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人と暮らし/実用ガイド

仕事と通勤のけがは労災保険で。休業4日目から平均賃金の8割

仕事中や通勤中のけが、仕事が原因の病気は、健康保険ではなく労災保険の対象です。パートやアルバイト、留学生のアルバイトも含まれ、保険料は会社が払います。指定医療機関での治療は無料、休業は4日目から1日につき給付基礎日額の80%。請求の流れと期限、2027年4月からの改正をまとめました。

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オリュカのひとこと

仕事中のけがは、健康保険と労災保険のどちらを使うのでしょう。使い分けの理由を早い節で確かめられます。

日本で雇われて働く人が、仕事中や通勤の途中でけがをしたとき、あるいは仕事が原因で病気になったとき、治療費と休んだ間の収入を補う国の制度が労災保険(労働者災害補償保険)です。厚生労働省は外国人向けの案内で、労災保険は国籍を問わず日本で労働者として働く外国人にも適用され、留学中のアルバイトで事故にあった場合なども対象になる、と書いています。

以下は、労働者災害補償保険法の条文(e-Gov法令検索)、厚生労働省の『労災保険請求のためのガイドブック』(日本語版第一編、2025年2月版)、出入国在留管理庁が監修する『生活・就労ガイドブック』(日本語版第8版)を、2026年9月に確かめた内容です。起きたけがや病気が労災に当たるかどうかは、この記事では判断しません。決めるのは労働基準監督署です。

オリュカのひとこと

アルバイトの保険料も、働く本人が払うのでしょうか。答えはこの見出しの中で確かめられます。

パートもアルバイトも対象、保険料は会社が払う

労働者災害補償保険法は「労働者を使用する事業」を適用事業としています(第3条。国の直営事業と官公署の事業は一部を除き対象外)。厚生労働省のリーフレットは、常勤・パート・アルバイトといった名前や雇用形態にかかわらず、労働者を1人でも雇っている事業場には加入の義務があるとし、労災保険は短時間労働者を含むすべての労働者が対象だと説明しています。例外として、労働者が5人未満の個人経営の農林水産業の一部は、いまは加入が任意です。

保険料は全額を会社が負担します。給料から本人の分が差し引かれる健康保険や雇用保険とは、ここが違います。厚生労働省のガイドブックは、会社が労災保険の加入手続きをしていなかった場合でも、仕事や通勤でけがや病気をしたときは原則として給付を受けられるとしています。

雇われていない人、たとえば個人事業主として仕事を請け負っている人は、原則として対象になりません。中小企業の事業主や一人親方、フリーランスなどが任意で入る「特別加入」の制度があり、厚生労働省が案内しています。どの在留資格で、どんな仕事ならしてよいかは、ハローワークで仕事を探すときの記事にまとめています。

  1. オリュカ

    通勤の途中で寄り道をしたら、もうそこは通勤ではなくなるのでしょうか。

  2. スウネ

    買い物や通院など、認められる寄り道の条件が、この見出しの下にあるよ。

  3. タブリ

    元の経路に戻ったあとの扱いも、この見出しの下で分かるよ。

「仕事中」と「通勤中」の範囲

法律は、給付の対象になる災害を三つに分けています(第7条)。仕事が原因の「業務災害」、2社以上で働く人の複数の仕事が合わさって原因になった「複数業務要因災害」、そして「通勤災害」です。

通勤とは、仕事のために、住まいと職場の間を「合理的な経路及び方法」で往復することを指します。2つ目の勤め先への移動や、単身赴任先と家族の住まいの間の移動(条件あり)も含まれます。途中で経路を外れたり、移動をやめて別のことをしたりすると、その間とその後は通勤になりません。ただし、日用品の買い物、病院での診察、選挙、職業訓練、家族の介護など、厚生労働省令が定める日常生活に必要な行為をやむを得ず最小限で行った場合は、その間を除いて、元の経路に戻った後は通勤として扱われます(第7条第3項、同法施行規則第8条)。

厚生労働省のガイドブックのQ&Aは、通勤中に自転車とぶつかってけがをし、相手が誰か分からない場合でも給付を受けられる、いつもと違う道を通っていたときのけがも一定の要件を満たせば対象になる、と答えています。『生活・就労ガイドブック』は、長時間労働など仕事が原因で発症したうつ病などの精神障害も対象になり、帰国した後に日本での仕事が原因の病気を発症した場合も対象になる、としています。

健康保険ではなく、労災保険を使う

仕事や通勤が原因のけがや病気には、健康保険は使えません。厚生労働省のガイドブックも『生活・就労ガイドブック』も、そう明記しています。健康保険法は、保険給付の対象を労災保険法の業務災害「以外」の病気やけがと定めています(第1条)。通勤災害も労災保険で扱われます。

労災病院と労災保険の指定医療機関(以下、指定医療機関)では、治療を無料で受けられます。やむを得ず指定医療機関以外で治療を受けた場合は、いったん自分で払い、後で請求すると、払った費用の全額が支給されます。

受けられる主な給付と、請求の期限

給付どんなときに中身請求の期限(時効)
療養(補償)等給付治療を受けるとき指定医療機関なら無料。それ以外で払った費用は全額。通院の交通費も条件つきで実費費用を払った日の翌日から2年(指定医療機関での治療には時効なし)
休業(補償)等給付療養のため働けず、賃金を受けていないとき休業4日目から、1日につき給付基礎日額の80%(保険給付60%+特別支給金20%)賃金を受けない日ごとに、その翌日から2年
障害(補償)等給付治った(症状が固定した)後に障害が残ったとき障害等級に応じて年金か一時金治った日の翌日から5年
遺族(補償)等給付・葬祭料等亡くなったとき遺族への年金か一時金、葬祭を行った人への給付遺族の給付は5年、葬祭料は2年
厚生労働省『労災保険請求のためのガイドブック』日本語版第一編(2025年2月版)と労働者災害補償保険法第42条から作成(2026年9月確認)。このほか、療養開始から1年6か月たっても治らず障害が重い場合の傷病(補償)等年金、介護(補償)等給付がある。

「給付基礎日額」は、原則として、事故の直前3か月の賃金を、その期間の暦の日数で割った額(平均賃金)です。ガイドブックの例では、月20万円の賃金の人が10月に事故にあった場合、20万円×3か月÷92日で約6,522円、休業1日あたりの支給はその80%の約5,217円になります。

休業の最初の3日間は、労災保険からは出ません。この3日間は、業務災害であれば、会社が平均賃金の60%を休業補償として払うことになっています(労働基準法第76条)。通勤災害と複数業務要因災害には、会社のこの補償の定めはありません。また通勤災害の休業給付では、初回の給付から一部負担金として200円が差し引かれます。

『生活・就労ガイドブック』は、業務災害でけがや病気の治療のために休んでいる間とその後30日間は、会社はその労働者を解雇できない、とも書いています。

  1. オリュカ

    会社が労災だと認めてくれなかったら、請求はできないのでしょうか。

  2. スウネ

    会社が証明を拒んでも請求できると、この見出しの下に書いてあるよ。

  3. タブリ

    請求書を出す順番は、この見出しの下の手順にまとまっているよ。

請求の流れ

労災保険の手続きは、原則としてけがをした本人が行います。厚生労働省のガイドブックに沿うと、流れは次のとおりです。

  1. 指定医療機関で受診する。治療費は、請求書(業務災害は様式第5号、通勤災害は様式第16号の3)を医療機関を通じて労働基準監督署に出す。
  2. 指定医療機関以外で受診したときは、いったん払い、請求書(業務災害は様式第7号、通勤災害は様式第16号の5)と領収書を、本人が直接、労働基準監督署に出す。
  3. 仕事を休んだときは、休業の請求書(業務災害は様式第8号、通勤災害は様式第16号の6)に医師と会社の証明を受け、本人が直接、労働基準監督署に出す。通勤災害は「通勤災害に関する事項」(様式第16号の別紙)も要る。
  4. 労働基準監督署が調べて、支給するかどうかを決める。治療と休業の請求は、受付から決定までおおむね1か月。

請求書には会社が証明する欄があります。ガイドブックは、会社が「労災には当たらない」として証明を拒んだ場合でも請求はできるので、労働基準監督署か都道府県労働局に相談するように、と答えています。会社を辞めた後や、会社がなくなった後でも請求できます。会社が「労災保険ではない別の保険がある」と言う場合も、労災保険からの支給は受けられます(会社から治療費や休業の補償を受けた分は、支給されないか減額されることがあります)。

会社の側にも義務があります。労働災害で労働者が亡くなったり休業したりしたとき、会社は遅れずに「労働者死傷病報告」を労働基準監督署長に出さなければなりません。厚生労働省は、これを故意に出さないことや、うその内容で出すことを「労災かくし」と呼び、犯罪だとしています。

日本を離れた後の請求

厚生労働省のガイドブックは「本国へ帰国すると受けることができない給付もあります」と注意しています。日本の外から請求した場合、給付は円で決まり、支給決定日の為替レートで換算されます。国外で受けた治療も、内容が妥当と認められれば費用が支給されます。一方、治った後の診察や保健指導(アフターケア)、義肢などの費用の支給、症状固定後の処置(外科後処置)、遺族の子どもの学費の援護(日本の学校に通う場合)は、日本国内に限られる、としています。

2027年4月から変わること

労働者災害補償保険法などを改める法律が2026年7月10日に成立し、7月17日に公布されました(令和8年法律第60号)。参議院が公表している議案の要旨によると、主な内容は次のとおりで、一部を除き2027年4月1日から施行されます。

  • 遺族補償年金を受ける遺族の要件のうち、夫にだけ課されていた条件(妻の死亡時に55歳以上か、一定の障害の状態にあること)をなくす。遺族が1人のときの年金額は一律で給付基礎日額の175日分にする。
  • 仕事が原因かどうかをすぐには判断しにくい病気として政令で定めるものについて、治療や休業の給付の請求の時効を2年から5年に延ばす。
  • 小規模な個人経営の農林水産業を任意加入としてきた暫定措置を廃止する(公布から5年以内に政令で定める日から)。

ウクライナ語で読める資料と相談先

厚生労働省の外国人向けの『労災保険請求のためのガイドブック』は、日本語、英語、ポルトガル語、韓国語、中国語、ベトナム語、タイ語、インドネシア語、ペルシア語、スペイン語、タガログ語、カンボジア語、ネパール語、ミャンマー語の14言語で公開されています。2026年9月時点で、ウクライナ語版とロシア語版はありません。

出入国在留管理庁が監修する『生活・就労ガイドブック』には、ウクライナ語版があり、労災保険の節も入っています。ただし、ウクライナ語版は第7版(2025年3月)で、日本語版の最新は第8版です。

労災保険の相談と請求の窓口は、働いている場所を受け持つ労働基準監督署です。労働条件について外国語で電話相談できる厚生労働省の窓口と、その対応言語(ウクライナ語は入っていない)は、日本で働く人を守る決まりの記事に書いています。通訳を頼める相談先は日本で暮らし始めたときの相談窓口、仕事以外の病気やけがに使う健康保険の加入は日本の健康保険と年金の加入の記事を見てください。

出典と記事の記録出典 13件 · AIの利用 · 運営体制

出典・参考資料

  1. 労働者災害補償保険法第1条、第3条、第7条、第12条の8、第13条、第14条、第42条
    発行:e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日:2026-09-24
  2. 労働者災害補償保険法施行規則第8条 日常生活上必要な行為
    発行:e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日:2026-09-24
  3. 労働基準法第75条 療養補償、第76条 休業補償
    発行:e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日:2026-09-24
  4. 健康保険法第1条 目的
    発行:e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日:2026-09-24
  5. [日本で働く外国人向け]労災保険請求のためのガイドブック<第一編>日本語版R7.2。給付の種類と中身、給付基礎日額の例、休業の最初の3日、請求書の様式、時効、Q&A、本国へ帰った場合
    発行:厚生労働省労働基準局補償課 確認日:2026-09-24
  6. 外国人労働者向け労災保険給付パンフレット公開言語の一覧
    発行:厚生労働省 確認日:2026-09-24
  7. 保険料は何に使われている? 労働保険への加入について加入義務、短時間労働者、労災保険分は全額事業主負担、5人未満の農林水産業
    発行:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署・公共職業安定所 確認日:2026-09-24
  8. 労災保険への特別加入
    発行:厚生労働省 確認日:2026-09-24
  9. Q 労災かくしとは何ですか。
    発行:厚生労働省 確認日:2026-09-24
  10. 生活・就労ガイドブック 日本語版 第8版3-2 仕事でのけが・病気などの補償(労災保険)、4-5 労災保険
    発行:出入国在留管理庁 監修 確認日:2026-09-24
  11. 生活・就労ガイドブック ウクライナ語版 第7版2025年3月
    発行:出入国在留管理庁 監修 確認日:2026-09-24
  12. 労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案の概要令和8年4月7日提出
    発行:厚生労働省 確認日:2026-09-24
  13. 労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案(閣法第56号)議案審議情報・要旨参議院本会議可決 令和8年7月10日、公布 令和8年7月17日、法律番号60
    発行:参議院 確認日:2026-09-24

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