した自治体もあります。財源は自治体の予算のほか、住民から集めた寄付(募金やふるさと納税)の場合もあります。

自治体内容現在の扱い(ページの記載)
兵庫県一時滞在の支援(1世帯最大20万円)、生活開始の一時金(1世帯50万円)、公営住宅に無償入居した人の食費・光熱水費などの1年分(1世帯最大144万円)。合計で1世帯最大214万円2025年3月31日で新規受付を終了
前橋市1人15万円の一時支援金のほか、日本語学校の授業料半年分などを学校に支援2026年3月31日で新規の受入れを終了。支援中の人への支援は継続
東京都北区1世帯15万円、2人目から1人5万円を加算終了の記載なし(2026年4月1日更新)
東大阪市生活用品費と生活費。1人世帯30万円、2人世帯40万円、3人以上の世帯50万円終了の記載なし(2024年6月4日更新)
福島県寄付で集めた「ふくしまウクライナ避難民支援金」を一時金として配分寄付の受付を2027年3月31日まで延長
各自治体の公式ページから作成(2026年9月24日に確認)。金額と条件は各ページの記載どおり。

兵庫県の生活支援金は、公表されている実績で見ると、一時滞在の支援が8世帯、生活開始の一時金が32世帯、生活費が33世帯、合わせて34世帯でした。福島県の支援金は、県民などからの寄付を配分委員会が配る仕組みで、これまでに5回配分されています。寄付に税制上の優遇はなく、支給のあとに残額が出た場合は日本赤十字社の海外救援金に寄託すると、県は書いています。滋賀県も、県と県国際協会が募金で集めた「しがウクライナ避難民応援支援金」から生活支援金を支給しており、県が把握している受入れは14組20人でした(2025年4月30日時点)。

条件にも自治体ごとの違いがあります。北区は、支援金を決める時点で区内に住民登録していることと、ほかの区市町村から同じ趣旨の給付を受けていないことを条件にしています。東大阪市は、避難後に初めて住んだのが東大阪市で、住民登録をしている人を対象にしています。

2024年からは国の「定住支援プログラム」も

2022年の時点では、国の補完的保護の制度はまだありませんでした。出入国在留管理庁は避難民に在留資格「特定活動」を付与する緊急措置をとり、受入れの支援事業を公益財団法人アジア福祉教育財団に委託して、2022年度分として約19億円の予備費の使用を決めています(2022年6月28日閣議決定)。

その後、2023年12月に補完的保護対象者の認定制度が始まりました。入管庁によれば、認定された人には日本語教育(572時限)と生活ガイダンス(120時限)の「定住支援プログラム」が用意され、受講中は宿泊施設の提供や生活支援も受けられます。兵庫県は自らのページで、2024年4月から国がこのプログラムを無償で実施しており、受講中は生活援助金を受給できる、と案内しています。

国の制度ができたことで、自治体の側も支援の組み立てを変えています。東大阪市は、補完的保護対象者と認定されたか申請中の人で、国の生活援助金が支払われる場合は、原則として市の生活費を支給しないとしています。兵庫県は生活支援金を終えたあとも、支援コーディネーターによる日常生活の支援(2026年3月末までに446件)と、ウクライナ語・ロシア語での電話相談(同526件)を続けています。在留資格そのものの手続きは、特定活動(1年)か、補完的保護か。避難した人の在留資格の手続きで扱っています。

自分の自治体で確かめるときに

  • どの自治体に住んでいるかで、受けられる支援は変わります。まず、住民登録をしている市区町村と都道府県の国際課や国際交流協会に問い合わせてください(窓口の探し方は日本で暮らし始めたときの相談窓口)。
  • 自治体のページの更新日を見てください。2022年に作られたまま更新されていないページもあり、書かれている支援がいまも続いているとは限りません。
  • 給付金には「ほかの自治体や国から同じ趣旨の給付を受けていないこと」という条件がつく場合があります。引っ越す前に、いまの自治体と引っ越し先の両方に確認してください。
  • 補完的保護の認定を受けた人、申請中の人は、国の定住支援プログラムと自治体の支援の関係を、それぞれの窓口で確かめてください。

どの都道府県に何人が暮らしているかは、日本に避難したウクライナの人は2,902人、いま暮らしているのは1,931人にまとめています。

出典・参考資料

  1. ひょうごウクライナ避難民生活支援(2026年5月20日更新。生活支援金の内容・期間・実績、2025年3月31日の受付終了、日常生活支援と電話相談の件数、2024年4月からの定住支援プログラムの案内)
    発行:兵庫県 確認日:2026-09-24
  2. 前橋市のウクライナ避難民支援策について(2026年3月30日更新。新規受入の終了、市営住宅、一時支援金、日本語習得支援)
    発行:前橋市 確認日:2026-09-24
  3. ウクライナから避難してきた方に支援金を支給します(2026年4月1日更新。対象と支給額)
    発行:東京都北区 確認日:2026-09-24
  4. ウクライナ避難民に対する支援金を支給します(2024年6月4日更新。支給額、支給額の調整、対象者)
    発行:東大阪市 確認日:2026-09-24
  5. 「ふくしまウクライナ避難民支援金」の受付期間を延長しています。(2026年3月11日更新。支援対象者、配分状況、受付期間、税制上の扱い)
    発行:福島県 確認日:2026-09-24
  6. ウクライナ避難民への県営住宅等の提供について(2022年6月23日更新。対象、提供期間、使用料等)
    発行:福島県 確認日:2026-09-24
  7. ウクライナから避難されてきた方への支援について(2026年6月8日更新。県営住宅85戸、家具・家電の提供)
    発行:千葉県 確認日:2026-09-24
  8. ウクライナ避難民に対する県営住宅の提供について(2023年9月1日更新。入居期間、家賃等)
    発行:山口県 確認日:2026-09-24
  9. 滋賀県におけるウクライナからの避難民の方への支援(2025年6月3日更新。受入れ状況、しがウクライナ避難民応援支援金)
    発行:滋賀県 確認日:2026-09-24
  10. 公営住宅等の弾力的な活用に関する事例集(令和7年3月。目的外使用の制度紹介、鎌ケ谷市の市営住宅でのウクライナ避難民の受入れ)
    発行:国土交通省関東地方整備局 確認日:2026-09-24
  11. ウクライナ避難民に関する情報(受入支援事業の予備費と委託先)
    発行:出入国在留管理庁 確認日:2026-09-24
  12. ウクライナ避難民の受入れ・支援等の状況について(在留資格「特定活動」の付与、補完的保護対象者定住支援プログラム)
    発行:出入国在留管理庁 確認日:2026-09-24

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