15歳を過ぎても中学校で学べる。全国69校の夜間中学
夜間中学は、義務教育を十分に受けられないまま15歳を過ぎた人が学ぶ公立の中学校で、文部科学省によれば2026年4月時点で全国に69校あります。授業料は無料で、生徒の6割あまりは外国籍の人です。入学の条件の例、授業の中身、学ぶ人の数、相談先をまとめました。
オリュカのひとこと
入学できるかどうかは、誰が決めているのでしょう。横浜市・東京都・広島市の三つの例を表で見比べられます。
日本には、夜の時間帯に授業をする公立の中学校があります。「夜間中学」と呼ばれ、文部科学省によれば、2026年4月時点で全国に69校あります。義務教育を十分に受けられないまま15歳を過ぎた人が、年齢や国籍にかかわらず、中学校の課程を学び直せる学校です。
以下は、法律(e-Gov法令検索)、文部科学省の資料と調査、横浜市・東京都・広島市の案内を2026年9月に確認した内容です。入学できるかどうかは、夜間中学を置いている自治体が決めます。この記事では個別の判断はしません。
2016年の法律で、自治体の務めになった
文部科学省の調査報告によれば、夜間中学は第二次世界大戦後の1940年代後半(昭和20年代初め)に、生活のために昼間に働かざるを得なかった子どもたちのために作られたのが始まりです。いまは、次のような人が学ぶ場所とされています。
- 義務教育を終えないまま、学齢(6〜15歳)を過ぎた人
- 不登校などで十分な教育を受けられないまま、中学校を卒業した人
- 母国や日本で、義務教育を十分に受けられなかった外国籍の人
根拠になっているのは、2016年12月14日に公布された「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」(平成28年法律第105号。教育機会確保法)です。第14条は、学齢期を過ぎて就学の機会がなかった人のうち、その機会を望む人が多くいることを踏まえ、地方公共団体が「夜間その他特別な時間において授業を行う学校」での就学の機会の提供などの措置を講ずる、と定めています。この章は公布の日から施行されました。
2023年6月に閣議決定された教育振興基本計画は、すべての都道府県と政令指定都市に少なくとも1校の夜間中学が置かれるよう促す、としています。
入学の条件は、設置する自治体が決める
夜間中学の対象や入学の手続きは、学校を置いている市区町村や都道府県が決めています。2026年9月に確認した三つの例は次のとおりです。
| 自治体 | 年齢 | 学歴の条件 | 住所・勤務先 |
|---|---|---|---|
| 横浜市(市立蒔田中学校の夜間学級) | 15歳(学齢)を超えている | 中学校を卒業していない、または卒業していてもさまざまな理由で十分に学べなかった | 横浜市内に住んでいる、または市内で働いている |
| 東京都(都内8校の夜間学級) | 15歳以上 | 小学校・中学校を卒業していない、または不登校などで中学校で十分に学べなかった | 都内に住んでいる、または都内で働いている |
| 広島市(二葉中学校・観音中学校) | 義務教育の年齢を過ぎた人(15歳以上) | 小学校や中学校を卒業できなかった、または卒業したがほとんど学校に通えなかった | 広島市に住んでいる |
どの例も、公表している条件に国籍や在留資格は挙がっていません。世田谷区は、15歳を超えた人なら「年齢・国籍に関わりなく」入級の相談に応じると案内しています。文部科学省の『夜間中学の設置・充実に向けて【手引】』(第3次改訂版)も、国際人権規約を踏まえ、外国籍の人にも日本国籍の人と同じように夜間中学での教育機会を確保することが求められる、と書いています。在留資格や住民登録について確認が必要かどうかは、相談するときに教育委員会に聞いてください。
住んでいる市区町村の外の夜間中学に通えるかどうかも、自治体によります。文部科学省の2024年度の調査では、市区立45校のうち37校が設置した市区の外に住む人も受け入れ、8校は市区内に住む人に限っていました。
中学校を一度卒業した人は
文部科学省は2015年7月30日の通知で、不登校などで実質的に義務教育を十分に受けないまま中学校を卒業した人(「入学希望既卒者」)について、事情を確かめたうえで、学校の受け入れ能力に応じて入学を認めることが望ましい、という考え方を示しました。入学を許すかどうかは、出席日数のような一律の基準ではなく、一人ひとりの事情に応じて判断することが望ましい、ともしています。
外国の学校で9年の課程を終えた人が夜間中学に入れるかどうかは、国の資料に一律の定めが見当たりません。ウクライナで9年生を終えていれば、日本の高校の入学資格にあたります(外国から来た生徒の高校入試の記事を参照)。日本語や教科の学び直しのために夜間中学を考えている場合も、まず教育委員会に相談してください。15歳までの子どもは、昼間の小学校・中学校に入るのが基本です(日本の学校に入る前に、家族がまとめておける学習歴と書類)。
授業料は無料、卒業すれば中学校卒業
夜間中学は公立の中学校なので、授業料はかかりません(学校教育法第6条)。文部科学省の案内によれば、授業は週5日、中学校の教員免許を持つ先生が教え、すべての課程を修了すれば中学校卒業となります。広島市の例では、授業は平日の夕方5時半ごろから夜9時ごろまでで、学力によって2年生や3年生から始めることもできます。教材費などの実費は、世田谷区も広島市も自己負担だと案内しています。
2017年3月の学校教育法施行規則の改正で、夜間中学では、学齢を過ぎた生徒の年齢や経験に応じた「特別の教育課程」を組めるようになりました。中学校の段階で小学校の内容の一部を扱うことができ、その場合は小学校の教科書も無償で配られます(文部科学省の手引)。東京都内には、日本語の勉強から始める「日本語学級」を置いている夜間中学もあります。
お金の面では、文部科学省の2024年度の調査で、夜間中学を置く47の県・市区の教育委員会のうち35が「就学援助に類する経済的支援」を行っていました。対象の条件は自治体ごとに違います。
オリュカのひとこと
生徒1,969人は、いつ時点の数字でしょう。調査の日付と割合の出し方を、表の注記で確かめましょう。
どんな人が学んでいるか
文部科学省の「令和6年度夜間中学等に関する実態調査」(2024年5月1日現在、当時の53校)によれば、夜間中学の生徒は1,969人で、前回(2022年)の1,558人から増えました。1校あたりの平均は37.2人です。
| 項目 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 生徒の合計 | 1,969人 | 100% |
| 日本国籍のない生徒 | 1,256人 | 63.8% |
| 日本国籍のある生徒 | 713人 | 36.2% |
| 16〜19歳 | 484人 | 24.6% |
| 60歳以上 | 389人 | 19.8% |
| 女性 | 1,163人 | 59.1% |
日本国籍のない生徒の国・地域は、中国(358人)とネパール(288人)が多く、2か国で半分を超えます。ウクライナは調査結果の表に個別の国名として出ていません(「その他」に含まれるかは不明)。日本国籍のない生徒が挙げた入学の理由は、「日本語が話せるようになるため」が508人(40.4%)で最も多く、「高等学校に入学するため」が238人(18.9%)、「読み書きができるようになるため」が228人(18.2%)でした。日本国籍のある生徒では、不登校などで十分に学べないまま卒業した「入学希望既卒者」が559人(78.4%)を占めます。
2023年度に卒業した309人のうち、193人(62.5%)が高校などに進みました。日本国籍のない卒業生では、216人のうち145人です。
69校は、どこにあるか
文部科学省の一覧(2026年4月時点)によれば、夜間中学は全国に69校あり、35の都道府県にあります。2025年10月時点の62校から、2026年4月に栃木県、福井県、愛知県(3校)、和歌山県、大分県で7校が加わりました。69校のうち1校(沖縄県の珊瑚舎スコーレ東表中学校)は学校法人が置く私立の学校です。
同じ一覧は、2027年度に青森県青森市、山形県、新潟市、富山県、長野県軽井沢町、2028年度に山梨県が設置を予定しているとしています。
近くに夜間中学がない場合について、文部科学省は2025年1月の事務連絡で、夜間中学を置いていない自治体が、置いている他の市町村に受け入れを頼み、経費の一部を負担することも考えられる、としています。このほか、ボランティアなどが開く「自主夜間中学」や識字講座が、2024年度の調査で全国に632(自主夜間中学45、識字講座等587)把握されています。こちらは学校ではないので、通っても中学校の卒業にはなりません。
相談するところ
- 住んでいる市区町村の教育委員会。夜間中学がない場合も、近くで通える学校や受け入れの取り決めを聞ける
- 夜間中学そのもの。文部科学省の「夜間中学の設置・検討状況」のページに、全69校の連絡先が載っている
横浜市は夜間学級の募集チラシを日本語のほか英語、中国語、ベトナム語、スペイン語、タガログ語、ネパール語、韓国・朝鮮語で出していますが、2026年9月時点でウクライナ語版はありません。相談の窓口でウクライナ語を使えるかどうかは、各教育委員会に確かめてください。日本語を学べるほかの場所は地域の日本語教室と、ウクライナ語で学べる無料の日本語教材にまとめています。
出典と記事の記録
出典・参考資料
- 義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律平成28年法律第105号。公布日、第14条、附則の施行期日
発行:e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日:2026-09-24 - 学校教育法 第6条公立の義務教育の授業料
発行:e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日:2026-09-24 - 夜間中学の設置促進・充実について設置校数、夜間中学の定義、関連通知の一覧
発行:文部科学省 確認日:2026-09-24 - 夜間中学で学びたい方へ授業料無償、週5日、教員免許、卒業
発行:文部科学省 確認日:2026-09-24 - 夜間中学の設置・検討状況全国の夜間中学の連絡先
発行:文部科学省 確認日:2026-09-24 - 夜間中学の設置・検討状況一覧令和8年4月。69校、35都道府県、2025年10月の62校、2027・2028年度の設置予定
発行:文部科学省 確認日:2026-09-24 - 「令和6年度夜間中学等に関する実態調査」結果の公表について事務連絡、2025年1月31日。未設置自治体からの受け入れ要請と経費負担
発行:文部科学省 確認日:2026-09-24 - 令和6年度夜間中学等に関する実態調査2024年5月1日現在。生徒数、国籍、年齢、入学理由、卒業後、入学要件、経済的支援、自主夜間中学、夜間中学の始まり、教育振興基本計画
発行:文部科学省 確認日:2026-09-24 - 夜間中学の設置・充実に向けて【手引】第3次改訂版。外国籍の者、入学希望既卒者、2015年7月30日の通知、特別の教育課程と教科書
発行:文部科学省 確認日:2026-09-24 - 横浜市立中学校夜間学級のご案内入級の要件、募集チラシの言語
発行:横浜市教育委員会 確認日:2026-09-24 - 公立中学校の夜間学級対象、都内8校
発行:東京都教育委員会 確認日:2026-09-24 - 中学校で十分学べなかった方のために年齢・国籍に関わりなく相談、日本語学級、授業料無料と実費
発行:世田谷区 確認日:2026-09-24 - 夜間学級(夜間中学)で学んでみませんか。入級できる人、授業時間、授業料、途中の学年から始めること
発行:広島市教育委員会 確認日:2026-09-24
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