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ビジネス・復興/解説

閘門の通行は無料に。2020年の内陸水運法とドニプロ川の貨物

2020年12月に採択され、2022年1月1日に施行された内陸水運法は、外国の旗の船にウクライナの川を開き、閘門の通行を無料にしました。川の貨物の量は、国家統計局とインフラ省で約4倍違います。法律の中身と施行の段階、全面侵攻のあとに減った輸送と止まった閘門を、2026年9月時点の条文と発表で見ます。

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オリュカのひとこと

ドニプロ川を船が行き来する決まりは、法律でどう変わったのでしょう。最初の見出しで確かめられます。

ドニプロ川には、キーウからザポリッジャの先まで、ダムと貯水池が階段のように並んでいます。船はダムの横の閘門(こうもん。水位の違う水面の間で船を上げ下げする設備)を通って川を上り下りします。この川を使う船の決まりをまとめた最初の法律が、2020年12月3日に最高会議で採択された法律第1054-IX号「内陸水運について」です。施行は2022年1月1日でした。

ダムと貯水池の成り立ちはドニプロ川の六つのダムの記事、川全体の流れはウクライナの川と気候の記事にあります。ここでは法律で何が変わったか、川の貨物がどれだけ運ばれてきたかを見ます。

法律ができる前

当時のインフラ省は、法律ができる前の案内のページで、内陸水運の問題点を挙げていました。閘門や航路標識などの設備が古いこと、内陸水運についての法律が無く、お金を確保する仕組みも無いこと、そして「ドニプロ川は、外国の旗の船が一回ごとの許可なしに自由に通ることも、外国の船がウクライナの港の間で荷を運ぶこと(カボタージュ)も、許可なしにはできない」ことです。

  1. オリュカ

    この法律は、採択されてすぐに全部が動き出したのでしょうか。

  2. タブリ

    この見出しの下の表に、段階が日付の順番で並んでいるよ。

  3. スウネ

    乗組員の資格書類を新しくする猶予が、まだ続いていることも、この表で分かるよ。

採択から施行まで

法律は一度に動き出したわけではありません。段階ごとに並べます。

日付段階
2020年12月3日最高会議で採択
2021年1月9日政府の新聞に掲載(公布)
2022年1月1日法律の大部分が施行
公布から3年後一部の条文(事業者の職業上の能力の条件、罰則の一部など)が施行
2022年〜2025年改正が続く(2022年5月の第2247-IX号で川の港の土地の扱いを追加、2024年10月の第4017-IX号で乗組員の資格の条文を改正など)
2031年12月31日まで法律の前に出された乗組員の資格の書類を新しいものに取り替える期限
出典:法律第1054-IX号の本文と改正の注記、最終規定(2026年9月時点の条文)。

当時のインフラ省は、施行の直前の2021年12月30日に説明を出し、この法律がEUの五つの指令(内陸の船の技術の条件、乗組員の資格の相互承認、国内と外国の輸送業者の輸送への参入、河川情報サービスの統一など)を取り入れたものだとしています。

法律で変わったこと

外国の旗の船

第53条は、ウクライナの川の港と外国の港を結ぶ国際輸送を、ウクライナの船と外国の船のどちらにも認めています。ウクライナの港どうしを結ぶ輸送(カボタージュ)も、ウクライナの船に加えて、ウクライナで登記した会社が持ち主になっている外国の旗の船に認めました。ただし、どちらも、侵略国の旗の船、侵略国の国民や会社が持ち主・受益者になっている船、制裁の対象になっている人や会社の船は除いています。この除外は、2020年の採択のときの本文にすでに書かれていました。

閘門の通行と川の使用は無料

第9条は「内陸の水路を船の航行に使うことは無料」と定めています。第14条は、閘門などの航行のための水利施設を通ることを、外国の船を含むすべての船について無料としました。インフラ省の説明によれば、施行の日から、閘門の通行料と、跳ね橋を開ける料金を取らなくなり、川の船が海の港で払う料金の一部も免除されました(第9条は、最大の喫水が4.5メートル以下の川の船が国内の輸送で海の港に入るとき、管理・運河・船舶・衛生の料金を免除しています)。

閘門を直すお金

その代わりに法律は、国の予算の特別基金として「国家内陸水路基金」を設けました(第12条)。第14条によれば、閘門の維持、修理、改修、警備にかかる費用はこの基金から出し、その財源の一つは、水力発電のために水を使う会社が払う水の使用料の一部です。インフラ省は「電力の生産者の負担も含めて閘門にお金を回す仕組み」と説明しています。

ドニプロ川の六つの閘門

閘門を動かしているのは、国営企業「ウクルヴォドシュリャフ」(Укрводшлях)です。同社の説明では、ドニプロ川にはカホウカ、ドニプロ、カミヤンシケ、クレメンチューク、カニウ、キーウの六つの貯水池が続き、それに合わせて六つの閘門がありました。

全面侵攻のあと、この並びは欠けています。いちばん下流のカホウカのダムは、ロシア軍が支配していた2023年6月6日に破壊されました(カホウカの記事)。海事・内陸水運・航行の国家庁は、2025年1月6日の告知で、カミヤンシケにある中ドニプロ閘門を「緊急事態が起きたため」2024年12月30日から運用をやめたと伝えました。同じ庁の2025年12月11日の告知では、冬の整備のために閘門を止める期間を、キーウ、カニウ、クレメンチュークの各閘門と第2ドニプロ閘門について2025年12月15日から2026年3月31日までとしています。

オリュカのひとこと

川を運ばれる荷物の量は、数え方によって見え方が変わるようです。この見出しで確かめられます。

川の貨物は、数え方で4倍違う

川の貨物の量は、発表の主体によって桁が変わります。国家統計局は、内陸水運の輸送をする企業の報告から「内陸水運による貨物輸送」を数えています。インフラ省は、河川情報サービスがとらえたドニプロ川の貨物の量を発表していました。

年国家統計局:内陸水運の貨物輸送インフラ省:ドニプロ川の貨物
2018年369万8千トン—
2019年399万トン—
2020年378万8千トン1,122万9,200トン
2021年348万2千トン1,436万5,500トン
2022年119万1千トン(暫定)—
2023年178万5千トン(暫定)—
出典:国家統計局『ウクライナの運輸 2023』表2.8(2024年刊)、インフラ省「2021年のドニプロ川の貨物輸送の結果」(2022年1月10日)。国家統計局の数字は占領地域を含まず、2022〜2023年は企業から出された報告と推計による暫定値。

どちらの数字を使うか

2021年で比べると、インフラ省のドニプロ川の数字は国家統計局の内陸水運の数字の約4倍です。いちばん大きく違うのは建設資材で、インフラ省は2021年のドニプロ川の建設資材などを951万7,900トン(前年比63%増)、国家統計局は内陸水運の建設資材を181万1千トンとしています。二つの主体は、どの船と企業の輸送を数えたかの違いを説明していません。比べるときは、同じ主体の数字どうしで比べる必要があります。

インフラ省によれば、2021年のドニプロ川の貨物は1,436万5,500トンで、2020年から27.9%増え、穀物は361万1,480トン、金属製品は122万560トンでした。閘門を通った船は1万5,840回で、そのうち1万3,835回が川の船、2,005回が海の船です。

全面侵攻のあとの数字

国家統計局の数字で見ると、2022年の内陸水運の貨物は2021年の3分の1ほどに減りました。減り方は輸送の種類で違います。国内の港どうしの輸送は2021年の240万6千トンから2022年の21万2千トン、2023年の19万7千トンに減り、建設資材も181万1千トンから7万9千トン、7万トンに減りました。一方で国外と結ぶ輸送は、2021年の107万6千トン、2022年の97万9千トンから、2023年は158万8千トンに増えています。

国外と結ぶ輸送の多くは、ドナウ川の港を通る経路です。2022年から使われてきた穀物の輸出の経路は穀物の輸出経路の記事、ドニプロ川の河口のヘルソン港とミコライウ州のオリヴィア港の契約は港とコンセッションの記事にあります。国家統計局の2024年以降の内陸水運の年の数字は、2026年9月時点で見つかっていません。

所管の省の名前

法律を作ったのは当時のインフラ省です。所管の省はその後の再編で名前が変わり、2026年7月17日の内閣決定第963号で「コミュニティ・領土発展省」が「復興・インフラ・運輸省」に改められました。法律の本文は省の名前ではなく「内陸水運の政策を担う中央の行政機関」と書いているので、省の名前が変わっても条文はそのままです。

出典と記事の記録出典 9件 · AIの利用 · 運営体制

出典・参考資料

  1. Закон України «Про внутрішній водний транспорт»2020年12月3日 第1054-IX号。第9条、第12条、第14条、第53条、改正の注記、最終規定、公布の記録
    発行:ウクライナ最高会議 法令データベース 確認日:2026-09-26
  2. Закон «Про внутрішній водний транспорт»: що зміниться з нового року2021年12月30日。施行日、閘門・跳ね橋の料金の廃止、EUの五つの指令
    発行:インフラ省(現・復興・インフラ・運輸省のサイトに掲載) 確認日:2026-09-26
  3. Інформація про водний транспорт України法律の前の問題点、外国の旗の船の制限
    発行:インフラ省(現・復興・インフラ・運輸省のサイトに掲載) 確認日:2026-09-26
  4. Підсумки вантажних перевезень Дніпром за 2021 рік2022年1月10日。1,436万5,500トン、品目別、閘門の通過回数
    発行:インフラ省(2022年のウェブアーカイブで確認) 確認日:2026-09-26
  5. Транспорт України 2023表2.8 内陸水運による貨物輸送 2018〜2023年
    発行:ウクライナ国家統計局(2024年刊。ウェブアーカイブで確認) 確認日:2026-09-26
  6. Про ДП «Укрводшлях»六つの貯水池と六つの閘門、設立の経緯
    発行:国営企業ウクルヴォドシュリャフ 確認日:2026-09-26
  7. Державна служба морського і внутрішнього водного транспорту та судноплавства України повідомляє про виведення із експлуатації судноплавного шлюзу2025年1月6日。中ドニプロ閘門の運用停止
    発行:海事・内陸水運・航行の国家庁 確認日:2026-09-26
  8. Про встановлення перерви у навігації на судноплавних гідротехнічних спорудах2025年12月11日。冬の運用停止の期間
    発行:海事・内陸水運・航行の国家庁 確認日:2026-09-26
  9. Постанова Кабінету Міністрів України від 17.07.2026 № 963省の改称
    発行:ウクライナ最高会議 法令データベース 確認日:2026-09-26

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