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日本とのつながり/実用ガイド

キーウの日本大使館は、いまパスポートを扱っていない

キーウの在ウクライナ日本国大使館は2026年9月時点で、パスポートの発給も証明書の発行もしておらず、査証も短期商用と親族訪問などに限っています。東京のウクライナ大使館は予約制で、18〜60歳の男性には兵役登録の電子書類が求められます。二つの大使館の窓口でできることと、できないことを並べます。

キーウの在ウクライナ日本国大使館は、2026年9月の時点で、パスポートの発給・更新も、各種証明書の発行も行っていません。受け付けている査証(ビザ)の申請は、短期商用と親族訪問などに限られます。大使館のトップページに、そう書かれています(2026年9月23日に確認)。

一方、東京・西麻布の駐日ウクライナ大使館は、日本に住むウクライナ国民のパスポートや各種の手続きを、予約制で受け付けています。同じ「大使館」でも、いまできることは国ごとに、そして戦争の経過とともに変わってきました。二つの大使館の窓口で何ができて、何ができないのかを、それぞれの公式ページの記載から整理します。

2022年3月2日、キーウの日本大使館は一時閉鎖された

在ウクライナ日本国大使館が開館したのは1993年1月、東京のウクライナ大使館は1994年9月です(外務省「ウクライナ基礎データ」)。この記事で扱う窓口の制限は、2022年のロシアによるウクライナへの全面侵攻のあとに始まりました。外務省の報道発表から、キーウの日本大使館の動きを並べます。

日付出来事
2022年2月28日在ポーランド日本国大使館が、ウクライナ国境に近いジェシュフに臨時の連絡事務所を開設(ウクライナから退避する邦人の受入れ支援)
2022年3月2日キーウの在ウクライナ日本国大使館を一時閉鎖し、業務をリヴィウの臨時の連絡事務所に移転
2022年3月7日リヴィウ連絡事務所の大使館員を一時的に国外へ移動(事務所は閉鎖せず)
2022年10月5日キーウの大使館を最小限の職員数で再開。当面の業務は情報収集やウクライナ政府などとの連絡・調整に限定する予定とされた。領事窓口業務はワルシャワの在ポーランド日本国大使館とジェシュフ連絡事務所が担当。リヴィウ連絡事務所は同日閉鎖
2023年4月30日ジェシュフ連絡事務所を閉鎖。通常の領事窓口業務は引き続き在ポーランド日本国大使館(ワルシャワ)が担当
外務省の報道発表(2022年2月28日、3月2日、3月7日、10月5日、2023年4月24日)による。2026年9月23日に確認。

2022年3月2日の発表は、閉鎖の理由を「ロシアによる侵略が拡大し、首都キエフの情勢が極度かつ急速に緊迫化したこと」と説明しています(引用内の「キエフ」は当時の外務省の表記)。10月に大使館が再開したときも、外務省は「最小限の職員数」での再開だとしていました。

大使館のページには、2026年9月4日付で大隅洋大使の着任のあいさつが載っています。

キーウの日本大使館で、いまできること

在ウクライナ日本国大使館の「領事・安全」のページは、領事業務を次のように説明しています。

業務在ウクライナ日本国大使館の扱い(2026年9月時点)代わりの手段(同ページの案内)
査証(ビザ)短期商用または親族訪問の査証申請のみウクライナの人がほかの国に滞在している場合は、その国の日本大使館で申請できる
旅券(パスポート)実施していない旅券業務を行っている他の日本大使館・総領事館に相談。そこを申請先にオンライン申請し、その公館で受け取ることもできる
各種証明行っていない証明業務を行っている日本大使館・総領事館で申請・受領できるものがある(提出先で受理されることが前提)
戸籍・国籍関係の届出行っていない戸籍・国籍業務を行っている日本大使館・総領事館か、日本の市区町村役場(郵送も可)
在ウクライナ日本国大使館「領事・安全」「大使館案内」のページによる。2026年9月23日に確認。

ウクライナ語で書かれた査証のページはもう少し詳しく、2024年8月1日から、ウクライナ国民向けに次の3種類に限って査証の発給を再開したとしています。短期の商用査証、親族訪問に限った短期の訪問査証、公用の訪問のための査証です。親族訪問の申請では、親族関係を示す書類とその英訳を出すよう求めています。

ウクライナの外にいるウクライナ国民については、2022年4月21日付の案内が、滞在している国の日本大使館ですべての種類の査証を申請できると書いています。その国で長期の滞在許可を持っていなくても申請できること、書類はオンラインでは出せず、大使館を訪れる前に連絡してほしいことも添えられています。

連絡先として大使館が示しているのは、領事メール(ryouji@kv.mofa.go.jp)です。大使館案内のページには、問い合わせが多く電話がつながりにくい、という注意書きもあります。

日本からの渡航は「レベル4:退避勧告」

外務省は、ウクライナ全土に危険情報の「レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)」を出しています。レベル4は、外務省の4段階の危険情報のうち最も高い段階です。2026年9月23日時点の危険情報は2026年1月19日付で、ロシア軍による地上作戦、ミサイルやドローンなどによる攻撃が続いており、今後も被害が続くと見込まれる、としています。

同じ危険情報には、例外的な手続きが一つ書かれています。ウクライナの復旧・復興に寄与する企業・団体の取組などとして、真にやむを得ない事情で、キーウ市とその周辺、リヴィウ州に渡航する必要があると考える場合は、渡航の2週間前までに外務省の窓口に相談する、というものです。その際に出す渡航計画には、次のような条件が付いています。

  • 渡航期間は必要最小限で、原則2週間以内
  • 周辺国とキーウ、キーウとリヴィウの間は鉄道で移動する(ポーランドとリヴィウ州の間は車両も可)
  • シェルターを備えた安全な宿舎を確保する
  • 車両・徒歩での移動には、信頼できる警備会社の警護員を同行させる
  • 治安情勢の変化による渡航中止や退避の勧告には必ず従う

これは所属する企業や団体が組織として安全対策をとることを前提にした手続きで、個人の旅行のためのものではありません。危険情報は、キーウ市では午前0時から翌朝5時まで外出禁止令が出ていることも伝えています(2026年1月19日付の記載)。

やむを得ずウクライナに3か月以上滞在する日本人には、旅券法第16条により、現地の領事官への「在留届」の提出が義務づけられています。

東京のウクライナ大使館で、できること

駐日ウクライナ大使館(東京都港区西麻布)の領事の窓口は、電子予約(e-consul)で予約した人だけを受け付けています。大使館のページは、手続きごとに別々の予約をとり、予約の前に必要書類をそのページで確認するよう求めています。電話での相談は決まった時間帯に限られ、メール(consul_jp@mfa.gov.ua)でも受け付けています。

「領事の問題」のページに並んでいる手続きは、主に次のようなものです。

  • 国外用パスポート(закордонний паспорт)の申請と受け取り、国内用パスポート(IDカード)
  • ウクライナへの帰国のための身分証明書(通称「白いパスポート」)。パスポートの紛失・盗難、期限切れなどの場合に発行される
  • 委任状、存命であることの証明
  • 領事登録(日本に住んでいることの登録)
  • 日本での婚姻、身分に関する登録(Реєстрація актів цивільного стану)、書類の認証
  • 国籍に関する手続き
  • 納税者番号(РНОКПП)の付与
  • 国外からの投票

帰国のための身分証明書のページによれば、この証明書は身元を証明し、ウクライナ国籍を確認し、ウクライナへの入国の権利を与える書類で、国外の外交機関が発行します。紛失や盗難の場合は、滞在している国の当局に届け出たことを示す書類が必要とされています。

神戸市には名誉領事館も置かれています。大使館のページによれば、管轄は兵庫県で、受付は予約制です。

18歳から60歳の男性には、条件がある

大使館の領事の窓口ページは、18歳から60歳の男性が領事サービスを受ける条件を一つ書いています。ウクライナ国防省のアプリ「Резерв+(レゼルヴ・プラス)」で作成した、QRコード付きの電子の兵役登録書類を持っていること。しかも、その書類は来館の72時間前より後に作成されたものでなければなりません。

大使館は2024年5月21日付のお知らせで、この年齢の男性の領事サービスの申請受付を再開したことを伝えています。それより前にどのような停止があったのか、その根拠となったウクライナ政府の決定の内容は、大使館のページからは確認できません。兵役登録や動員の制度そのものは、この記事では扱っていません。予約の前に、自分に必要な書類を大使館に確認してください。

どちらの大使館でも扱わないこと

駐日ウクライナ大使館は「大使館の権限に属さない問題」として、次のものを挙げています。

  • ウクライナ国民が日本に入国するための査証や保証書類
  • 日本での仕事探しの手伝い
  • 弁護士、法律相談、旅行代理店、通訳の役割や、お金の貸し付け、ホテル代などの支払い
  • ウクライナの国境を出た日付の証明(国家国境警備庁が扱う)

日本での在留資格や生活の手続きは、どちらの大使館でもなく、日本の出入国在留管理庁や市区町村が窓口です。どこに相談すればよいかは日本で暮らし始めたときの相談窓口に、日本に来たウクライナの人の数は日本に避難したウクライナの人の数の記事にまとめています。

大使館の窓口の扱いは、情勢とともに何度も変わってきました。手続きの前には、必ずそれぞれの大使館の最新のページを確認してください。

出典・参考資料

  1. 在ウクライナ日本国大使館 トップページ(安全情報、領事サービスを行っていないこと、査証の取扱い、2026年9月4日付の大使着任挨拶)
    発行:在ウクライナ日本国大使館 確認日:2026-09-23
  2. 領事・安全(査証・旅券・各種証明・戸籍国籍届の取扱い)
    発行:在ウクライナ日本国大使館 確認日:2026-09-23
  3. 大使館案内(住所・電話がつながりにくい旨の注意)
    発行:在ウクライナ日本国大使館 確認日:2026-09-23
  4. ВІЗИ(2024年8月1日からの3種類の査証発給の再開)
    発行:在ウクライナ日本国大使館(ウクライナ語ページ) 確認日:2026-09-23
  5. 他国に滞在しているウクライナ人の査証取得について(2022年4月21日)
    発行:在ウクライナ日本国大使館 確認日:2026-09-23
  6. ウクライナ 大隅大使着任挨拶(2026年9月4日)
    発行:在ウクライナ日本国大使館 確認日:2026-09-23
  7. ウクライナの危険情報【危険レベル継続】(内容の更新)(2026年1月19日)
    発行:外務省 海外安全ホームページ 確認日:2026-09-23
  8. 「危険情報」とは?(レベル1〜4の区分)
    発行:外務省 海外安全ホームページ 確認日:2026-09-23
  9. ポーランド・ジェシュフにおける臨時の連絡事務所の開設について(2022年2月28日)
    発行:外務省 確認日:2026-09-23
  10. 在ウクライナ日本国大使館業務のリヴィウ連絡事務所への一時移転について(2022年3月2日)
    発行:外務省 確認日:2026-09-23
  11. 在リヴィウ連絡事務所に勤務する職員の一時的な国外移動について(2022年3月7日)
    発行:外務省 確認日:2026-09-23
  12. ウクライナ情勢(在ウクライナ大使館の再開)(2022年10月5日)
    発行:外務省 確認日:2026-09-23
  13. ポーランド・ジェシュフにおける臨時の連絡事務所の閉鎖について(2023年4月24日)
    発行:外務省 確認日:2026-09-23
  14. ウクライナ基礎データ(大使館の開館時期)
    発行:外務省 確認日:2026-09-23
  15. 旅券法 第16条(外国滞在の届出)
    発行:e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日:2026-09-23
  16. Посольство України в Японії(住所・連絡先)
    発行:駐日ウクライナ大使館 確認日:2026-09-23
  17. Консульські питання(電子予約制、受付時間、18〜60歳男性の条件)
    発行:駐日ウクライナ大使館 確認日:2026-09-23
  18. Посвідчення особи на повернення в Україну(帰国のための身分証明書)
    発行:駐日ウクライナ大使館 確認日:2026-09-23
  19. Питання, які не належать до компетенції Посольства України в Японії(大使館の権限に属さない問題)
    発行:駐日ウクライナ大使館 確認日:2026-09-23
  20. Почесне консульство України в місті Кобе(神戸の名誉領事館)
    発行:駐日ウクライナ大使館 確認日:2026-09-23
  21. щодо відновлення прийому заяв на отримання консульських послуг для чоловіків 18-60 років(2024年5月21日)
    発行:駐日ウクライナ大使館 確認日:2026-09-23

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