テーマ
文学と本
シェウチェンコ、レーシャ・ウクラインカ、フランコから出版の統計まで。ウクライナの文学と本の記事です。
記事13本
-

1万4千のことわざをどう並べたか。ノミスとフランコの集成
ウクライナのことわざは、19世紀に番号をつけた本にまとめられました。1864年のノミスの集成はテーマごとに、1901〜10年のフランコの集成は見出し語のアルファベット順に、何万ものことわざを並べています。筆名の主、並べ方の違い、原本の番号とページつきのことわざ7例を紹介します。
-

山の霊と羊飼いの夏、コツュビンシキー『忘れられた祖先の影』
映画『火の馬』の原作、ミハイロ・コツュビンシキーの中編小説『忘れられた祖先の影』(1911年)は、カルパティアの高地に暮らすフツルの村の物語です。対立する家に生まれたイヴァンとマリチカ、夏の放牧地の暮らし、山の霊と呪術師。作家の生涯と、村に滞在した年を事典で確かめながら、小説の中身をたどります。
-

400編のうちキツネが55編。1916年に一冊になった動物の昔話
ウクライナ語で動物が主役の民衆の話は「バイカ」と呼ばれ、人が主役の「カズカ」と区別されてきました。1916年、民俗学者フナチュークはこの話を400編集め、動物ごとに並べた2巻本にしました。誰がどこで記録したか、キツネやオオカミの話がどう分けられたか、戦争で刊行が遅れた経緯を、本の序文と目次からたどります。
-

ウクライナ語の本は9割近くに。数字で見るウクライナの出版
ウクライナで2025年に出た本は1万5,069点で、ウクライナ語の本が9割近くを占めます。2022年に半分以下に落ちた刊行点数の推移、2023年に効力を持ったロシアとベラルーシの本の輸入禁止、18歳に本の購入費を給付する「єКнига」や書店の家賃補助まで、書籍会議所の統計と法律の条文からまとめました。
-

トロイアの英雄がコサックになる、コトリャレウシキー『エネイーダ』
ウェルギリウスの叙事詩の英雄アエネアスを、ウクライナの話し言葉でしゃべるコサックの若者に書き換えた『エネイーダ』。ハルーシュキやボルシチが並ぶ宴の場面、10行の連という新しい詩の形、そしてこの作品がウクライナ語を文学の言葉にしていった意味を、事典と本文からたどります。2026年には初めての日本語訳が出ました。
-

1937年秋、サンダルモフで銃殺された1,111人と「処刑されたルネサンス」
1937年10月27日から11月4日、ロシア北西部カレリアの森で、ソロフキの監獄の囚人1,111人がソ連の秘密警察に銃殺されました。演出家レシ・クルバス、劇作家ミコラ・クリーシら、1920年代のウクライナ文化を担った人たちが含まれます。何人がウクライナから来たのかは資料で201人から約300人まで割れます。経過と数字、見つかった後のことをまとめます。
-

ノーベル賞に推薦された年に亡くなった作家、イヴァン・フランコ
ノーベル賞の推薦の記録には、1916年の文学賞の候補としてイヴァン・フランコ(1856〜1916年)の名が残っています。その年の5月、フランコはリヴィウで亡くなりました。鍛冶屋の息子として生まれ、3度逮捕され、小説・詩・戯曲・翻訳・学術に約6,000の著作を残した人の生涯と、名前が付けられた大学と町をたどります。
-

200フリヴニャ紙幣の詩人レーシャ・ウクラインカと、戯曲『森の歌』
ウクライナの200フリヴニャ紙幣に描かれているのは、詩人で劇作家のレーシャ・ウクラインカ(1871〜1913年)です。本名ラリーサ・コサチ。30年にわたって病と闘いながら、20の劇作品を残しました。ヴォリーニ地方の森の言い伝えから生まれた『森の歌』(1911年)を中心に、作品と生涯、紙幣の図柄、日本語で読める訳書をまとめます。
-

「世は私を捕えようとした、だが捕えなかった」哲学者スコヴォロダ
500フリヴニャ紙幣の肖像の人物、フルィホリー・スコヴォロダ(1722〜1794年)は、学院の職を解かれたあと25年にわたって各地を歩き、友人のもとで詩や対話を書いた哲学者です。生涯と著作、「生まれつき合った仕事」の考えを事典からたどり、生誕300年の2022年にロシアのミサイルで壊された博物館の記録をまとめます。
-

公立図書館は法律で無料、利用カードには住所の確認が要る
日本の公立図書館は、図書館法で入館や資料の利用にお金を取ってはならないと定められています。本を借りるには、住んでいる市区町村などの図書館で、名前と住所を確かめる書類を見せて利用カードを作ります。横浜市と神戸市を例に登録の条件を紹介し、ウクライナ語の本を所蔵している図書館の例も挙げます。
-

描くことも書くことも皇帝に禁じられた詩人、タラス・シェウチェンコ
農奴に生まれたシェウチェンコは、1枚の肖像画の抽選で自由を買い取られ、美術アカデミーで学んだ画家でもありました。1847年の逮捕後は皇帝の命で書くことも描くことも禁じられた10年を送り、それでも詩を書き、絵を描きました。ウクライナ語を近代文学の言葉にした詩人の生涯です。
-

絵本『てぶくろ』の原題「ルカヴィチカ」とウクライナの昔話
福音館書店の絵本『てぶくろ』は1965年の初版から「ウクライナ民話」と書名に添えています。1956年にはナウカから『テブクロ : ウクライナのおとぎばなし』も出ていました。絵を描いたラチョフはトムスク生まれで、キーウの出版社で挿し絵を始めた画家。昔話、絵本、日本での扱いの三つを書誌でたどります。
-

ウクライナ文学は何から読むか──日本語で読める本をジャンルと時代で
ウクライナ文学を読もうとすると、作品選びの前に「どこまでをウクライナ文学と呼ぶか」という線引きにぶつかります。範囲の決め方を先に示し、日本語訳が出ている本をジャンルと時代で並べました。人名のカナ表記が本によって違う点にも触れます。おすすめ順ではありません。