保育所を使うには、父母の両方に働くなどの理由が要る
日本の保育所に子どもを預けるには、住んでいる市区町村から「保育が必要」の認定を受けます。理由は就労、求職、病気、就学などで、父母の両方に要ります。こども家庭庁は、国籍や住民登録の有無ではなく、その市町村に住んでいる実態で対象を判断するとしています。3歳から5歳の利用料の無償化と、働いていなくても使える預け先もまとめました。
日本の保育所は、親が働いている、病気であるなどの理由で、家庭で子どもの世話ができないときに、代わりに保育をする施設です。入るには、まず住んでいる市区町村から「保育が必要」だという認定を受けます。この認定は子ども・子育て支援法にもとづくもので、こども家庭庁は、国籍や住民登録の有無にかかわらず、その市町村に実際に住んでいれば対象になると説明しています。以下は、法令(e-Gov法令検索)と、こども家庭庁・出入国在留管理庁の公式ページを2026年9月に確認した内容です。
子どもが保育所に入れるか、保育料がいくらになるかは、この記事では判断しません。決めるのは住んでいる市区町村で、施設の空きや、自治体ごとの基準によっても変わります。
預け先は保育所だけではない
出入国在留管理庁の『生活・就労ガイドブック』(日本語版第8版)は、小学校に入る前の子どもが通う施設として、保育所、幼稚園、認定こども園を挙げています。
- 保育所:保護者が働いているなどの理由で家庭で保育できないとき、保護者に代わって保育する施設。一般的な保育時間は1日8時間。
- 幼稚園:満3歳から小学校入学前までの子どもが通う教育施設。教育時間は1日4時間が標準で、夕方まで預かる園もある。
- 認定こども園:保育所と幼稚園の両方の機能をもち、保護者が働いているかどうかにかかわらず利用できる。
このほか、児童福祉法第24条は、少人数で保育する家庭的保育事業・小規模保育事業などを、市町村が保育を確保する手段として挙げています。国や自治体の認可を受けていない「認可外保育施設」もあり、ガイドブックはベビーホテルやベビーシッターなどをその例に挙げています。
三つの認定区分
子ども・子育て支援法第19条は、小学校入学前の子どもを三つに分けています。こども家庭庁の資料では、この区分に応じて「教育・保育給付第1号認定」「第2号認定」「第3号認定」という呼び方がされています。
| 区分 | 子どもの年齢 | 条件 |
|---|---|---|
| 第1号 | 満3歳以上 | 第2号に当たらない |
| 第2号 | 満3歳以上 | 家庭で必要な保育を受けることが難しい |
| 第3号 | 満3歳未満 | 家庭で必要な保育を受けることが難しい |
保育所に入るのに必要なのは、保育の必要性を認める第2号か第3号の認定です。同法第20条は、認定を保護者の居住地の市町村が行うと定め、申請から30日以内に処分をすること、調査に時間がかかるときは30日以内にその理由と見込みの期間を知らせて延ばせることも定めています。
「保育が必要」と認められる理由
どんな場合に「家庭で必要な保育を受けることが難しい」とされるかは、子ども・子育て支援法施行規則第1条の5が決めています。挙げられているのは次の10の事由です。
- 月48時間から64時間の範囲で市町村が定める時間以上、働くことを常としている
- 妊娠中、または出産して間もない
- 病気やけが、または精神や身体の障害がある
- 同居の親族(長く入院している親族を含む)を常に介護・看護している
- 震災、風水害、火災などの災害の復旧にあたっている
- 求職活動(起業の準備を含む)を続けている
- 学校・専修学校・各種学校などに在学している、または職業訓練を受けている
- 児童虐待や配偶者からの暴力があり、保育が難しい
- 育児休業中で、上の子がすでに保育所などを使っていて、続けて使う必要がある
- 以上に類するものとして市町村が認める事由
大事なのは、同じ条文が「保護者のいずれもが」これらのどれかに当たることを求めている点です。両親がそろって日本にいる家庭では、父と母の両方に理由が要ります。就労の時間の下限(48〜64時間のどこに置くか)も、最後の「市町村が認める事由」も、市町村が決めます。日本語学校への通学や、ウクライナの会社の仕事を日本から続けている場合がどう扱われるかは、住んでいる市区町村に確かめてください。
国籍と住民登録の扱い
こども家庭庁の「幼児教育・保育の無償化に関する自治体向けFAQ」(2024年7月1日版)は、外国籍の子どもについて、次のように答えています。
子ども・子育て支援新制度に基づく支援の対象は、日本国籍の有無、戸籍・住民登録の有無にかかわらず、当該市町村での居住の実態があれば、米軍基地内に居住する場合を含め対象としており、幼児教育・保育の無償化についても、この考え方が変わるものではありません。
こども家庭庁「幼児教育・保育の無償化に関する自治体向けFAQ【2024年7月1日版】」No.1-30
つまり、保育の仕組みの入口は国籍でも在留資格の種類でもなく、その市町村に住んでいるという実態です。ただし、申込みのときに求められる書類(在留カード、勤務先の就労証明書など)は市区町村が決めます。住民登録は、国民健康保険や児童手当など、ほかの手続きの前提になります。住民登録については日本の住民登録で出てくる言葉の記事にまとめています。
出入国在留管理庁のウクライナ避難民向けのページ「医療・介護・保育でお困りのウクライナのみなさんへ」も、保育サービスを受けられると案内したうえで、詳しいことは住んでいる市町村に聞くこと、日本語が話せる家族や友人がいればなるべく一緒に行くことを勧めています。
申し込む時期で結果が変わる
希望する人が定員より多いとき、市町村は利用の調整を行います(児童福祉法第24条第3項)。4月からの入所の申込みは、前の年の秋に締め切られることがあります。
一例として、横浜市は2027年4月から保育所などを使いたい人の一次申請の期間を、2026年10月1日から10月28日までと案内していました。年度の途中からの利用を希望する人向けには、別の案内ページがあります。申請は原則としてマイナンバーカードを使ったオンライン申請です。同市は利用案内を英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、タガログ語、ベトナム語でも出していますが、ウクライナ語版はありません(2026年9月確認)。締め切りや方法は自治体ごとに違うので、住んでいる市区町村のページで「保育所 入所 申込み」を探し、次の締め切りを確かめてください。
費用:3歳から5歳は利用料がかからない
2019年10月に始まった幼児教育・保育の無償化について、こども家庭庁は次のように説明しています(2026年9月確認)。
- 幼稚園、保育所、認定こども園などを利用する3歳から5歳までの子どもの利用料は無料。期間は満3歳になった後の4月1日から小学校入学前までの3年間(幼稚園は入園できる時期に合わせて満3歳から)。幼稚園は月額2.57万円が上限。
- 通園送迎費、食材料費、行事費などは保護者の負担。ただし、年収360万円未満相当の世帯の子どもと、すべての世帯の第3子以降の子どもは、副食(おかず・おやつなど)の費用が免除される。
- 0歳から2歳までの子どもは、住民税非課税世帯が無料。また、保育所などを使っている最年長の子どもを第1子と数えて、0歳から2歳までの第2子は半額、第3子以降は無料。
- 保育所などを使えていない人が、保育の必要性の認定を受けて認可外保育施設などを使う場合は、3歳から5歳は月額3.7万円まで、0歳から2歳の住民税非課税世帯は月額4.2万円まで無料。対象になる認可外保育施設は、都道府県などに届け出て、国の定める基準を満たしている必要がある。
無償化の対象にならない場合の保育料(利用者負担額)は、市町村が計算します。日本に来て間もない家庭の保育料がどうなるかは、市区町村に確かめてください。こども家庭庁は無償化の案内を英語、中国語(繁体字・簡体字)、韓国語、ポルトガル語、スペイン語で公開していますが、ウクライナ語とロシア語の版はありません(2026年9月確認)。
働いていなくても使える預け先
保育の必要性の認定がなくても使えるものがあります。厚生労働省が作成し出入国在留管理庁のサイトに掲載されているウクライナ語と日本語のリーフレット「子育て支援のサービスを受けることができます」は、昼間に一時的に子どもを預かる「一時預かり」と、親子で過ごし子育ての相談ができる「地域子育て支援拠点」を紹介しています。
もう一つが「こども誰でも通園制度」です。こども家庭庁は、2026年度から子ども・子育て支援法にもとづく新たな給付として全国の自治体で実施されると説明しています。同庁の資料によれば、対象は保育所などに通っていない0歳6か月から満3歳未満の子どもで、親が働いているかどうかを問わず、月10時間までの枠の中で時間単位で使えます。2026年度と2027年度は、市町村が条例で3時間から10時間未満の枠に設定することもできます。
相談するところ
保育の申込みの窓口は、住んでいる市区町村の保育の担当課です。市区町村によっては外国人向けの相談窓口があります。自分の地域で使える多言語の相談窓口の探し方は日本で暮らし始めたときの相談窓口の記事に、在留資格の手続きは避難した人の在留資格の手続きの記事にまとめています。
| 知りたいこと | 決めるところ・確かめるところ |
|---|---|
| 保育が必要と認められるか(第2号・第3号の認定) | 住んでいる市区町村 |
| 就労時間の下限、市町村が認める事由 | 住んでいる市区町村 |
| 入所の申込み期間と方法 | 住んでいる市区町村 |
| 0歳から2歳の保育料 | 住んでいる市区町村 |
| 一時預かり、こども誰でも通園制度の空き | 住んでいる市区町村、各施設 |
出典・参考資料
- 子ども・子育て支援法(第19条 子どものための教育・保育給付の支給要件と3区分、第20条 居住地の市町村による認定・30日以内の処分)
発行:e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日:2026-09-24 - 子ども・子育て支援法施行規則(第1条の5 保育を必要とする事由10項目、「保護者のいずれもが」、就労は月48〜64時間の範囲で市町村が定める時間)
発行:e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日:2026-09-24 - 児童福祉法(第24条 市町村の保育の実施、家庭的保育事業等、利用の調整)
発行:e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日:2026-09-24 - 幼児教育・保育の無償化(2019年10月開始、対象年齢、多言語版の言語)
発行:こども家庭庁 確認日:2026-09-24 - 幼児教育・保育の無償化概要(満3歳後の4月1日から3年間、幼稚園の上限2.57万円、実費負担と副食費の免除、0〜2歳の住民税非課税世帯と多子の扱い、認可外の上限3.7万円・4.2万円と基準)
発行:こども家庭庁 確認日:2026-09-24 - 幼児教育・保育の無償化に関する自治体向けFAQ【2024年7月1日版】(No.1-30 外国籍の子ども等:国籍・住民登録の有無にかかわらず居住の実態で対象、第1号〜第3号認定の呼び方)
発行:こども家庭庁 確認日:2026-09-24 - こども誰でも通園制度について(2026年度から子ども・子育て支援法にもとづく給付として全国の自治体で実施)
発行:こども家庭庁 確認日:2026-09-24 - 「こども誰でも通園制度」について~基礎資料集~(2026年4月1日改定。対象は保育所等に通っていない0歳6か月〜満3歳未満、月10時間、2026・2027年度は条例で3〜10時間未満も可)
発行:こども家庭庁 確認日:2026-09-24 - 生活・就労ガイドブック 日本語版 第8版(第4章4-5 就学前の子どもを対象とする施設:保育所・幼稚園・認定こども園、認可外保育施設の例)
発行:出入国在留管理庁 確認日:2026-09-24 - 医療・介護・保育でお困りのウクライナのみなさんへ(保育サービスを受けられること、市町村に聞くこと、日本語が話せる人の同行)
発行:出入国在留管理庁 確認日:2026-09-24 - 子育て支援のサービスを受けることができます(ウクライナ語・日本語・英語のリーフレット。一時預かり、地域子育て支援拠点、利用者支援事業、保育所、幼稚園、児童手当)
発行:厚生労働省(出入国在留管理庁のサイトに掲載) 確認日:2026-09-24 - 令和9年度に保育所等の利用を希望する方へ(2027年4月一次申請の期間2026年10月1日〜28日、原則オンライン申請、利用案内の外国語版の言語)
発行:横浜市 確認日:2026-09-24
記載内容に誤りを見つけた場合は、訂正のご連絡からお知らせください。確認のうえ、訂正した内容と経緯を記事に記載します。